6月8日にホームで行われた2024年明治安田J2リーグ第19節ベガルタ仙台戦ですが、試合結果は1対1の引き分けに終わりました。ヴァンフォーレの得点は前半に挙げたアダイウトン選手のゴールでした。
☆先発変更は3人
1日にアウェーの藤枝戦を戦ったヴァンフォーレ。中5日の試合間隔でコンディションを整えてからこの一戦に臨み、前節の藤枝戦から先発メンバーを3人変更。内藤選手&鳥海選手&飯田選手に代わり、ピーター ウタカ選手&宮崎選手&関口選手が入ります。なかでも気になったのは第12節愛媛戦以来7試合ぶりの先発出場となった宮崎選手。途中出場では出ていましたが、スタートから宮崎選手らしいアグレッシブで強気に攻撃を仕掛けていくプレーがみせられるか注目されていたと思います。
☆ヘナト選手負傷アクシデント
不測の事態はいきなり起こります。前半9分、右サイドで突破を仕掛けた仙台の真瀬選手に対し、懸命についていきスライディングでクリアしたヘナト アウグスト選手が右太もも裏を負傷。そのままプレー続行不可能となり途中交代となってしまいます。ヘナト選手は前節の藤枝戦から3バックの一角でプレーし、長い手足のリーチを活かした高いディフェンス力を披露。その活躍が記憶に新しいこともあり、前半早々の突然の交代にチームは少し混乱したと思いますね。このアクシデントを受けて篠田監督は急遽飯田選手を投入。関口選手を3バックの右側にコンバートし、関口選手が務めていた右ウイングバックに飯田選手を起用することで落ち着きを取り戻そうと尽力します。途中出場となった飯田選手はいつも通りサイドバックでもみせているような果敢にオーバーラップする攻撃的なプレーをウイングバックでも発揮していましたが、3バックに急遽入ることになった関口選手も組織的な守備を行いつつ相手の仕掛けに対してセーフティに対応するなどまずまずのディフェンスをみせます。急なプラン変更となりましたが、篠田監督は試合状況に応じた冷静な判断ができていたと思いますね。
☆上下に動く選手を捉えられず先手を取られる
試合のスコアは前半18分に動きます。最終ラインでパスをまわす仙台に対してヴァンフォーレは前から圧力を強めます。しかし取り切れないでいると、仙台は中盤の中央にいる選手に縦パスを供給。そこに見事通ったことで仙台の攻撃にスイッチが入ります。パスを受けたオナイウ情滋選手が右サイドで仕掛けると、そのクロスボールにゴール前で頭で合わせた郷家選手が決めて仙台が先制点を獲得します。この失点シーンではゴールを決めた郷家選手の動きを全く捉えられていなかったことが失点の要因。上がっていたヴァンフォーレのボランチを尻目に、そのボランチと3バックの間にできていたスペースにFWの位置から下がってきた郷家選手がポジショニングをとりパスを要求。その動きに気付いた仙台の最終ラインの選手は縦パスを供給しフリーで受けると、一旦空いていた右サイドにパスを出します。すると彼はすぐに前線に上がっていき、オナイウ選手のクロスボールをフリーの状態でヘディングシュートを放っています。まずパスを貰いに郷家選手が前線から中盤の位置まで下がってきていましたが、こちらのマークが誰も付いていってないことが不味かったポイント。そしてパスを出した後に上がっていく郷家選手の動きに誰も警戒していなかったこともマイナスポイントでした。もちろん前線にいる選手への対応も大切なのですが、上下に動きながらチャンスメークする選手のプレーをこちらは連携してディフェンスの確認をしておかなければいけませんでしたね。
☆これぞアダイウトン選手
2試合連続で先制点を奪われたヴァンフォーレでしたが、みんなの目が一発で覚めるようなインパクトの強いゴールが生まれます。前半30分、最終ラインでパスをまわす相手のトラップミスを見逃さなかったアダイウトン選手は左サイドの高い位置でボールを奪取。前方のスペースに向かって一気にドリブルを加速させると、寄ってきてプレッシャーをかけに来る相手をものともしない屈強なフィジカルを駆使した力強い突破でエリア内に侵入。スライディングしてきた相手を切り返しでかわすと、そのまま右足でファーサイドのゴールネットに強烈なシュートを突き刺し同点となるゴールを決めます。アダイウトン選手はこれで3試合連続ゴールとなる今シーズン8得点目。このゴールはアダイウトン選手が1人でドリブルからシュートまでを完結させており、改めて彼の攻撃性能の高さが感じられるゴールでしたね。アダイウトン選手の突破は重戦車ドリブルと呼ばれる所以が分かったと思います。
☆チャンスを決められないもどかしさ
その後の試合展開は仙台にボールを握られている時間が長く続いたものの、ヴァンフォーレは守りながら速攻へと繋げていき何度か決定機まで持っていくシーンを作り出します。スルーパスに抜け出したウタカ選手やクロスバー直撃の強烈なシュートを打った飯田選手、鳥海選手との連携から抜け出した内藤選手が相手GKとの1対1の場面を迎えますがいずれも決め切れず。左サイドに小林選手を起用し左から状況の打開を企て、左ひざを痛めて戦線離脱していた木村選手の復帰などポジティブになれる要素もありましたが、最後までこのスコアは変わらずに試合終了。連敗と7試合連続で続いていた複数失点はとりあえずストップさせたものの、2勝目を期待していたホームのサポーターに歓喜をもたらすことはできませんでした。
☆引き分けの要因は?
この試合引き分けた要因を良かった点と気になった点に分けます。まず良かった点は3バックを中心とするディフェンスが安定し始めていること。これまで試合途中で可変的に3バックのシステムに変更することはありましたが、ヴァンフォーレは前節の藤枝戦から本格的に3-4-2-1のフォーメーションをスタートから採用。43歳の大ベテラン山本選手が3バックの真ん中で守備統率を行い、今津選手がハイボールを跳ね返す役割を担います。もう1人はヘナト選手や関口選手が務めており、試合経験を積み重ねていくごとにその連携力は増していて強固なものになっていると思います。やはりゴールに近い中央のエリアを2人で守るのと3人で守ることではディフェンスの厚みが変わってくるので、人数を多くかけていることが現段階ではうまくハマっている気がしますね。そして急遽CBにコンバートされた関口選手の活躍も忘れてはいけません。序盤に1失点はしたものの粘り強い懸命な守備を披露して急造的な不安定感を相手に与えませんでした。ここがうまく機能したらヘナト選手が少しの間戦線離脱しても対応できる守備能力があると言えるので、ケガ人が戻ってくるまではこの山本選手&今津選手&関口選手の3バックを成熟させてほしいですね。
気になった点は前線で ‘溜め’ を作れないこと。トップのウタカ選手を始めとして、シャドーに入るアダイウトン選手や宮崎選手はみんな前への推進力で勝負していくタイプ。後方からのロングフィードを前方のサイドのスペースに走り込む仕掛けを軸にしており、基本相手のDFラインの裏抜けを狙っている形式になります。もちろんそれがうまくいけば一気に決定的チャンスに持ち込むことができますが、試合中何度もそのかたちが繋がるわけでもなくその確率はかなり低いと言わざるを得ません。そのパスの呼吸が合わなければすぐに相手ボールへと変わってしまうので、必然的にこちらがボールを保持している時間は短くなります。それでは守備の回数が多くなってしまうのは言うまでもありません。何度も守勢にまわると徐々に陣形が後ろに下がって受け身の展開になり失点への危険性は増していくので、前線でボールをキープして時間を作り守備の機会を減らす存在が求められます。最近では内藤選手が工夫して相手のマークを外す動きを頻繁に行い、味方からのパスを呼び込みやすい環境を作り出しています。前線で少しでもキープしてくれたら全体の陣形を押し上げることができると思うので、そのパスを呼び込む動きを内藤選手以外もやってほしいですね。得点を狙っていくプレー以外に守備陣の負担を減らす努力をFWの選手がしてくれたらより勝率が高まっていくと個人的には思います。
…この引き分けにより今シーズンのヴァンフォーレの成績は、6勝5分け8敗の勝ち点23で順位は13位となっています。混戦の中位グループに入っている状態で、ここ5試合白星を残せないでいると順位がズルズルと下がっていくことは言うまでもありません。この不調を脱するためにもまずはまもなく行われる天皇杯2回戦で普段出番に恵まれていない若手選手が存在感を示し台頭することにより、現在のリーグ戦のメンバーたちに刺激を与えて、その座に割り込んでいけるように頑張ってほしいですね。今シーズンはこの試合をもって折り返し。次からはシーズン後半戦が始まります。まだ頑張ればJ1昇格のチャンスは十分あると思うので、諦めずに一戦一戦白星を積み重ねてその可能性を広げていきましょう!
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☆先発変更は3人
1日にアウェーの藤枝戦を戦ったヴァンフォーレ。中5日の試合間隔でコンディションを整えてからこの一戦に臨み、前節の藤枝戦から先発メンバーを3人変更。内藤選手&鳥海選手&飯田選手に代わり、ピーター ウタカ選手&宮崎選手&関口選手が入ります。なかでも気になったのは第12節愛媛戦以来7試合ぶりの先発出場となった宮崎選手。途中出場では出ていましたが、スタートから宮崎選手らしいアグレッシブで強気に攻撃を仕掛けていくプレーがみせられるか注目されていたと思います。
☆ヘナト選手負傷アクシデント
不測の事態はいきなり起こります。前半9分、右サイドで突破を仕掛けた仙台の真瀬選手に対し、懸命についていきスライディングでクリアしたヘナト アウグスト選手が右太もも裏を負傷。そのままプレー続行不可能となり途中交代となってしまいます。ヘナト選手は前節の藤枝戦から3バックの一角でプレーし、長い手足のリーチを活かした高いディフェンス力を披露。その活躍が記憶に新しいこともあり、前半早々の突然の交代にチームは少し混乱したと思いますね。このアクシデントを受けて篠田監督は急遽飯田選手を投入。関口選手を3バックの右側にコンバートし、関口選手が務めていた右ウイングバックに飯田選手を起用することで落ち着きを取り戻そうと尽力します。途中出場となった飯田選手はいつも通りサイドバックでもみせているような果敢にオーバーラップする攻撃的なプレーをウイングバックでも発揮していましたが、3バックに急遽入ることになった関口選手も組織的な守備を行いつつ相手の仕掛けに対してセーフティに対応するなどまずまずのディフェンスをみせます。急なプラン変更となりましたが、篠田監督は試合状況に応じた冷静な判断ができていたと思いますね。
☆上下に動く選手を捉えられず先手を取られる
試合のスコアは前半18分に動きます。最終ラインでパスをまわす仙台に対してヴァンフォーレは前から圧力を強めます。しかし取り切れないでいると、仙台は中盤の中央にいる選手に縦パスを供給。そこに見事通ったことで仙台の攻撃にスイッチが入ります。パスを受けたオナイウ情滋選手が右サイドで仕掛けると、そのクロスボールにゴール前で頭で合わせた郷家選手が決めて仙台が先制点を獲得します。この失点シーンではゴールを決めた郷家選手の動きを全く捉えられていなかったことが失点の要因。上がっていたヴァンフォーレのボランチを尻目に、そのボランチと3バックの間にできていたスペースにFWの位置から下がってきた郷家選手がポジショニングをとりパスを要求。その動きに気付いた仙台の最終ラインの選手は縦パスを供給しフリーで受けると、一旦空いていた右サイドにパスを出します。すると彼はすぐに前線に上がっていき、オナイウ選手のクロスボールをフリーの状態でヘディングシュートを放っています。まずパスを貰いに郷家選手が前線から中盤の位置まで下がってきていましたが、こちらのマークが誰も付いていってないことが不味かったポイント。そしてパスを出した後に上がっていく郷家選手の動きに誰も警戒していなかったこともマイナスポイントでした。もちろん前線にいる選手への対応も大切なのですが、上下に動きながらチャンスメークする選手のプレーをこちらは連携してディフェンスの確認をしておかなければいけませんでしたね。
☆これぞアダイウトン選手
2試合連続で先制点を奪われたヴァンフォーレでしたが、みんなの目が一発で覚めるようなインパクトの強いゴールが生まれます。前半30分、最終ラインでパスをまわす相手のトラップミスを見逃さなかったアダイウトン選手は左サイドの高い位置でボールを奪取。前方のスペースに向かって一気にドリブルを加速させると、寄ってきてプレッシャーをかけに来る相手をものともしない屈強なフィジカルを駆使した力強い突破でエリア内に侵入。スライディングしてきた相手を切り返しでかわすと、そのまま右足でファーサイドのゴールネットに強烈なシュートを突き刺し同点となるゴールを決めます。アダイウトン選手はこれで3試合連続ゴールとなる今シーズン8得点目。このゴールはアダイウトン選手が1人でドリブルからシュートまでを完結させており、改めて彼の攻撃性能の高さが感じられるゴールでしたね。アダイウトン選手の突破は重戦車ドリブルと呼ばれる所以が分かったと思います。
☆チャンスを決められないもどかしさ
その後の試合展開は仙台にボールを握られている時間が長く続いたものの、ヴァンフォーレは守りながら速攻へと繋げていき何度か決定機まで持っていくシーンを作り出します。スルーパスに抜け出したウタカ選手やクロスバー直撃の強烈なシュートを打った飯田選手、鳥海選手との連携から抜け出した内藤選手が相手GKとの1対1の場面を迎えますがいずれも決め切れず。左サイドに小林選手を起用し左から状況の打開を企て、左ひざを痛めて戦線離脱していた木村選手の復帰などポジティブになれる要素もありましたが、最後までこのスコアは変わらずに試合終了。連敗と7試合連続で続いていた複数失点はとりあえずストップさせたものの、2勝目を期待していたホームのサポーターに歓喜をもたらすことはできませんでした。
☆引き分けの要因は?
この試合引き分けた要因を良かった点と気になった点に分けます。まず良かった点は3バックを中心とするディフェンスが安定し始めていること。これまで試合途中で可変的に3バックのシステムに変更することはありましたが、ヴァンフォーレは前節の藤枝戦から本格的に3-4-2-1のフォーメーションをスタートから採用。43歳の大ベテラン山本選手が3バックの真ん中で守備統率を行い、今津選手がハイボールを跳ね返す役割を担います。もう1人はヘナト選手や関口選手が務めており、試合経験を積み重ねていくごとにその連携力は増していて強固なものになっていると思います。やはりゴールに近い中央のエリアを2人で守るのと3人で守ることではディフェンスの厚みが変わってくるので、人数を多くかけていることが現段階ではうまくハマっている気がしますね。そして急遽CBにコンバートされた関口選手の活躍も忘れてはいけません。序盤に1失点はしたものの粘り強い懸命な守備を披露して急造的な不安定感を相手に与えませんでした。ここがうまく機能したらヘナト選手が少しの間戦線離脱しても対応できる守備能力があると言えるので、ケガ人が戻ってくるまではこの山本選手&今津選手&関口選手の3バックを成熟させてほしいですね。
気になった点は前線で ‘溜め’ を作れないこと。トップのウタカ選手を始めとして、シャドーに入るアダイウトン選手や宮崎選手はみんな前への推進力で勝負していくタイプ。後方からのロングフィードを前方のサイドのスペースに走り込む仕掛けを軸にしており、基本相手のDFラインの裏抜けを狙っている形式になります。もちろんそれがうまくいけば一気に決定的チャンスに持ち込むことができますが、試合中何度もそのかたちが繋がるわけでもなくその確率はかなり低いと言わざるを得ません。そのパスの呼吸が合わなければすぐに相手ボールへと変わってしまうので、必然的にこちらがボールを保持している時間は短くなります。それでは守備の回数が多くなってしまうのは言うまでもありません。何度も守勢にまわると徐々に陣形が後ろに下がって受け身の展開になり失点への危険性は増していくので、前線でボールをキープして時間を作り守備の機会を減らす存在が求められます。最近では内藤選手が工夫して相手のマークを外す動きを頻繁に行い、味方からのパスを呼び込みやすい環境を作り出しています。前線で少しでもキープしてくれたら全体の陣形を押し上げることができると思うので、そのパスを呼び込む動きを内藤選手以外もやってほしいですね。得点を狙っていくプレー以外に守備陣の負担を減らす努力をFWの選手がしてくれたらより勝率が高まっていくと個人的には思います。
…この引き分けにより今シーズンのヴァンフォーレの成績は、6勝5分け8敗の勝ち点23で順位は13位となっています。混戦の中位グループに入っている状態で、ここ5試合白星を残せないでいると順位がズルズルと下がっていくことは言うまでもありません。この不調を脱するためにもまずはまもなく行われる天皇杯2回戦で普段出番に恵まれていない若手選手が存在感を示し台頭することにより、現在のリーグ戦のメンバーたちに刺激を与えて、その座に割り込んでいけるように頑張ってほしいですね。今シーズンはこの試合をもって折り返し。次からはシーズン後半戦が始まります。まだ頑張ればJ1昇格のチャンスは十分あると思うので、諦めずに一戦一戦白星を積み重ねてその可能性を広げていきましょう!
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