その昔仕事で10年の間ブラジルに赴任していたことがあります。
サンパウロに9年、リオ・デ・ジャネイロに1年暮らしていました。
今では成人して大きくなった二人の子供たちがブラジル生まれということもあって、私にとってのブラジルは正に「第二の故郷」なのです。
10年の間のブラジル暮らしは仕事面でも私生活面でも新鮮なことばかりで大変充実していて、思い出話を始めたら丸一日かかっても話し切れないと思います。
そして今でもネット上で「BRASIL」や「ブラジル」の文字を見ただけで心が騒ぎ出す程ブラジル・フリークになっています。
折しもつい先日世界的に有名な「カーニバル」がブラジルで開催されて、今年は日本とブラジルが外交関係を樹立して120周年を迎える記念すべき年にあたることもあって、サンパウロで開催されたカーニバルのパレードに、東日本大震災からの復興を祈る青森県五所川原市の「立佞武多(たちねぷた)」の山車が外国の山車として初めて参加しました。
青森からおよそ40日かけて運ばれてきた高さ15メートルの山車は、東日本大震災で亡くなった人たちの鎮魂と復興への願いを込めて、鹿嶋大明神が地震を招くと伝えられる「なまず」を抑え込む様子が表現されていました。
山車がおよそ1時間にわたってサンバの踊り手とともに会場を行進すると、観客からは地元の山車とは異なる鮮やかな色彩の作品に大きな歓声が上がっていたそうです。
そして「ブラジル」と言えば美味しい「食」の思い出も沢山あります。
中でもブラジルを代表する「シュラスコ」と「フェイジョアーダ」は10年間のブラジル生活の中で数え切れない程食べました。
シュラスコ(ポルトガル語ではシュハスコ)は、鉄串に牛肉や豚肉、鶏肉を刺し通し、荒塩(岩塩)をふって、炭火でじっくり焼いたブラジルをはじめとする南米の肉料理です。
スペイン語圏では「チュラスコ」又は「アサード」と呼ばれていて、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビアなどでも供される肉料理でもあります。
シュラスコを提供するレストランをブラジルでは「シュハスカリア」(churrascaria) と呼んでいて、牛肉を中心に豚肉、鶏肉などの肉(中には鶏のハツなども含まれる)の様々な部位を串刺しにし、ギャルソン(牧童の格好をしている場合はガウーショ)と呼ばれるウエイターが串ごと客のテーブルに運び込み、目の前で食べたい量を切り分けるというスタイルが特長です。
もともとはブラジル南部のガウーショ(牧童)たちが行う料理法であったものが、1970年代からブラジル都市部のレストランでも供されるようになりました。
日本にも1990年代にシュラスコを売り物にしたブラジル料理、肉料理のレストランが数多くオープンしてブームになりましたが、その後バブル崩壊とともに減少してしまいました。
しかし、嬉しいことに最近各地で再びシュラスコ・レストランは増えつつあるようです。
そんな思いで深い「シュラスコ」がダバオで食べれたらいいな・・・、と常々思っていたところ、最近ダバオに「シュラスコ・レストラン」があることを知って、早速出かけて来ました。
約1年半程前にオープンしたダバオ初登場のブラジル料理のレストランは「JUNO Churrasco」(ジュノ・シュラスコ)で、マチナ・タウン・スクエア(Matina Town Square)の中にあります。
Uno AyalaさんとJoy Quimsingさん二人の共同経営のレストランで、二人の名前の頭文字から「JUNO」と名付けられたそうです。
ブラジル料理の店を始めるきっかけとなったのはUnoさんがシンガポールに留学中に見付けたお気に入りのシュラスコの店があって、その店に月に2回のペースで通う程シュラスコファンになったことから、ダバオに戻った後もずっとシュラスコの店のことが頭から離れずにいたそうです。
そして友人のJoyさんを誘ってダバオには無いブラジル料理のレストランを始めようと決心したそうです。
Unoさんはシンガポールでいつも食べていたシュラスコ料理の味を思い出しながら見よう見真似でブラジルスタイルのバーベキューの味付けなどを研究開発して開業にこぎ着けました。
Junoシュラスコではブラジルスタイルの「Rodizio」(食べ放題)がいつでも食べれる他、アラカルトメニューもあります。
Rodizioには牛肉のPicanha(イチボ)、豚肉、鶏肉、自家製ソーセージ、鶏レバーのベーコン巻きなどが次々と運ばれて来て、一通り終了するとお好みの肉をリピート出来ます。
Joyさん(女性)の作った”chimichurri”風の特製バーベキューソースの味も絶品です。
また、このRodizioコースにはブラジル名物の「フェイジョアーダ」も提供されていて、久々にフェイジョアーダの味も満喫出来ました。(写真上、中央下)
「フェイジョアーダ」(feijoada)は、黒豆と豚肉、牛肉などを煮込んだ料理で、ブラジルの他に、ポルトガル、アンゴラ、東ティモールなどポルトガルおよびその旧植民地で食べられていますが、各国で独自の発展をとげてきたため、使われる素材は国によって異なります。
ブラジルのフェイジョアーダの特長は豚肉の他に「豚足」、「豚耳」、「ソーセージ」、「ベーコン」などを黒豆と一緒にじっくり煮込んだ料理で、土曜日の昼食の定番メニューになっています。
久し振りに食べた「シュラスコ」と「フェイジョアーダ」を味わいながら暫し懐かしいブラジル時代のことを思い出すことが出来た一日でした。
JUNO Churrasco
場所:Matina Town Square
電話:0932 195 8603
営業時間 :18:00 - 0:00