ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
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石油業界の「ニッチ(すきま)」を狙う灯油ビジネス

2006年03月29日 07時55分42秒 | Weblog
石油流通業界ではSS店舗数だけで経営実態の規模は判りません。特約店である「特別徴収義務者」の軽油税納税金額をみたら見る目も変わります。私が知っているだけでも月間納税額が100万円単位から20億円以上までもあるのです。

軽油税還付金は2~3%見込めますから大きいところでは5千万円/月以上の「営業外収益」が見込まれるわけです。凄いとしか言いようがありません。営業収益がトントンでも営業外収益としてこれだけの金額が見込めるわけですからスケールメリットとしては大きいものがあります。

軽油に関してはコスト含みで収支が合えば仕入れ価格で販売しても「還付金収益」は見込めます。

一般的に「中間溜分」に強い石油業者は経営力が強いようです。もちろん資金力がなければできない「力づく」の部分もありますが、一般的な店頭ビジネスで「油外収益」だけが頼りのSSオンリー企業とは基本パワーが全く異なっているようです。

同様に、「灯油配送外販」に強い業者はキャッシュフローに強く資金効率がよいのが最大のメリットとなっています。とにかく石油製品で安定的に35%以上の粗利益が確保できるのが「配送灯油」の強みです。最近では冬場に関しては灯油外販収益がSS部門を上回る企業も多くなりつつあります。店頭現金売りでは何処まで行っても「豊作貧乏」でしょう。

「軽油」、「灯油」いずれもビジネスフォームを確立するためには時間と経験が必要ですし競業他社が絶対に真似のできないなんらかのノウハウを持っています。

洗車や車検などの「油外収益」は「見よう、み真似」でなんとか素人でもできるビジネスかもしれません。しかし、中間溜分にはデリバリー体制や軽油税納税帳票作成などの業務に特化した専門的な知識やノウハウが必要で事務管理量も膨大です。

これらのビジネスフォームは「セルフ化」が進行しても消費者マーケットからのニーズは絶対になくなる事はありません。SS店頭のガソリン販売競争とは完全に隔離されたマーケットであり、地域一番店だけが可能なエクセレントな石油ビジネスとなりつつあります。

とくに、「灯油」は運転資金が少ない事が中小零細企業にとっては非常に有利です。ガソリンを仕入れる金額で灯油を仕入れたら量が違います。さらにリッターあたり収益は比較になりません。

灯油を機軸に、地域に根ざした商売で元気に生き抜くポイントが隠されているはずです。

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