障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

労基署の是正勧告 不払い残業代

2011-11-02 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

すっかり風邪でダウンしてしまい、咳が止まりません。
風邪が流行っていますから、皆さんもお気をつけください。私もうつさないで早く治るように気をつけます!

さて、今日は労働基準監督署の是正勧告のお話です。

今月から厚労省も不払い残業代について、力を入れていくとのことですから、労働時間の適正な管理と未払い残業代についてはしっかり管理していきましょう。

厚労省が発表している最近の是正勧告を紹介します。


事例1 <小売業、約200人、北海道・東北>

・賃金不払残業の状況

会社は、始業・終業時刻をタイムカードにより確認しているとしていたが、監督署が会社の機械警備記録等を調査したところ、タイムカードの最終打刻者の退勤時刻と警備開始時刻に大幅な相違が生じていた。そこで、会社からの事情聴取などの結果、所定労働時間終了後に、労働者にタイムカードを打刻させた後で時間外労働を行わせていた ことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、①全社的な実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、②賃金不払残業の再発防止対策を確立し実施すること を指導した。

・事業場が講じた改善の方法

会社は、機械警備記録をセットした労働者だけでなく、全労働者に対して労働時間調査票を配布し、タイムカード打刻後の時間外労働の実績を改めて申告させ、不払になっていた割増賃金を支払う とともに、再発防止のため、本社が、全労働者に文書で賃金不払残業の存在を前提とした会社の収益などは根本的に誤っていることを宣言した。

そして、具体的対策として、①毎日の機械警備記録の開始時刻を入手して、本社で退勤の遅い店舗を把握し、その業務内容を点検する体制を確立する、②毎月、タイムカードの最終打刻時刻と警備開始時刻の相違を検証する、③本社役員による巡回指導を行うといった改善を図った。さらに、各事業所長の自覚を促すため、今後賃金不払残業を発生させない旨の誓約書を徴した。


事例2 <旅館業、約800人、関東>

・賃金不払残業の状況

会社は、始業・終業時刻をIDカードにより把握している一方で、時間外労働の時間数の把握については、労働者による自主申告書の提出によることとしており、双方の時間数に大きな相違が生じていた。

そこで、会社からの事情聴取などの結果、時間外労働手当の支払を免れようとして、管理者がその自主申告書の用紙交付を抑制していたため、時間外労働を行った労働者が適正に自己申告することができず、時間外労働手当の不払が生じていたことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、①これまでの時間外労働の実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、②始業・終業時刻はIDカードの記録で把握している状況を踏まえ、客観的な記録を基礎として確認、記録すること、今後も自己申告とする場合には、適正な申告が行われているかについて実態調査を実施することなどについて指導した。

・事業場が講じた改善の方法

会社は、IDカードにより確認した終業時刻をもとに時間外労働の実態調査を行い、不払になっていた割増賃金を支払うとともに、自己申告による時間外労働の時間数の把握を廃止した。その上で、始業・終業時刻、時間外労働等の時間数をIDカードを基礎として把握し、休憩時間を控除した時間数を実労働時間として把握・管理する手法を取り入れるといった改善を図った。


事例3(病院、約150人、中国・四国)

・賃金不払残業の状況

病院は、始業・終業時刻をタイムカードを基礎として確認することとし、時間外労働を行う場合には労働者から残業申請書を提出させることとしていたが、多くの労働者について、残業申請書による時間外労働の時間数に比べ、タイムカードにより把握している時間外労働の時間数が数時間から数十時間多かった

そこで、病院からの事情聴取などの結果、当初、資格取得や趣味のため自習で残っている者がいる等申し立てたが、1ヶ月で30時間以上の相違がある労働者も認められ、その理由だけで状況を説明することができず、残業申請とその承認の手続が確実に行われていなかったことが確認された。

・監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、労働時間管理が不十分であると判断し、①労働時間の適正な把握と②長時間労働の削減を指導した。

・事業場が講じた改善の方法

病院は、タイムカードの打刻時刻と超過勤務命令簿等から実態調査を行い、不払となっている割増賃金を支払う とともに、労働時間の管理について、①超過勤務を行う場合には、責任者が必要性や緊急性があるか等を判断し、超過勤務命令簿に業務内容や終了予定時間を記入する、②管理者は、部署により、毎日または一定期間ごとに、タイムカードの打刻時刻の記録を超過勤務命令簿と突合することにより、申請漏れがないかを点検する、③月の時間外労働は30時間までに終われるよう、業務を平準化する、部門間の協力体制を構築する等の改善を図った。


4 労基署の是正勧告があったら

上記の事例を読むと理解できると思うのですが、まず労基署の監督官は事実確認を行います。会社としては就業規則、賃金台帳、労働者名簿、タイムカードなど事実確認に必要な書類はすべて出さなければなりません

この事実確認の段階で、印象を悪くしないように、包み隠さず協力しましょう。(もう監督官が来ているので、協力するしかありません)

指導内容に対して、改善策を提出するのですが、ここでは一生懸命考えましょう。社労士などの専門家に相談するのもいいかもしれません。

そもそも、どうして労働時間管理がずさんだったのか、原因をしっかり把握したうえでの改善策を出すことが重要ですね。



もうすぐ今年も終了すると思うと、焦っていろいろやらなくては!と思ってしまいます。
あれもこれも、と思わずに的を絞って!とアドバイスを受けるのですが、どうしても捨てきれずに手を広げてしまいます。
ひとつひとつ、できるところからやっていって、結果的にまとまってできていた!というのが理想ですね。頑張りましょう!

See you tomorrow!

Chika Yoshino


障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀

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