障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

透析の初診日証明

2013-09-26 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

透析を受けている場合は、フルタイムで働くことができても日常生活に支障があるため、2級が受給できます

それでは、透析の患者さんからのご依頼は、障害の程度はクリアしているので楽でしょうか?

いえいえ、もっと大変なことがあるのです。

それは、初診日を証明することです。

透析の場合は、慢性腎不全や糖尿病等が「原因となった傷病」となり、ず~っと遡って健康診断で異常値が出た日などが初診日となることが多いからです。

多くの方は、20年以上前で、カルテの保存がありません

そのため初診日を証明することが困難になるのです。

「検査数値の異常があったこと」と「検査年月日」を客観的に証明しなければなりません。

そんなことを言っても、ないものはない、あきらめるしかないのでしょうか?

この場合、まずは現存している一番古いカルテを探します。

カルテに基づく初診日の証明書に「xx年△△月に検査通知○○で異常あり」と記載されていたら、

その日が初診日と認められる可能性があります。

透析の場合のほとんどは事後重症請求ですから、

初診日の時期が確認でき、納付要件を満たしていれば、少なくとも基礎年金2級は受給できるものです。

厚生年金2級が認められるためには、初診日の年月日がより厳密に確認できなければ難しくなります。

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またまた、2013年7月4日 社会保険審査会の公開審理の一部です。

この日、糖尿病の初診日案件は3件ありました。その中で興味深かった審理をご紹介します。

【病歴状況】

平成16年厚生年金加入(その前はずっと国民年金)

平成17年2月A病院受診した。カルテなく証明できないが、診察券で日付のみ確認できる。

平成17年9月21日B病院の検査結果は提出。数値では糖尿病による腎機能障害が認められる。A病院の紹介と記載あり。

【審理内容】

審査会の委員長は「平成17年を初診日と認める根拠はある、なぜ保険者は拒否するのか?」と問うていました。

保険者の回答は、

「平成17年に初診日があったらしいことは認めるが、2月か9月か特定できない。
年金額に関わることなので初診日は特定しないとならないため却下とした。」

審理中に、審査会の委員長が「この案件は検査結果により平成17年9月21日初診日と認める」と委員3人の意見は一致したと告げていました(これは珍しいことです)。

平成17年2月も9月も厚生年金加入期間です。年金額だってそうたいして変わりやしません。

なのに、初診日が特定できないため却下されて、再審査請求まで来ているのです。

たぶん、国民年金期間中に初診日があったのでは?という疑いのためだろうと推察しました。

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就労と障害厚生年金3級受給

2013-09-17 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

障害年金は、働ける世代の方が病気やケガで長期間働けない場合の所得保障です。

それでは、少し働ける場合はどうでしょうか?

障害のために労働に支障がある場合は、障害厚生年金3級を受給できるように法律で定められています。

しかしながら、年金の支給を切りつめたい現状の元、ジワジワと3級受給のボーダーラインが上がりつつあります

特に、精神疾患で障害年金を受給している場合は、「働ける状態=症状が回復している」と判断されます。

2~3カ月働いて調子を崩してしまう場合もありますが、その場合は回復したとは言えません。

障害年金は「年金」ですから、「働ける状態かどうか」はおよそ1年単位で考えます。

つまり、1年以上フルタイルで働けた事実があるならば、次の更新時に支給停止になる可能性はあると見ています。

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下記は、2013年7月4日 社会保険審査会の公開審理の一部です。

半日の公開審理で6件の「精神疾患の就労と3級該当かどうか」案件が審理されていました。

興味深い内容ですので、ご紹介します。

1.障害認定日は休職後の時短勤務中だった。2年後に退職した。時短勤務や休職の事実があっても、標準報酬に変化なしで3級不該当。→知り合いの社労士が代理で容認。

2.うつ病で障害認定日の診断書はほぼ3級相当。しかし、障害認定日の前月に就職し、営業職勤務で3級不該当。親の介護、家のローン、高校生の子供のために就職した。半年で退職したが、すぐ転職、退職の繰り返し。→知り合いの社労士が代理で棄却。

3.請求日時点でタクシー運転手として就労していた。退職時の離職票では10日/月、6日/月、0日/月→解雇。標準報酬も歩合制のため6万~7万と少ない。3級不該当。

4.障害認定日・請求日共に就労していた。休職2回の後は軽作業勤務の配慮を受けた。標準報酬は30万から28万円(請求日)と下がっている。3級不該当。

5.障害認定日(平成18年)3級不該当、事後重症(請求日)で3級決定。障害認定日頃の就労は、宅建資格あり不動産会社で接客業務だった。しかし、病気のためミスが多くなり、ポスティングやコピー取りの裏方仕事になった。診断書は障害認定日の方が重いが、就労できていたため3級不該当となった。

6.障害認定日の診断書は3級相当。就労6日/週で3級不該当。申立書に「お腹に悪いものがいる」と書いてあり、「こういう方は就労していても3級に該当するのでは?」と参与が意見していた。(参与は国民の代表として意見を言うので、通常は応援してくれます。)

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いかがでしょうか?想像以上に厳しくないですか?

弊事務所での面談時に、依頼される多くの方は「できるなら3級を遡及で認められたい」と希望されます。

私も出来る限り、遡及で認められるように書類を準備していきますが、

障害認定日(以降)に、時短勤務・休職・障害者雇用などの事実がなく、

標準報酬や賞与が平均よりも高めを推移している期間が2年以上ある場合、
(それでも運よく3級で認められる可能性はなくはないですが、)

3級で遡及受給できることには、あまり拘らないでくださいとお伝えしています。

それにしても厳しい現状ですね。「ボーダーライン」は、これ以上引き上げないで欲しいと切に願っています。

そうでないと、労働に支障があるのに3級が受給できない!というおかしな現象が蔓延してしまいます。

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障害認定基準の改正(肝疾患)2

2013-09-12 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

先週(9月5日)、障害年金の認定(肝疾患による障害)に関する専門家会合(第2回)を傍聴しました。

今までも障害年金の認定基準に関する専門家会合は傍聴してきましたが、

肝機能障害に関しては、第一回目より傍聴人が多いことに驚いていました。

傍聴人の多くは、患者団体や肝炎訴訟原告団の方々であることがわかりました。

第2回の専門家会合では、これら団体の代表者より意見を述べる時間が設けられていました。

私の叔父も肝炎訴訟原告団で活動していました。闘病中にも関わらず、北海道から厚生労働省に来ていたことを思い出されます。

患者団体や肝炎訴訟原告団の方々より、障害年金の認定基準改正に際し、下記2つの要望がありました。

「検査項目の数値をChild Pughだけにすると、満たさない人が出てくるので別の項目も追加して欲しい」

「慢性肝炎を障害年金認定の対象から外さないで欲しい」

これらの意見に対し、専門医より意見が出され、専門家会合は進行していきました。

【重症度判定の検査項目】

Child Pugh分類と同じ検査項目にするかどうかが検討されています。

検査項目はChild Pughと同じですが、検査数値による等級該当はChild Pughより少し緩めになっています(良く見ないとわかりません)。

「血小板数」を検査項目に残るかどうか が検討され、入れない方向になりそうです。

現在の認定要領2(4)に記載の検査項目ALPとCHEは重症度を反映する検査項目でないので削除することに決まりました。

【慢性肝炎の取扱い】

原則として認定の対象にしない、という文言は変わりません。

通常はインターフェロン治療を続けていると異常値は治まるのですが、それでも異常値が出る方については認定の対象とします。

来年、画期的にインターフェロンによる治療法が変わるそうです。

インターフェロン治療が少なくなり、治療による労働の制限が減ることが予想されるそうで、

新しい治療法を見据えて障害認定基準も改正されるべきとの意見が出されていました。

【肝移植の取扱い】

肝移植後の経過観察の期間について、検討されています。

専門医(肝臓移植外科医)に意見を聞いたところによると、

移植後は6カ月で安定し、1年を経過観察期間と定めることは十分な期間であるとの意見だったそうです。

現在は、免疫抑制剤に関する記載があれば等級をつけ、その後、再審査で状態を見て個々に判断しているそうです。

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次回(第3回)の専門家会合は、10月3日(木)に開催予定です。(全3回)

それにしても、肝機能障害の認定基準は理解するのが難しいです。

検査数値で決められた等級に対して、不服申立(審査請求、再審査請求)で覆すことは、

非常に難易度が高いな~と改めて感じました。

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障害認定基準の改正(肝疾患)1

2013-09-03 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

先日、障害年金の認定(肝疾患による障害)に関する専門家会合(第1回)を傍聴しました。

下記はそのまとめです。

【改正の背景と現状】

障害認定基準は平成14年3月に全体を改正後、

「肝疾患による障害」については約10年間見直しが行われていなかった

この10年間で治療法を含む医学の進歩は目覚ましく、

検査方法や数値も変化しているため、

現状に則した認定基準に改正することとなった。

【主な変更点】

主な検討課題は下記3つです。

1. 重症度を客観的に判断できるような基準に改正する。
2. 慢性肝炎の取扱いについて
3. 肝移植を行った場合について

【重症度判定の基準】

客観的に等級判定ができるように見直すことが目的です。

概ね、下記3点の項目を診断書に正しく記載してもらい、それを参考に等級判定することとなります。

Child-PughのA~Cのスコア
+
検査項目の数値
+
一般状態区分 ア~オ

【慢性肝炎の認定】

障害認定基準では「慢性肝炎は、原則として認定の対象としない」と定めています。

その理由は、治療で99%コントロールできるため、日常生活への支障は等級に該当しない、という解釈です。

しかし、治療のために労働に支障がある場合もあります。

また、傷病名が「慢性肝炎」であっても、検査数値をみると「肝硬変」であること、

または、そのボーダーであることが見受けられるそうです。

傷病名が「慢性肝炎」であっても、それだけを理由に事務方がはじいてしまわないように

認定基準を改正したらどうか、ということが話し合われています。

【肝移植の取扱い】

現在、肝移植を含む臓器移植の取扱いは、認定基準の第18節「その他の疾患」で定めた基準(下記アとイ)に則っています。

ア 術後の症状、治療経過及び検査成績等を十分に考慮して総合的に認定する。

イ 臓器移植後、少なくとも1年間は従前の等級とする。等級が3級の場合は、2年間の経過観察を行う。

拒絶反応と再発については個人差があります。それを踏まえて、経過観察の期間や再認定について話し合われています。



第2回の専門家会合は、9月5日(木)に開催予定です。(全3回)

傍聴したら、またご報告致します。

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