障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

社会保険審査会の統計

2014-07-17 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

社会保険審査会とは、再審査請求(不服申立の2審目)を審理する機関です。

社会保険審査会の平成25年度の取扱状況や裁決状況等の統計が、厚生労働省のホームページに更新されました。

社会保険の不服申立(審査請求→再審査請求)は、社会保険労務士が代理することができます。

ここで容認(または処分変更)されなければ、次は弁護士さんにバトンタッチして提訴となります。

社会保険労務士として代理できる最終段階ですから、社会保険審査会の動向には注目しています。

さて、平成25年度はどうだったのでしょうか。

【社会保険審査会の受付・取扱件数】

平成25年度の受付件数は2,152件、処理件数は1,987件、翌年繰越件数は1,138件でした。

受付件数は平成19年度から1000件を超えるようになり、年度内に処理できない件数が増えてきました。

未処理案件は、翌年度へ繰越となります。

繰越件数が増えているのに、毎年度の受付件数はウナギ登り・・・平成23年度以降の受付件数は、2000件前後を推移しています。

社会保険審査会は、6名の審査委員が3名一組の部会に分かれて合議制で審理しています。

たった6名で審理しているのに、処理件数が1年に2000件以上あるという事実・・・、審査委員は相当な激務と思われます。

それでも、公開審理では内容をしっかり把握されていて、時間はかかるけれど裁決書も送られてきます。

社会保険審査会は最期の砦として機能していると信頼しています(私が扱った案件は容認や処分変更が多いこともありますが)。

処理件数が多く少人数で審査しているため、裁決までかなり時間がかかることは覚悟しなければなりません。

再審査請求を提出してから、公開審理の日程が決まるまで5~6カ月くらいでしょうか。

公開審理日後は、1~3カ月くらいで裁決書が送られてきます。

審査請求(一審目)で3~6カ月くらいかかるので、不服申立を受任すると結果がわかるのはおよそ1年+数カ月後とみています。

【社会保険審査会の裁決状況】

平成25年度は容認件数が大きく増えている!ことに注目しました。

容認件数は、

平成23年度123件
平成24年度126件
平成25年度209件 

原処分変更は、

平成23年107件
平成24年度50件
平成25年度84件 

原処分変更とは、社会保険審査会の要請等に基づき、保険者が再検討を行った結果、原処分の変更が行われ、結果的に認められるということです。

そこで、容認率(容認と原処分変更)を出してみました。

全体(被用者保険+国民年金)の容認率

平成23年度10.9%
平成24年度7.6%↓
平成25年度14.7%↑

被用者保険の容認率■ (被用者保険とは、主に健康保険と厚生年金のことです)

平成23年度12%
平成24年度8.6%↓
平成25年度16.5%↑

国民年金の容認率

平成23年度9.4%
平成24年度6%↓
平成25年度12.2%↑

平成25年度は前年度より容認率が倍になっています!

ちなみに、私たち社労士が代理した場合の容認率を、所属する「障害年金社労士の会ゆいまーる」で出してみたことがあります。

「障害年金社労士の会ゆいまーる」に所属する社労士が代理した案件の容認率は、58.8%でした。

東京都社会保険労務士会の自主研究会「障害年金実践研究会」の社労士が代理した案件の容認率を、書籍「障害年金相談標準ハンドブック」の原稿段階で調べた時も、50~60%でした。

不服申立には専門知識や経験が必要ですから、納得いかない場合は、社労士へご相談いただけたらお役に立てることもあるかもしれません。

社会保険審査会の制度別受付状況

健康保険、老齢年金、遺族年金、障害年金など全ての社会保険の不服申立を扱う中で、

最も件数が多いのが「障害年金」です。

障害年金の占める割合は、

平成23年度 62.2%、平成24年度67.1%、平成25年度72.2%です。

全体の6割~7割以上が障害年金の案件であることがわかります。

最後に感想など・・・

平成25年度は容認率が上がりました。

障害年金の占める割合も上りました。

障害年金を扱う社労士(私も含めて・・・)が増えてきたことが一因となっていたら、嬉しいことです。

反面、実感としてですが、裁定(最初の請求段階)や更新時の審査が厳しくなっているのではないでしょうか。

本来なら、すんなり等級が確定する案件で、思いがけず低い等級だったり(厚生年金で2級確実と思っても3級など)、

初診日であれこれ言われて不支給になったり、更新時に支給停止になったり・・・etc.

今までだったらすんなり決定されるはずが、1年以上費やして不服申立を行わないと容認されない、という厳しい現実が見えてきます。

「行政が決めたことは覆らないとあきらめないで!」

代理する社労士も情報を共有して、日々研鑽を重ねていますから、納得いかない場合は相談して欲しいなと思います。

<参考>厚生労働省 社会保険(再)審査関係統計表

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Chika Yoshino

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言語機能の障害 認定基準改正

2014-07-02 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

「言語機能の障害」を見直すための専門家会合が、一昨日(6/30)に第一回が厚生労働省で行われ、傍聴に行きましたよ~。

専門家会合を傍聴するまでは、高次脳機能障害と併発する「失語症による障害」を加えるのだろうと簡単に考えていました。

ところが・・・、

対象疾患の定義にしても、言語機能に障害をもたらす対象疾患が多肢にわたることを知りました。本当に勉強になりました。

言語機能の障害は、中枢性(脳梗塞など)、末梢性(筋肉の障害、構造物の欠損など)、耳性(高度難聴で発音困難)により生じるということで、とても奥が深いのですね。

そして、7~8年認定医をしているという医師が言うには、耳性(高度難聴)の方が言語機能の障害で請求しているのを見たことがないとのこと。

聴覚の障害単独で等級がつくからかもしれないし、単に言語機能の障害でも請求できることを請求者が知らなかったからかも・・・。


さて、本題の「失語症」については、

現行では診断書の「会話状態」で主に判断していますが、

コミュニケーションの障害は、「会話状態」だけでなく、

「理解面」「発語面・言語消失面」も基準を設けるべきかどうかについて検討されました。

また、現行の「会話状態」は「家族が理解できるかどうか」が判断基準となっていますが、

医師が理解できた場合に「家族が理解できないのに、なぜ医師が理解できるのか!」と本人や家族からクレームがあるそうです。

「家族が理解できるかどうか」でなく、第三者(診断医または言語聴覚士)が客観的に判断するものに変更される見込です。

「会話状態」の評価で参考になる評価尺度として、「ボストン失語症重症度評価尺度」が挙げられています。

「ボストン失語症重症度評価尺度」は、コミュニケーション重症度の判定としては適切で汎用性が高い、とのこと。

課題は、これをそのまま用いると現行よりも厳しくなること。

そのため、このまま用いるのではなく、調整していくことも今後の検討事項になりました。

その他の検討事項としては、人工物の装着や補助用具を用いた場合の判定についても検討されました(現行では規定なし)。

言語機能の障害に関係する人工物や補助具は以下のものがあるそうです。

○顎顔面補綴物
永続性あり。87.1%が装着すると発音に問題がなくなるそうで、これについては眼鏡と同等に扱ってはどうか。

○スピーチエイド
言語聴覚士が入って改善する。非装着で判断するべきではないか。

○気管切開して挿入したカニューレ

色々あるのですね、勉強になります。


検討課題としては最後に記載されていましたが、ちょっと気になるのは、

「喉頭全摘出手術した場合」は現行では全て2級になっていますが、

「手術を施した結果、音声機能を喪失したもの」に改定されるかもしれません。

その代わり(?)「気管切開した場合」も認定基準に入るかもしれません。


以上が、第一回専門家会合で話し合われた要約ですが、検討事項が非常に多い印象でした。

現行の基準があっさりしたものだけに、そんなに複雑で難しいものと思っていませんでした。色々勉強になりました。

今後の専門家会合も傍聴して、しっかり理解していきますよ!

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