障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

障害年金 不服申立の現状

2022-10-15 | 社労士の障害年金
こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。

10月になり、保険料控除証明書が届き始めました。
いよいよ年末の気配がしてきましたね。

さて、令和3年度の社会保険審査状況が公表されましたので、

その結果と不服申立の現状について書いてみます。

【社会保険の不服申立制度とは】

社会保険の不服申立制度は「二審制」です。
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保険給付等の決定に不服があれば・・・

① 社会保険審査「官」へ審査請求(第一審、地方厚生局)。棄却されたら↓

② 社会保険審査「会」へ再審査請求(第二審、厚労省本省)する
————————
このうち、第二審の「社会保険審査会」

令和3年度 社会保険審査状況が公表されました。

前年度との比較では、とりわけ大きな変化は感じませんが、

過去12年の審査状況を比較すると、数年単位の波があるようです。

たとえば、

社会保険審査会の審査委員が交代 → 容認裁決が少なくなったり、多くなったりする

日本年金機構の審査が厳しくなる → 不服申立件数は増える

ガイドラインなどが浸透してきた →不服申立件数は減った

などの波はあるように思います。


【不服申立制度は障害年金が8〜9割を占める】

令和3年度の社会保険審査会の「裁決」の内訳によると

障害年金の占める割合は、

障害厚生年金保険は社会保険の84.5%

障害基礎年金は国民年金の90.3% です。

社会保険で次に多いのが健康保険の「傷病手当金」ですが、

件数でいうと

障害厚生年金の514件に対し、

傷病手当金は39件ですから

障害年金の10分の1にも及びません。

社会保険の不服申立≒障害年金と言えると思います。


【どうしてそんなに障害年金の不服申立が多いのか】

老齢年金や遺族年金、健康保険の療養費などは

よほどのことがない限り、必要書類を揃えて提出すれば通ります。

たとえば、

老齢年金は一番重要な要件が「年齢」です。

一定の年齢(現在では原則65歳)に対して、不服の持ちようもありません。

一方、障害年金で一番重要な要件は・・・

「初診日はいつか」や

「どれくらい症状が重いか(等級に該当するかどうか)」です。

フワッとしていますよね・・・。

一応、障害認定基準初診日認定の基準はありますが、

カルテが廃棄されていて初診日を証明できなかったり、

医師の判断によって診断書の内容が異なったり、

加えて、認定する側によっても判断が変わることもあり、

グレーゾーンが大きいことが

障害年金の不服申立が多い要因ではないかと考えます。


【裁決の容認率は低めで推移】

令和3年度の社会保険審査会の処理状況をみると・・・

処理件数 1,467件のうち

容認  93件
棄却 1,151件
却下  51件
取下げ 168件(うち、事実上の容認で取下げ146件)
 
「事実上の容認で取下げ」とは、

社会保険審査会より保険者(厚労省)へ再検討を促した結果、

保険者が訴えを認め、再審査請求を取下げた件数です。

なので、容認93件+事実上の容認146件=238件は、

不服申立を行って、良い結果が出た件数ということです。

良い結果が出たのは、全体の16.2%・・・

なかなか厳しい現状は変わりません。

なお、「棄却 1,151件」は訴えが認められなかったことで、

「却下 51件」は、2ヶ月の期限を超過したなどの理由で審理もされなかったということです。


【不服申立で決定を覆すことは難しいと考えて準備する】

繰り返しになりますが、

一度下された決定を覆すことができたのは

令和3年度はわずか16%です。

それだけ、不服申立のハードルは高いということ。

最初の裁定請求ですんなり受給できることを考えて

はじめから社労士へ相談して欲しい・・・と思います。


令和3年度の社会保険審査状況 はここをクリック!

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2 年金事務所の委任状を郵送し、ご返送いただきます。
3 納付要件を確認してから、契約書等を郵便で取り交わします。
4 ご契約後は、通常通りに進めています。
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Have a nice day!

Chika Yoshino

障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
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