障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

障害年金 厳しい不服申立の現状

2019-10-28 | 社労士の障害年金
こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。

台風19号の後に、まさかの豪雨災害・・・、

被害を受けた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

さて、障害年金には、不支給や却下だった時に行える

不服申立制度」があります。

第一審は、審査請求(地方厚生局の社会保険審査官へ)

第二審は、再審査請求(厚生労働省の社会保険審査会へ)  です。

どちらも名称が似ていて、分かりづらいですね。

第二審の社会保険審査会の最新の審査状況(といっても平成30年度)が

厚生労働省のホームページに更新されました。

年々、厳しさを増しているように感じていますが、

数字のうえでは、どうでしょうか?

【社会保険審査会 年度別(再)審査請求裁決状況】

直近5年度の「容認」と

「原処分変更による取下げ」の件数、裁決件数は

以下のとおりです。

※「原処分変更による取下げ」は、事実上の容認です。

       容認   + 原処分変更による取下げ / 裁決件数(分母) 
平成26年度 219件  + 233件  / 2,003 件
平成27年度 227件  + 236件 / 2,056件
平成28年度 152件  + 170件 / 2,161 件
平成29年度  99件  + 130件 / 1,848 件
平成30年度  91件 + 113件 / 1,480 件

社会保険審査会のメンバーが変わり始めた

平成28年度から容認件数と原処分変更のどちらも

ガクッと減っていることがわかります。

容認件数だけをみると、

平成27年度の227件だったのが、

平成30年度は、なんと91件!

いかにハードルが上がっているかが、わかりますね。

この結果は実務を通しても

身に染みて実感しています。

【直近5年度の容認率】

上記を容認率として%にすると、以下になります。

※容認+原処分変更による取下げ/裁決件数(分母)での計算

平成26年度 22.5%
平成27年度 22.5%
平成28年度 14.9%
平成29年度 12.4%
平成30年度 13.7%

平成26年度・平成27年度では、

およそ4分の1の主張が認められていたのに、

平成29年度からは、全体の13%前後に落ち込んでいます。

難関試験並みですね。

公開審理での感触が良くて、どんなに期待していても

裁決書が届くと「棄却」だった(涙)ということがあり、

残念な思いが募ります。

不服申立のご相談を受ける時も

「数年前だったら容認されそうだけど、今はどうかなぁ・・・」と

お引き受けするかどうかの判断も慎重になります。

それでも、「この案件は絶対に受給されるべき!」と

強く思う案件は受けていますよ〜。

【どうすればいい?何ができる?】

どうすればいいか?の答えを

考えてみましたが、昨年と変わりません。

以下は、昨年のブログです。

—————————————

小職は、依頼された方が障害年金の受給権を得られるようにすることが仕事です。

そのために、情報を得たり、経験を積んだりして、精進しているつもりです。

「最後の砦」とも言える社会保険審査会でこんなに容認率が下がっているとなると、

それを踏まえたうえで、

最初の裁定請求(年金事務所への提出)において

ビシッと受給できるように尽力するしかありません。

それが一番確実、かつ、決定や受給開始時期も早いです。

残念だなぁ・・・と思うのは、

自分や家族で書類を提出、または、他の社労士が代理したのに

最初の裁定請求でダメだった方からの相談を受けた時です。

提出書類を見ると「これではダメだぁ」と思ってしまう内容です。

数年前ならば(再)審査請求でなんとかなりそうだったものでも

不服申立で覆せる見込みが立てられず、

代理業務を引き受けられないことも多いです(涙)。

そんな時は、他の方法(再度の事後重症請求など)で、

なんとか受給権を得られれば良しとするしかありません。

結論としては、繰り返しになりますが、

もし最初の提出でダメでも、不服申立すればなんとかなる(はず)と期待せずに、

最初からしっかりとした書類を整えて提出する!

今はこれしかないように、私は思います。

—————————————————————

再審査請求のハードルが上がったのなら、

それを踏まえて、

再審査請求をしなくてもいいようにすればいいのです!

皆さまも、不支給や却下になってからでは遅いのですから

早めにご相談ください。

参考資料:厚生労働省 社会保険審査会 年度別(再)審査請求受付・裁決件数等の推移

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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おかげさまで、2015年9月刊行後、2か月で1万部に到達しました。ありがとうございます。

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Chika Yoshino

障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
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障害年金は社労士に依頼するべきか?

2019-10-08 | 社労士の障害年金
こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。

昨日、早くも年末調整の保険料控除証明書のハガキが届きました。

今年もあと3カ月弱・・・。本当に早いですね。

さて、「障害年金の手続きは、社労士に依頼した方がいいのかどうか?」です。

社労士に依頼するか、

自分でやろうかどうかを悩んでいる方も多いと思いますので、

もう少し掘り下げてみたいと思います。

【社労士に依頼しても黒は白にはならない】

まず、初めに言っておきたいこと。

社労士に依頼したからと言って、

障害年金を受給する要件を満たせない方が

受給できるようになることはありません。

例えば、65歳過ぎての初診日(会社員でない方)。

障害基礎年金の受給要件のひとつである年齢要件(被保険者要件)

満たしていないので、社労士が代理しても受給できるようにはなりません。

ただ、障害年金を専門としている社労士であれば、

65歳前に初診日がないかどうか(要件を満たすことができるかどうか)を

相談を受けた時に確認するでしょう。

意外と障害年金の「初診日」の概念を誤解している方もいますので。

納付要件を満たしていない場合も、同様です。

初診日について詳しく伺っていると、

「社会的治癒」が成立しそう・・・と

ひらめくことはあります。

この場合は、黒(絶対無理)ではなく、

グレーだったということですね。

グレーの場合は、社労士が代理していないと難しかったのではと思います。


【本当は白(受給可能)なのに、黒(受給不可)だった場合】

本人や家族が書類を整えて、

なんらかの理由(知識や経験不足)により

本当は受給できるはずなのに

残念ながらダメだった、という相談もあります。

この場合は、社労士が代理で行えば

受給できたかもしれません。

初診日の問題だったり、

障害の等級(診断書の記載事項)だったり、

その両方だったりします。

再度のやり直し請求(再裁定請求)から代理することも多いです。

この場合、お引き受けできるかどうかは、

個々の案件により異なりますから

慎重に判断しています。

【グレーを白になるように持っていく】

初診日の証明ができない(カルテがない)、

どの診断書にしたらいいのか迷う・・・ような

最初から難しい案件では

正直、出してみないとわからない案件もあります。

最近の事例では、

慢性疲労症候群の初診日確定診断日でなく、

会社員で社会保険に加入していた時に受診した日

初診日にして障害厚生年金を請求して

障害厚生年金2級が受給できました。

こういうケースでは、作成する書類に工夫が必要ですから

社労士が代理しないと難しかったと思います。


【結論は、こうです。】

・社労士が代理すれば、グレーを白にできる場合もある

・白が黒にならないように、社労士へ依頼してほしい

自分や家族の状況が、

白か黒かグレーかわからない場合は、

相談してほしいなと思います。

それから、社労士へ相談する時は、

複数の社労士の無料相談を受けた方がいいと思いますよ。

特に、グレーが白になるかどうかは、社労士によって判断の分かれるところですから。


季節の変わり目は気温が変動しますね。

電車では風邪引きの方もチラホラ目にします。

体調を崩さないように、お互い気をつけましょう!!

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