ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

韓国史劇風小説「天皇の母」184(華燭のフィクション3)

2015-05-08 18:20:00 | 小説「天皇の母」181-

その日の朝、北海道でマグニチュード6の地震が起きた。

幸いにして何の被害もなかったのでニュースにすらならなかったけど。

それは姫の降嫁を嘆く地の神の怒りだったのか悲しみだったのか。

それとも、これから起こる様々な不愉快な事を予兆しての事だったのか。

 

住み慣れた皇居からノリノミヤは御料車で帝国ホテルに向かった。

御料車は本来、天皇しか使う事の出来ない車である。

それを特別に嫁ぎ行く娘の為に使用許可を与えたのは天皇だった。

宮は静かに手を振りながら沿道で見送る人々に「皇族」として別れを告げた。

慌ただしく朝食をとり、出発の準備をする娘を父は黙って見つめた。

母は抱きしめて「大丈夫」と言った。

ええ、ドンマーインよね」と娘は答えた。

宮内庁の職員はみな宮の事が大好きだった。

だから見送る時は誰もが涙を流した。

古くからの職員も呼ばれて見送りを許されたので、車寄せは人でいっぱいになった。

「降嫁」と一口に言うけれど、その環境の激変は想像を絶するものだろう。

身分が皇族から平民になるだけではない。

生活環境が変わる。

今までは女官がいて全てを仕切ってくれていた。

「殿下」と敬称を付けて呼ばれていた。

自分の事はなんでも自分で出来る宮ではあったけど、そののんびりとした

性格が世の中に出てうまく機能するのか、それが一番不安だった。

可哀想に」

ぽつりと皇后が口にした事がある。

平民から皇族に登るのは大変ではあるが、一つの「シンデレラストーリー」だろう。

しかしその逆は・・・・

自分の娘がそうなる事に一抹の理不尽さを感じているらしい。

宮はそれを一蹴しただ、「ドンマーイン」と言った。

そして全てのものを自分のかつての部屋に残して行った。

「これくらいは・・・」と言われたものまでおいて行った。

それが内親王としてのプライドであった。

 

時刻通り帝国ホテルに到着したノリノミヤは早速、おろしたてのドレスに

身を包んだ。

それは小石丸で作られた極上のシルク。

純白というより黄金色に見える上質のもの。

そのデザインはいたってシンプルで、どこにもなにも飾のない。

「クラリスのドレス」と宮は呼んでいたが、実際にクラリスよりは袖の

ふくらみはなかった。

無論、花嫁のベールすらない。

神式の結婚式なのにどうして十二単とか白無垢じゃないのかしら

などとひそひそ女官達は話していたが、お構いなしだった。

ティアラすらない、内親王の格式に果たしてそれがふさわしいかどうかは

別にして。紀宮自身が望んだ結婚式だった。

 

式には天皇と皇后も出席。異例の事だった。

皇族の冠婚葬祭には出席しないのが慣例だからである。

平等性や穢れを嫌う性質だからではないかと思える。

皇太子夫妻もホテルに着く。マサコは例の純白のドレスだった。

それはフラッシュの光でまばゆいばかりに輝いた。

記者達はさすがに唖然としたが、それを言葉にする事は許されない。

アキシノノミヤ達も出席。キコは地味なブルーグレイのドレスに身を包んでいた。

神式の結婚式は身内以外出席は許されない。

どのような雰囲気で行われたのか、誰も知らないのである。

神の前で告げるとはそういう事だのだ。

ただ、ノリノミヤからクロダサヤコになった女性はとても美しく幸せそうだった。

式後に行われた記者会見では先にヨシキが

本日に至るまで、様々な方々に支えて頂きながら

よき日を迎える事が出来ました。

両陛下を始め、皇族方のご出席を頂き、滞りなく式が行われた事を

心より感謝いたしております」と言えば横からサヤコが

両陛下、そして、黒田の母に見守って頂きながらとどこおりなく

式が執り行われた事を安堵しております。

婚約を発表しました日より多くの方々に、お祝い頂き

支えて頂きながら今日を迎えられましたことを深く感謝いたしております」

と答える。

夫唱婦随のよい例になりそうな会見だった。

互いの考えを尊重しつつ、心安らぐ静かな家庭を築いていきたいと

存じております。新しい生活を始めて間もない頃は

慣れない事も多かろうと存じますし、また、予期せぬことも

あろうかとは存じますが二人で力を合わせて一歩一歩進んで

参りたいと思います」

それはヨシキの本音だったろうと思う。しかし、この先、そのような

穏やかな生活が来るとは決していえない状況ではあったのだ。

 

披露宴は引き続き、帝国ホテルで行われた。

男性はモーニング。女性は着物とされた。

通常は新婚の二人の親達は末席に座るものであるが、皇室であり

天皇と皇后は誰よりも各上なので、それに連なる皇族方が上座になった。

ここでも、取材の記者達が一瞬、ぎょっとなった。

女性達が全員、あでやかな着物なのに、一人だけ真っ赤なドレスで

登場したのが皇太子妃だったからである。

しかもバックストラップの靴まではいて。

その堂々とした登場ぶりに「さすがマサコ様」と思う向きもあったが

浮き上がっている事だけは確かだった。

これが10年前なら「着物を着るとは知らされていなかった」とか言いそうなもの。

しかし、今回ははっきりと何か月も前から披露宴は「着物」と決まっていたわけだし

その知らせも東宮職は受けていた。

その上で尚且つ、マサコはベルベッド地の赤いドレスを着たのだ。

「着物を着ると気持ち悪くなる」という理由で。

しょうがないので、雑誌は「着物はご負担なので特別にお許しを頂いた」と書くしかなかった。

しかし、隣に座った天皇がさりげなく目をそらすに至って、さすがのマサコも

自分が回りからかなり浮いている事に気づかないわけにはいかなかった。

最初こそ笑顔で座っていたのものの、しまいにはいたたまれず

披露宴の立食式パーティが始まると、姿を消した。

 

それで皆は安心して心行くまで降嫁した内親王に祝辞を贈った。

母から贈られた着物に身を包み、だれよりもしとやかに歩く姿は

どこからみても「クロダ家の妻」であった。

しかし、皇后はそんな娘から目を離さずじっと見つめ続けていた。

例え、今日この日から皇族でなくなったとしても「娘」である事に

違いはないのだからというように。

 

その日の夜、皇居では改めて「家族」だけの食事会が行われた。

天皇・皇后・アキシノノミヤ夫妻に皇太子が出席しての小さな小さな

夕食会だった。

この時もマサコは「アイコの具合が悪い」と言って姿を見せなかった。

 


コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国 → すぐ反応(笑) | トップ | 70周年が近づくにつれ »
最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
インパクト大。 (千菊丸)
2015-05-08 20:36:49
紀宮様の披露宴で、一人だけ赤いドレスでは、浮くのは当然ですね。
インパクト大のドレスでしたね…
サヤコさんは、ミチコ夫人のペットではありません。 (あさき)
2015-05-08 21:52:37
ふぶき様、

サヤコさんの結婚式の場面をありがとうございます。

複雑なお気持ちで嫁いで行かれたサヤコさんのほうが、ミチコ夫人よりも遥かに大人に見えてしまったのは、私だけでしょうか。
内親王として、皇族として生まれ、神官の長の一族として生きる覚悟を、母君にはないほど、深く、しっかりとお持ちでいらした。
そして、何物をも私せず、ご降嫁の時に、内親王時代の持ち物一切を残して行かれた。
お見事なまでの覚悟と自覚、頭が下がります。

母君との決別でもあったのではないでしょうか。
自分を手元に置いて依存し、利用することばかり考える方として、母君を見ておられたのでは。
いつまでも手元に置いて、自分の世話をさせ、支配し、自己満足を満たす形代にしようとしていたのではないかと、そう思いました。
そして、キコ様への嫉妬や、マサコ夫人への異常な肩入れも、全て見ておられた。

「わたくしは、おたあさまのペットではありません。」
「もう、大人になってください。」
「いつまでも、慈悲ごっこなどしていないで、慈愛もどきの自己満足は卒業して下さい。」
「お立場をわきまえて。おかしいです」
そんなメッセージでもあったのではないでしょうか。

ミチコ夫人は、サヤコさんを可哀想がっていますが、本当に可哀想で救いようがないのは、ミチコ夫人ではないでしょうか。

陛下の妻ではあっても、ついに、国母にはなれなかったのですから。
しかも、自分の頑なさと不寛容故に、皇族方のお諭しも聞き入れなかったとあっては、申し開きできないと思います。

ミチコ夫人は、どうなさるおつもりなのでしょうか。
待ってました! (アビ)
2015-05-08 22:04:26
東宮家のおかしさを伝える布教活動にかかせない天皇の母(フィクション?!)を、関西講演会の準備等でお忙しいなか、体調の波が~もなんのその新作をアップしてくださりありがとうございます。
一般人でも披露宴にバックストラップの靴はありえないよなぁ~と当時思ったのを鮮明に思い出しました。
常識がないのか恥知らずなのか…どちらにしてもこんな皇太子妃がいるなんて我々日本国民は恥ずかしくてたまりませんよ。
ペチコート (ジュゴン)
2015-05-08 23:42:36
サーヤが車から降りた時
ほんの一瞬だが、ペチコートが覗いた
品のよいチュールレースできたペチコート
ジュゴンはその時 わあーなんて高貴なんだろう
シンプルなドレスから垣間見たあのペチコートに
サーヤの皇女としてのプライドを感じたなあ

クロダサヤコ

ジュゴン 実は クロダサヤかと申します
ふぶきの部屋のサーヤよ
(笑)

ドンマイーン!
Unknown (名無し)
2015-05-09 02:14:50
はじめまして。
とても興味深く読ませていただきました。普段から黒田清子さんのファンで、とても思慮深く聡明な女性のイメージがあり、この方が男性だったらいつまでも皇室にいらして下さったのに…と思ってしまいます^^;ですが伊勢神宮の臨時祭主になられた時は本当に喜ばしく、清子様以上の適任者はいないといささか興奮してしまいました。清子様は祭主になるべく使命を持って女性としてお生まれになったのかも、と勝手に思っています。

皇后については、つい最近まで聖母のようなイメージで無条件に信じ込んでいました。ですが、ごく最近A級戦犯発言を知り、は!?と思って色々調べる内に正体を知り戦慄しています。
すっかり騙されていたんですね(笑)
今思えばニュース映像などで天皇皇后を見る度、毎回ではないですが皇后の姿から何かドス黒いオーラのようなものを感じていたんですが、いやいやそんな筈はない、気のせいだと毎回打ち消していました。
あの感覚は正しかった、という事でしょうか。

東宮夫妻は天皇皇后の劣化版だったのですね。

皇太子、秋篠宮殿下、黒田清子様がそれぞれ母親が違う可能性が高い、という事にも驚きです。でもそれは、秋篠宮殿下も黒田清子様も美智子さんの血は引いていないという事ですよね!だとしたら本当に喜ばしく、神の采配の妙を感じます。悠仁様も美智子さんの血を引いていない、という事ですから 
清子様にしても、もし美智子さんの血を引いていたら伊勢神宮の祭神、天照大御神が激怒されていたのではないかと…
確証はなく噂でしかありませんが、美智子さんの皇太子溺愛ぶり、秋篠宮ご一家への冷遇などを見るとやはりそうかと思ってしまいます。

これ以上好き勝手にはさせられないですよね!国民として何かできる事はないか、悶々としています。とりあえず関係省庁に廃太子廃妃、秋篠宮殿下への譲位の要望を伝えたいと思います。
でも美智子さんが皇室にいる限り根本的な解決にはならないでしょうね…

長くなってしまってすいません。ブログ頑張って下さい。応援しています!
Unknown (まりん)
2015-05-09 11:19:21
ああ、清子さまの飾り気のない潔さと同時に東宮妃の配慮のなさが浮き彫りになった一日でしたよね。

清子さまはふだんはおっとりとした風情でいらっしゃるけれど、時に強いお覚悟のような気配を漂わせることがあると思います。

お伊勢さんで池田厚子さまを助けてお役目を務められたときも、気魄のような凜然とした気配があって。池田厚子さまにもやはり内側からの気が感じられました。

内親王として生まれ、育った方ならではのものなのでしょう。
残念ながら、皇后さまには感じられない気配です。
それが、ふぶきさまが時折触れる「育ち」というものなのでしょう。

それから、この時に東宮妃に対して怒りを感じたのも思い出しました。
庶民でも、結婚式に白は着ないし、花嫁より目立つ格好はしない。
いくら花嫁が気に入らなくても、冠婚葬祭のマナー違反は婚家と実家の両方に恥をかかせているわけで、人としてどうなんだろう?と思わずにいられませんでした。

だから、かえって、清子さまの潔さを感じずにはいられなかったのですが。
怒りと憎しみは根本が違う。 (重陽)
2015-05-09 21:18:41
御願いですから、皆様、怒りをもっても憎しみは持たないでください。
特に名無しさん、礼宮様と紀宮様の別腹説は両宮を貶め、身位を傷つけようとする者達の妄言です。
そこは私は決して譲りません。
怒りは正義を呼びますが、憎しみは悪意を呼びます。
これはオカルトでもなんでもありません。人生の真実です。
連投失礼致します (重陽)
2015-05-09 21:28:08
同じコメントには書きたくなかったので、申し訳ありません。
クラリスドレスの美しさに息を呑んだ一人です。
立派なペチコートを穿いていらっしゃるであろう事が見て取れる優雅な裾の揺れ方にウットリとしたものです。
m子妃の思惑から外れて申し訳ありませんが、花嫁の優雅さに夢中で最近迄、どんなドレスだったかなんて知らんかった。わははは。
此処数年の検証の結果、m子妃はペチコートはいてないわね。〇〇の証明だと私は思っています。

あの地味でバンカラタイプかと感じていた方が、羽化なさったのだと、目が覚める思いでした。
悶々として (山茶花)
2015-05-09 22:11:10
ふぶき様 いつも楽しみに拝見しています。
紀宮様の華燭の典は、上品でしたが、余りにも地味というか、髪飾りやジュエリーもなく、いつもの髪型でドレスも極上のシルクの生地が、唯一無二の飾りだったように思えました。
披露宴の和服にいたっては、着物も帯も親の物で、しかも五十代に着用されたもの。いくら若い花嫁ではないといっても、いくらでも華やかにできるのに。
ご本人は、良くても一人娘にこの支度。まさに自愛のお方の本領発揮なんでしょか。
そもそも若い盛りの花嫁姿を、見られなかったのも、そこにあるのでは。
でも黒田さんとは、お似合いの御夫婦です。あの年齢であったからこその、結婚だったかも、しれませんね。
それにしても、花嫁を引き立てるという発想は、兄嫁には全くないのですね。。絶対自分が、めだってやるという悪意が、十二分に現れてます。ドレスコード無視の挙げ句赤いベルベットに、バックストラップ。
この無礼を、叱責しないお優しいお姑様。
紀子さまのご苦労に、頭が下がります。

これもご長男偏愛の母君の、子ゆえの闇から派生しているのでしょうか。秋篠宮ご一家が、いらしてなかったら、皇室不要論に、耳を傾けてしまいそうです。
譜めくりをする人 (猫カフェ)
2015-05-10 09:59:32
 清子さまが降嫁直前に両陛下とお別れの演奏を披露されましたね。陛下がチェロで皇后陛下がピアノ、そして清子さまが美智子様の譜面をめくる係りでした。どうしてもカメラでは皇后がメインで娘は少し後ろに映ります。なぜこんな時まで引き立て役にするのでしょうか。サーヤがもし母后ほど弾くのが上手くなくても主役にすべきではないでしょうか。因みに譜面をめくる役目の人を何と呼ぶのか私は無知で知りません。
 清子さまは真面目で大人しく愛想の良いお手本のような皇女でしたが、ファッションリーダー的な役目は背負ってこなかったのが残念です。皇女が来ておられる服を買おうとか言う話題がなかった。世界のベストドレッサーの御一人に選ばれたことがあるほどの皇后陛下がもう少し気を配っておやりになればよかったのでは。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説「天皇の母」181-」カテゴリの最新記事