ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」23(フィクション・・でしょ)

2011-09-04 09:31:08 | 小説「天皇の母1話ー100話

小さなヒロノミヤは生まれた時から「将来天皇になる皇子」だった。

預かれる宝」と母の和歌に詠まれ、共稼ぎ夫婦の一人っ子という事で多少

甘やかされて育ったかもしれない。

両親である皇太子夫妻は、毎日のように国内を飛び回り、海外へもしょっちゅう行く。

それは年老いた天皇の名代としての仕事でもあったし、

民主主義時代の皇室」の行く末をどうしたらいいかというテーマへの研究活動でも

あった。

皇太子夫妻が目指したのは「福祉に手厚い皇室」のイメージを維持し、発展させる事。

そのために、積極的に障害児施設、老人施設、孤児院などを訪問し、励ます。

高度経済成長期の日本は「敗戦国」のイメージを払拭し、世界に打ってでなくては

ならなかった。その象徴は美しいヒロノミヤの母「プリンセス・ミチコ」だ。

欧米人に負けない位の教養と美貌を身につけていて、立ち居振る舞いも完璧。

まさに皇太子夫妻は日本のイメージそのものを背負っているのだった。

 

小さなヒロノミヤは東宮御所でお留守番の日々が続く。

附育官として彼についたのはハマオ侍従。

彼はキリスト教の教えのもと、ヒロノミヤを立派な天皇となるように教育する事を

終生の目標とし続けた。

ヒロノミヤもまた「おーちゃん」と言って慕っていたが、それでもやっぱり留守がちの

両親への思慕も絶えない。

小さなヒロノミヤは元々おとなしくて臆病で、心の中に僅かずつだったけれど

「鬱憤」を溜め込むような性格だった。

一人っ子特有の「おっとり感」は「理解の遅さ」に繋がる。

東宮御所にいる時はそれでも構わないが、幼稚園で自分と同い年の子らと

すごすようになると、自分と周りの「差」にかなりショックを受けるようになる。

高度成長期の学習院は「お金持ち」のたまり場であり、親達は誰もが「物質的」な

豊かさを子供に与えようとしてた。

新しい服、自転車、かばん、靴・・・・など等、それはそれはきらびやか。

なのにヒロノミヤだけは父のお下がりの制服に身を包み、流行のものなど一切

買ってもらうことは出来ない。

私達は国民が働いて納めた税金で暮らしているのです」というのが両親の口癖。

それゆえに「皇族」として尚一層国の為に、国民の為に尽くさなくてはならないと。

でも、そんな理想、小さなヒロノミヤには理解出来る筈もなかった。

一般庶民から見れば、東京の一等地の広い東宮御所の中で使用人にかしづかれて

育ち、高級品(新しくはないが)に囲まれて暮らしているヒロノミヤを日本一

恵まれた子供だと映る。

しかし、ヒロノミヤとしては「何で一番新しいおもちゃを買って貰えないのかしら」

という気持ちの方が強い。

古いおもちゃは壊れたら直して使う。決して「じゃあまた買ってあげる」とはならない。

大事にしなさい」「人と同じでいる必要はない」こればかり。

おーちゃんと時々でかけるのは博物館とか水族館とか、お勉強に繋がる場所ばかり。

思い切り遊園地で遊んで、好きなだけソフトクリームを食べたい・・・なんて

言えば「ヒロノミヤ様は将来天皇になられる方ですよ」と言われて終わる。

天皇って・・・おじいさまのような?

おじいさまは参内するたびに可愛がって下さるけど、何となく違うんだよな・・・

植物図鑑を見せて下さったり、庭を散策したり・・という事よりも、一緒にどこかへ

行っておかしを買って下さらないだろうか?僕の好きなものだけ。

一緒に食事をすると「残さずに」って厳しく言われるけど、「ヒロノミヤの好きな物だけ

作っておくれ」と大膳に言って下さらないだろうか。

 

そんなわけで、ヒロノミヤは段々そんな自分の感情を押し殺すようになる。

そんな矢先に生まれたのが弟のアヤノミヤフミヒト親王だった。

アーヤは丸々太って元気でよく泣く・・・何であんなに泣くのかな。

可愛いでしょう?」って聞かれる。

お兄様になったのよ。嬉しいでしょう」といわれる。

そうなのかな。嬉しいのかしら?可愛い?でも泣いてばかりいる。

泣くとすぐにおたたさまが抱っこする。

あーやは泣いていいんだね」

ヒロノミヤはぼそっとつぶやいた。

宮様はお兄様になられたのですから、これからはしっかりとなさらないと

いけません。

弟宮を守り、お手本となるのですよ」

とおーちゃんに言われた時、「うん」と答えたものの、どうしてなのか。少しも

理解できなかった。

あーやは泣いていい・・・でも僕は駄目だ。なぜなら僕は将来天皇になるし、

お兄様だから。

なんだかずるい。好きでこんな立場に生まれてきたわけじゃないのに。

そんな言葉にならない気分が小さなヒロノミヤを支配しようとしていた。


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6 コメント

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フィクションとわかってますが (ゆきんこ)
2011-09-04 18:47:15
おそれながら、ハマオ様、

「お兄様になったから」はいかがなものでしょう。

好きでお兄様になったわけではないんですから。

「宮様も、赤ちゃんの頃はああだったんですよ。憶えてらっしゃらないだけで」ですよ!





Unknown (ふぶき)
2011-09-04 19:17:18
>ゆきんこさま
もう最高!!本当にそうですよねーー
(って言いながらおーちゃんが本当にそう言ったかどうかは不明ですが)
多分、「お兄様としての自覚及び優越感」を感じさせようとしたのかなあ。
フィクションとわかってますが 2 (ゆきんこ)
2011-09-06 12:23:52
欲しいものを欲しいだけ買ってもらえて、行きたいところどこでも連れていってもらえる子供なんて、ほとんどいないんです。

↑こう仰ればよろしいと思います。

でも、遊園地やソフトクリーム、たまにはいいと思います。行列に並ぶ体験も兼ねて。

故ダイアナ妃は、王子たちにそういう体験をさせてらっしゃいました。

Unknown (ふぶき)
2011-09-06 17:53:38
>ゆきんこさま
ああ・・そうですね。でもヒロノミヤは多分、かなりそういう「普通の贅沢」に飢えて育ったのかなと思うんですね。私達が小さかった頃は物質至上主義みたいな部分があって、親がいかに子供に贅沢をさせられるかみたいなのがステイタスだったりしましたし。でも皇室は正反対の「清貧」で・・そこに矛盾を感じたんじゃないでしょうか?だから結婚して、周りが言いなりになる優越感を今、味わっているんだと思うんですね。
「清貧」ですか (ゆきんこ)
2011-09-07 16:17:28
私自身の育った家も「贅沢を言う、する」については否定されることがあっても(単にお金がなかっただけかも)、
「こういう暮らしこそホンモノなのよ」などとは全く言われませんでした。

国民と皇室の乖離って、こういうところにもあったのでしょうか。

長々と失礼いたしました。

「天皇の母」の愛読者より。

Unknown (Unknown)
2011-09-07 18:44:28
>ゆきんこさま
こういう感想ならいくらでも!!嬉しいです。これからも読んで下さいね。書く意欲がわくので。

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