ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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宝塚で古典はダメかしら?

2021-02-27 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 久しぶりに真面目に「宝塚」を語ろうかな~~と思っているので、宝塚を見たことのない方やこれからファンになるのでオススメビデオなどを教えて欲しい方、コメント欄よろしく~~

あ、「だいもん」はまず「ドン・ジュアン」を見ずにファンは語れないでしょう。

先日「ダル・レークの恋」を見ながら、菊田一夫作品を今、宝塚で上演するにはかなりのハードルがある事を感じました。

歌舞伎などでは「忠臣蔵」などの古典は毎年のように上演され、ファンも「古いから」とは言いません。むしろ新作については「え~~これが歌舞伎?」とかいう事もありますよね。

宝塚の場合、「ベルばら」が筆頭で「時代遅れ」な作品で、今思えば昭和50年くらいでしたっけ?何であんなにヒットしたんだ?と平成生まれは首をかしげているんじゃないか?とさえ思えます。

いやいや、昭和の「ベルばら」はすごかったのよ。感動したのよ・・・と力説してもそれはあくまで原作を読んでいるという前提付きの感動であった事は確かかも。

「ベルばら」を通して原作に触れる、その逆、結果両方が儲かる方式だったんですよね。ヅカファンとしては白軍服のオスカル様を演じた安奈淳さんがあまりに素敵だったから!フェルゼンの榛名由梨さんがあまりにかっこよかったから!フェルゼンを演じる鳳蘭があまりりにも~~となる。

初演当時から、「セリフ、ちょっとおかしいんとちゃう?は誰もが感じていたことだと思いますが、ファンが植田先生に文句を言うわけにはいかず・・です。

原作ではそれほど「軍服を着た女性」としてオスカルが異様に見えることはなかったのです。だけぢ宝塚では殊更に「女のくせに」「女にだって権利はある」とフェミニストが喜びそうなセリフをつける。

原作者の池田理代子さんは果たしてそこまで「ジェンダー」を意識して作ったかどうかわかりませんけど、とにかく歌劇だとそうなって今に至る。

誰もが古臭い、セリフ回しが独特すぎてついていけない・・もはや原作の片りんもないと嘆く「ベルばら」は今でも伝家の宝刀、なぜか「古典」となって親しまれているのです。

さて、菊田一夫氏ですが、この方について教科書で習うかな・・と考えると、今時の20代は恐らく全員「知らない」って言いそうな雰囲気ですね。

文学史は現代国語の中でも重要な位置を占める筈ですが、明治の文豪ですら削られては昭和の大脚本家なんてあっさり削除ですよ。

私達の年代だって「菊田一夫といえば「君の名は」(新海監督じゃないよ)」程度の知識しかないわけですからね。

でも、戦後の一時期、菊田一夫他、外部の脚本家が座付きに交じって作品を書いていた時代があったのです。なぜ今はないのか不思議ですが、恐らく現代作家と宝塚の間で「現代の思考」と「宝塚的思考」の間の溝が深くなったからではないかと。

昭和20年代、30年代は日本でも韓流・華流真っ青のメロドラマが続々映画化されたりドラマ化されたりで、そんなに宝塚だからって特別なことはなかったのです。戦前なら尚更です。宝塚以上に宝塚的な俳優さんが沢山いましたからね。

 

で、菊田一夫氏ですが、先日お昼を食べていた隣の席の20代らしき数人が

菊田先生の作品っていつも互いに意地を張って終わるのばかりよね」って話していて「なるほどなあ」と思ったものです。

確かに森光子さんで有名な「放浪記」だって、決して柔軟性のあるヒロインじゃないものね。

菊田作品の常として、ファンが引く原因はその「言葉遣い」だと思うんですよ。

霧深きエルベのほとり」でも笑っちゃうような古めかしい言葉遣いが並びます。

ダル・レークの恋」だって、「・・でございますね」連発にはびっくりする人が多いのでは。

例えば今この文章を菊田一夫風に書いてみるならば、昭和の言葉遣いというのは戦前戦後で随分と変わっているのでございますよ。

けれど、「ダル・レークの恋」の恋のラッチマンも、あるいはリタも、あの当時からすると、随分と先を行く思想の持ち主で、ですからあの当時としてはとても、ええ、とても「現代風な」脚本であったのですわ。

血筋や家という存在を、皇族の方々ですら否定する時代なんですもの、一般の方々がわからなくても当然ですわね。

好きなら付き合えばいいじゃん」などと申しますが、結婚は女の一生を左右するもの。そこに真実の愛がなければ受け入れてはいけない。なぜなら失敗したらとても手痛い罰が待ち受けているのでございますからね。

・・・ってこんな感じです。

「霧深き・・・」の場合も、ヒロインの母が運転手と駆け落ちをしたという、とても現代風な背景が語られていて、ゆえに家出するのも致し方ないと思わせ、世間知らずのお嬢様ゆえに恋に夢中になって現実にぴしゃりと平手打ちをくらう。

これは今も共感を得られるのです。

しかし「ダル・レークの恋」は共感する所がない。

ラッチマンの「ボタンの掛け違い」で本来、結ばれる筈の二人が価値観の違いに気づき、それでも女性は安易に男が同じ身分だったゆえに、価値観を取り戻すと考えていたのだけど、ラッチマンは一度思想を決めたら揺るがず、彼女の本性を見てしまったことで傷つき、許さず、去っていく・・・という話で、現代でも共有できそうな話ではあるんですよ。

あるんだけど、ぴゃっぱり言葉遣いが難しいのと、「匂わせ」セリフのせいで紗幕がかかったように難しいの。

・カマラの処女を求める・・・私はカマラ姫を愛しています。と申せば私が何がいいたいかおわかりになるでしょう

OR あなたの命を頂きたい。

・カマラの初夜の回想・・・あの日の夜、あなたは私に何をしたのですか

等々。

 

こういうセリフが好きな私もいるわけですけどね。

菊田一夫といえば日本を代表する作家の一人です。

彼が宝塚に作品を残してくれたことは、大きな財産です。

だからこそ、変にセリフを追加したりせず、まんまでやってほしいと思うんですね。

そして時には古い言い回しを楽しむ余裕も欲しい。

だって新派などでは未だに昭和初期の作品をそのままやったりしてるわけですし。

わざわざ現代的な言葉遣いに替えたり付け加えたりはしないですよ。

ただ、「世相を反映した作品」を排出している宝塚。

エリザベート」ですら、今はもう価値観が古いというか、あの時共感していたエリザベートに共感出来ない自分がいたりするわけで。

そういう意味では宝塚は常に新作を上演するのがいいと思います。

 

 

 

 

 

 


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8 コメント

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マリーアントワネット (しまき)
2021-02-27 08:35:12
ベルサイユのばらは、シュテファン・ツヴィイク著「マリー・アントワネット」をかなり忠実に下敷きにしており、そこにオスカル、アンドレ、ロザリーという架空人物をメインに据えた物語であり、当時ツヴァイクを読んだ私はジャルジェ将軍も実在人物なのかとびっくりしたものでした。
宮廷を舞台にしたきらびやかさ、恋愛の華やかさに加えて、主人公が男装の女性であることは、まさに宝塚向きだと思います。
私は大昔のを1回見ただけなので、「女のくせに」云々が目につくようになるとは思いませんでした。
原作はなぜオスカルが男装の武人かというと、他にも理由がありますが、オーストリアから嫁いでくるアントワネット付武官なので、女性が配置されるということがすんなり受け止められて入ってきます。

この物語の肝は「身分違い」「王妃の恋」「オスカルが女性であっても恋をしてしまうロザリー」等であり、「身分」アンシャンレジームが重要なワードで、オスカルは自分の貴族としての出自に悩み、平民編成の衛兵隊にその身を投じていきます。。って皆さんよくご存じだと思いますが(笑)。

漫画にはフェミニズムはオスカルが衛兵隊の隊長になるときぐらいですかね、問題にされたのは。
だから今、宝塚でそちらが大きく取り上げられているんだと驚きました。

宝塚に関しては全く門外漢の感想ですみません。あと見たのはファントムぐらいなもんで。花總 まり氏は本当に美しかったですよ。声も容貌も。二階席の一番前で見させてもらいました。
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作品にも因るのでは?とは思いますが (スザンナ)
2021-02-27 09:08:17
例えばですが 紫子なんかは如何でしょう?
私は礼・・紫子 舞空・・舞鶴姫 愛月・・風吹
の再演が観てみたいです。
(礼さんの「風吹!わたしを抱け!」なんて涎が出そう!)
おっとイケナイ イケナイ(;^_^A

日々変わっていく日本語や価値観
残念ながら植田先生のセリフは却って笑いを誘う時代かもしれません。
フランスもので「釈迦に説法」だの「敷居が高い」・・有りえませんからね~

ノスタルジックに青春を振り返る・・なんてファンには良いでしょうけど
名作(・・と呼ばれるもの)の再演は
段々難しくなっていくでしょう!
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Unknown (ミロ)
2021-02-27 16:46:28
ふぶき様作品情報ありがとうございます。
なにしろにわかファンのため全く知らないことばかりで。
「ドンジュアン」も知りませんでした。
自分のライブビューイングで見た望海風斗さんの印象は真面目で責任感の強そうな人だったので、色男?とかイメージわかないのですが、近いうちに見てみたいと思ってます。
最後の東京公演が始まりましたね。
ふぶき様もご覧になられたら感想をお伺いしたいです。
だいもんさん、退団されたら事務所はどこになるんだろうとか。
天海祐希さんのおられる研音は明日海さんがおられるから違うんだろうなと。
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Unknown (ゆうこ)
2021-02-27 20:30:19
ダル・レークの恋が作品が古くて受けないのではなく、主役のラッチマンの考えが今の女性に受けないのかも知れませんね。
古くても星影の人なんかはそれなりに共感できる処が有ります。主演な沖田総司だけでなく、山南や土方さん、舞台で着替えを見たのは始めてでビックリした桂小五郎も皆良い役です。組子なら何れを頂いても嬉しい役です。
紫子は主演の紫子より吹雪の役が三倍美味しい役です。私は全ツアーしか見たことがないのでなんとも言えませんが、本舞台で一度は見てみたい(笑)
どの役の男性も悩み苦しみ、でも心根が優しく、女性を慕い大切に思う気持ちに溢れています。
多分菊田一夫さんの描く男性像には其のような要素が少ないのでは?
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Unknown (ゆうこ)
2021-02-27 20:51:42
ベルサイユの薔薇も私は好きですよ(笑)もしやるのでしたら絶対見ると思います。
それでもオスカルとアンドレの組み合わせより、マリー・アントワネットとフェルゼンの組み合わせの方が無理無く見ることが出来ます。
社交の場にオスカルの様な女性が居ても可笑しくは有りません。居たかもね?とも思います。がオスカルから見たアンドレやフェルゼンと言う男性像よりアンドレから又はフェルゼンから見るオスカルとマリー・アントワネットの女性の生き方が解りやすいかもしれません。多分オスカル自体に魅力が無いのでは?女性の身で有りながら軍人に成る。オスカルの一番の山場は近衛兵から衛兵隊に彼女が変わるところが一番の山なんだけど(私はそう思う)、何故か今宵一夜がメインに成っちゃいます。まあ、隊長バスチューユに白旗が、フランス万歳は外さないから良いけど。

一番私が見たなかでイメージに近い人は彩輝直とか朝海ひかるかな?強いオスカルではなく時代に飲み込まれて行くオスカル。こてんは弄くりすぎず素直に演出してほしいわ。
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探し人 (Unknown)
2021-02-27 23:36:26
ふぶき様
宝塚~皇室 幅広い話題を、ありがとうございます。
ところで、宝塚の団員で<探し人>がいます。
 1,ベルばらのアンドレ役だった。
 2,オスカル役の人に、無茶ぶりされて、
   舞台で歌わされた(ソプラノだったらしい)。
 3,テレビかBSで放送されたらしい(昭和だと思われます)。
誰かわからずモヤモヤしています。
ご存じでしょうか?
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Unknown (はらちゃん)
2021-02-28 14:49:26
古典がダメというより、スザンナ様のおっしゃるように、作品によるのだと思います。

今の時代、フェミニストの餌食になるような作品や、シリアスなのに笑いを誘う作品では、新規、とりわけ若い人にはおすすめできないのです。
(かといって、漫画原作の作品ばかりでは、おばさんは辛いです笑)

私達のように、懐かしい思いに耽るだけならそれもありですが、それなりの歴史的背景や時代を存知でないと、「ベルばら」も笑い話にすぎないようですし…
日本物はある程度、時代も理解できると思うので、作品によっては、そのとき適材なトップさんがいればぜひ再演していただきたいですが。
ゆうこ様のおっしゃる「星影の人」なんていいと思います。

とりあえず、古典や漫画原作に頼らず、新作は頑張っていただきたいですね。
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Unknown (ワルキューレ)
2021-03-01 20:34:09
私も「星影の人」に1票投じます(^^)
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