10/28 舞台「ロベルト・ズッコ」観た
ロベルト・ズッコは連続殺人犯。実在の人物がもとになっている。
殺人犯の気持ちなんて分からん
・・・て思っていたけど、引きずり込まれた。
途中から、ロベルト目線になっていった。
私は人を殺さない。だけど何かを壊したい衝動なら、ある。
そのことにハッとして、突き付けられて。
それをよしとするわけじゃないけど、
存在するんだということを目の前にして、
なぜか気持ちが高ぶっていた。
ロベルトに関わる色々な人たちの中にも、自分と重なる部分を感じた。
〔少女〕の家族が言う不幸。でも何が不幸なことなのだろう。
お互いに?自分自身も?縛っているような気がした。
相手のためと言いながら、実は自分のためであるような。
処女、非処女、それについても語られていたけど
私はどちら側の立場でもない。
かなり個人的な考えかもしれないけど、
それは単なる接触じゃないかと思うわけで。
ことさら初めてを特別視することでもないし、
それを越えた先を嫌悪することでもない。
その人が何を選ぼうと、どうであろうと
それは人格とは別物じゃないかと。
どんな気持ちで向き合うかで、そこに意味が生まれて、
値打ちだって決まるというものじゃないか、なんて。
だから必要以上にそれらに振り回されたくはない。
そんなふうに、少々反発しながら観ていった。
人を殺すロベルトを擁護するわけじゃない。けれど
誰にでも、心の奥に巣くう闇のようなものがあって、
それをなかったことには出来ないと思った。
それを口にしないことで、均衡が保たれているとしても。
相いれないものの存在を、相いれないものとして目の当たりにする。
それが現実では、なかなか難しいのかも。
現実では、お互いに歩み寄り建設的なことを語り合うべきなのだろう。
それでも、どうしても、感覚がいうことをきかない瞬間がある。
それに どうにか折り合いをつけていくのは、やっぱり現実、なのかもしれない。
けれどせめて 舞台の世界の中では、自由でいたい。
そこでは、負の感情も登場人物に重ねて、自由に爆発させることも出来るのだから。
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そんな刺激的な舞台。今回も何の予備知識もなしに小4次女を連れて行った。
殺人犯の話ということで、次女的には興味があるということだったので。
しかし、思った以上に刺激は強かった(笑)。
終盤には号泣。隣で私にくっついていた。
難しい言葉や、その早さもあったので、“怖い”イメージだけだったのか
と思ったけれど、それだけではなかったようだ。
帰りにポツリポツリ、彼女が気付いたことを話してくれた。
・〔少女〕の家族はバラバラに見えた。
親や兄姉は、少女のことを本当に大事に思っていたのか?
妹のためにと言いながら、みんな勝手だったような。
言葉とは裏腹なものを感じたようだ。
・どうして〔少女〕の名前がなかったのか。
“小鳥ちゃん”みたいに、小動物のように呼ばれていた。
確かに。名前は大切。少女が ロベルト・ズッコの名前を
あんなに熱心に聞きだそうとしていたのも、何か関係があるのだろうか。
とにかく、名前を呼ばれないのは
個として認められていないような気がして、さびしい。
・どうしてロベルトは〔婦人〕を連れていったのか。
婦人の子どもは撃った。婦人は、自分は死んだ方がマシ、殺してと言ったのに。
そう・・・どこか、ロベルトと似たようなニオイも感じた。
だけど、後になって婦人は子どもの死を悲しむ姿を見せた。
彼女は母親で、ロベルトとは違うのかな・・・て。
・ロベルトは怯えていた。捕まることや他の人の目に。
人を殺す時は感情が無いように見えたけど、そうじゃないな、と。
同感。怖がっていた。攻撃するのは、弱さの裏返し?
・そもそも何故 自分の父親を殺したの?だから捕まった。
殺さなければ良かったのに。何か別の方法はなかったのか。
うーん。よく覚えていない。なぜ、というところ。
些細なことなのか。それが なぜ 殺すほどのことになったのか。
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正直いうと、終盤にかけて 自分はロベルト目線で
破壊の嵐の心境だった(笑)。
受け入れてくれる少女が頬に触れるのでさえ、
拒絶したい、思わず撃ってしまいそうな気持ちで。
暗闇の向こうに転落・・・と共に気持ちも飛んで
破滅的な気分に(笑)。(外では普通に話してましたけど)
だけど次女と話すうちに、少し違う面から気付くこともあって、
それは良かったなと思った。
・・・というように。スッキリするお話ではなく
救われる感じではないけれど、救いはいらない(笑)そんな気分。
ズシンと胸にきたものを抱えて、それぞれが 何かを思い、
日常へ戻った頭の片隅に 残るものがあればいいかな。
何かの役に立つかどうか分からないけど、
何かの瞬間に、ふっと出てくるような予感がする。
ロベルト・ズッコ、特別に異常なのか?
ニュースでもよく見る 似たような事件が
珍しく思えない今の私たちも異常なのか。
ともかくも それは遠い世界の話ではない。