月下樹のおと

樹月けい、オタク母のブログ。アニメ・漫画。お絵かき展示等。義母の介護終わり、義父のご飯お手伝い中。

SARP20回記念公演 『義経記 REMASTER』 5/21観劇

2021-05-24 16:36:37 | 感想★アート演劇 映画ドラマ アニメ等

SARP20回記念公演
『義経記 REMASTER』
四国学院大学 ノトススタジオ公演 
5/21 観劇!

2019年に上演された
SARPvol.16
『平家物語 REMASTER』
の続編です。
こちらも当時、観劇しました。


今年の4月7日には、再構成された
『平家物語 Performance』が
新入生オリエンテーション
一環として
新設アトリウム コイノス
特別公演として
一般公開されたそうです。

そちらは、
残念ながら行けなかったのですが
今回は観劇できました。

平家物語も、義経の物語も、これまでテレビなどで目にする機会もありました。詳しくはないけれど、おなじみの物語。どんな作品になっているのか楽しみでした。

………………………………

物語は、
都落ちする義経たちの一行、
静御前との別れのあたりから。
スピード感のある台詞や動き、音、
着物の現代風なアレンジの
衣装も相まって、
カッコいい感じだな
という印象だった。

しかし、ふと静けさの中、
耳に入る言葉が刺さった。

船を漕ぎ進む中、
語られる戦の惨状。
見たことはないけれど、
なぜか生々しく
頭に浮かぶようだった。

時代や場所、状況は違っても、
戦争や災害や疫病など、
生活を脅かすものは無くならない。

何が良くて何が悪いのか、
どれだけ手を尽くしても
人の力が及ばないこともある。
そんな窮地に立たされた人の
悔しさを感じた。

でもそれは、
ただの嘆きとは少し違い、
大きなものの前に
立ちすくむ者同士の
共感に似ていたかもしれない。

…………………

ちょっと話がそれるのたけど(笑)
個人的に思ったこと。

長い長い旅路、
どこまでも走り続ける姿が
胸に迫ったのだけれど…………

力強く腕を振り、振り、
振り続ける動き!
肩の関節の可動域…
その差を見せつけられた(笑)。

私、こんなに動かないわ〜(笑)。
一朝一夕にはいかないことだろう。
でも、
そんな身体的なこともあるけど
それぞれの気迫を感じた。


あと、静御前の場面で流れた
クラシック曲。
あ、あれ!
私のスマホ目覚まし
アラーム曲のひとつだ(笑)。

ベートーヴェンのピアノソナタ
第8番 悲愴 第2楽章。

悲愴という名ではあるけど
どこか心が落ち着くメロディ。

…というように、合間で
小ネタ的に楽しんでいた(笑)。

…………………………

静は、義経たちと別れた後
頼朝に捕まってしまう。

その義経と最期まで共にいたのは
正妻の郷(さと)御前。

妾の静は男子を産み、
男子ということで殺され、
正妻の郷は女子を産み、
共に生きられた。

それぞれの女性、
生まれた子の祝福の度合いなど、
その姿が対照的に感じられた。
自分は現代の人間ではあるけれど
複雑なものを感じた。

同じ人間なのに、
立場や状況が違うと
扱いも違ってしまう。
それは今の世にもあると思うから。


義経と行動を共にした郷と子は
その後、窮地に陥った彼らと
運命を共にし、死ぬことになった。

静は生きながらえたのか?
表舞台からは去る様子だった。

何が幸せなのだろう。
生きること、死ぬこと、
それだけでない
もっと複雑な何か。
簡単に答えは出せなかった。

………………………

逃げに逃げた末、
勝ち目のない戦いに
挑むことになり、
彼らの気持ちはどんなだったろう。

今の、
先の見えない世の中にも
少し似ているような気がした。


何もかも
色あせて見えるという義経に、
山に詳しい従者が
様々な色の木や生き物を
語るところが好きだった。

自分は時々、
自然や生き物の番組を
見ることがある。
人間よりも遥かに厳しい
生存競争の世界。
死にものぐるいの食物連鎖。
けれど、死んだとしても
何も無駄にならない 命の繋がりが
人間よりも、
よほど尊く感じられる。


それに似たものを感じた。
どんなに短くても、どんな最期でも
懸命に生きる命の色や輝きがある。


そういうものを見たとして、
現実の自分の状況が
たちまち好転するわけでもない。
けれど、人間の、自分の、
心や体を一瞬離れることはできる。

それは良かった。
日常において、自分から離れるのは
なかなか難しいことなので。


最後の場面、
上から舞い落ちる白いものが
きれいだった。
桜の花びらみたいだと思った。
人が集い見て
楽しむことができなかった
現実にも重なって見えた。


何も変わらなかった、ことはない。
何も無駄なものはない。
形はなくても生きている。

それこそ
こんな物語を通して

それぞれの人間の体や
立場や、時代を超えて
共有できるものがある。

それを感じられる瞬間は、
少なくとも
私にとっては大切な時間なのだ。

……………

長いけど…余談。

カーテンコール、
出演してた皆さんが
最初に出てきて、拍手して、
その後 拍手が鳴り止まず
2回、出てきましたね〜!

熱のこもった拍手でした。

特に何回と決まってないけれど
客席の温度が上がって、
もうちょっと〜な感じ、
好きです。

しなきゃいけない
同調圧力じゃなく、
自発的に生まれて、それがたまたま
周りの人と同じような熱量で、
一緒に盛り上がった〜、
みたいな感じ。
言葉じゃなくて肌感覚。

それだけでも嬉しい。

勿論、作品が良かったら嬉しい。

仮に、拍手があっさりしていても
それは…その時の
お客さんにもよるだろうし、
作品のよしあしと
同じとは言えない。

それでも、
見ず知らずの周りの人と
その瞬間、一体感を得られる、
これは何ともいえない嬉しさです。

そういうことを感じ辛い日常なら、
尚更、嬉しく感じますよね〜。
生の舞台、劇場ならでは、です!

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