伝統ある英国の10吋ユニットで、いい音で音楽を聴きたい・・・・・

音楽好きの、古いオーディオ機器10吋TANNOYを改良して聴くダメオヤジの金ちゃんです。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(BWV1001-1006)の考察

2024年06月05日 | J.S.バッハ関係

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータと言われる、3曲ずつのソナタとパルティータ合計6曲からなる曲である。
「ソナタ」は、イタリア風の「教会ソナタ」様式に基づく、峻厳な音楽。
 一方「パルティータ」は、舞曲を連ねたフランス風の組曲様式をベースにしている。特に皆さんご承知の如くPartita No. 2 in D minor, BWV 1004: Ciaccona(シャコンヌ )は有名で、3拍子の舞曲の一種である。
この当時のバッハの音楽はイタリアにも勿論フランスも出掛けてはいなく、中南米からはいったスペインの舞曲を起源のシャコンヌ等流行り物を自分の曲の制作に取り入れ常に新しい作品作りは素晴らしい事である。

近年、バロック・ヴァイオリンなどのピリオド楽器による演奏など、バッハ当時の演奏様式に即した名演が多く聴かれるようになった。そんな時代だからこのディスクを聴くと、前時代的・一昔前の演奏スタイルと断じてしまう人もいるだろう。抜群の美音と超絶的な技巧の冴えをもって、どこまでも自己の内面へ沈潜していく祈りにも似た演奏スタイルは好悪が分かれるのは仕方のないこと。私は感動した。第1番の第1楽章アダージョはゆったりと静かな演奏だ。第2楽章のフーガも余り速いテンポは採ってない。どちらかと言えば丁寧に弾いているイメージで、細かいパッセージの再現性は完壁。全身に鳥肌が立った。


バロックヴァイオリン

モダン楽器でバッハを演奏することの意味を深く考えさせられた。モダン・ヴァイオリンと異なる点として、バスバー(胴体部分の内部に縦についている棒)が小さいこと、駒の下部が比較的薄く上部が比較的厚いこと、指板が短いこと、ネックが太いこと、アジャスターがないこと等がある。 しかし、最も重要な違いは弓である。
思うにビジュアルからでも基本的なことは知った事で新たな事柄が判明するかも知れず、一般的な事を表記しておく、勿論オーディオ趣味とは意外と範囲も広く知ると音楽の関わりも一段とファかくなる様にも思う次第である。
先ずは見た目からいくと、バロック奏者は基本的に顎あてを使いません(使う人もいますが、遠慮がちに小さめのものだったりします)。
弦は、E線からG線までガット弦の場合もあれいば、E線とA線はオープンガット弦(外側に銀線を巻いていないガット弦です)で、G線はモダンでも使われている、外側を銀線でカバーしたガット弦、D線はどちらもありですが、銀線を数本巻き込んだオープンガット弦を使う人もいます。
ガット弦とは、基本羊の腸を撚って作ったもので、だいたい黄色っぽい外見になります。



ヴァイオリンについての解説があり今回コピーさせていただいた。
バロック楽器はモダンに比べると、
 1、駒が低めで、カーブも緩やか。
 2、ネックが楽器の胴体に対して水平に取り付けられている。(モダンは弦の張力を上げるためちょっと斜めになっています)これに伴って、指板が弦の上昇に合わせるように取り付けられています。
 3、魂柱(楽器の中に立っている小さな柱のようなもの。実は弦の張力を楽器の中から支えている)が少し細い。
 4、バス・バーと呼ばれる、楽器の表板の裏側についている棒状のもの(上手く説明できませんが・・・)が細く、短い。
 5、これは楽器の注文主によって違いますが、指板が短い。
という違いがあります。とはいえ、楽器の基本構造は、400年来全く変わっていません。
バロック楽器は、
 1、音量が小さめ
 2、高めの倍音が多く聴こえるせいか、線の細い音がする
 3、実は、モダン楽器より雑音が多い(バロッックの方が柔らかい音がすると思う人がけっこう多いですが、実はモダン楽器は極力音が滑らかに、そして均一に出るように改造されていて、雑音はとても少ないです。)
バロックとモダン楽器の鍵盤楽器で比べれば、チェンバロの音とピアノの方と比べピアノの方が滑らかですよね。違いは鍵盤楽器がわかりやすいのかも知れません。

それと一番判別しにくいのが弓であり後期バロック弓とモダンの弓は実によく似ている。一般的にはバロック音楽と弓は初期バロック弓が多く使用されますが、



初期バロック弓
コレッリタイプ、クリップオンタイプ スクリューなし)
対極にあるのがコレッリタイプの弓。これは元に比べて先のほうが極端に力がかからない構造になっており、一つの音を弾いても元と先では音色、音量が変わります。昔はそれが当たり前だったのでしょう。いかにも人間の会話、言葉をしゃべるような表情がつきます。シャフトの中に空洞がなく、金属部品もないので発音がとても良い。さらに、短めで運動性能が良いので、ビバルディなどの早いパッセージは弓が自然に動いてくれる。音の立ち上がりが早く、切れもよく、いかにもダンス音楽を弾いていた弓という感じがします。シャフトはスネークウッドや各種のハードウッド(固木)。フロッグもスネークウッドやホーン(水牛の角)など



後期バロック弓
次のいわゆるバロック弓は、単音の中で強弱はつくものの、コレッリ弓よりは長い音で表情をつけられる。少しモダンに寄ってきます。一般にシャフトはスネークウッド。フロッグなどのフィッティングパーツはスネークウッドやそのほかの各種樹種、象牙(いまはワシントン条約の関係でマンモスの牙やカセインで代用)などが使われます



クラシカル(トランジション)弓
さらにクラシカル弓になるとだいぶモダン弓に近い感触になります(それでも単音に表情がついて自然に語りかける感じは備わっています)。そういう意味ではバロック~近代の音楽を楽しむ皆様にとっては汎用性のある弓でもありますし、もっともっと知られて良いのではないかと感じました。シャフトはこのあたりからフェルナンブコが使われるようになりました。フロッグには象牙やエボニーも使われます。モーツァルトからハイドン、ベートーベンらの時代です。



最近はJ.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ全集を聴くことが多い。これは筆者のオーディオ機器が打楽器の演奏より弦楽器に工合よく対応する為なのか知れない。現在使用するTANNOYⅢLZ in GOODMAN AXIOM80Cabinetはヴァイオリンの音の特質を上手く聞かせるコツを熟知しているかの如くでもあり、実に上手い事鳴るのである。使用アンプも安価な三極管アンプとの相性も偶然にもマッチする様である。
以前筆者はオリジナルTANNOY IIILZ in Cabinetを愛用していましが、評論家諸氏はオリジナルの音が一番と解説している、例えば国産箱に入れたHPD295ユニットの音はオリジナルと違い劣ると雑誌等で紹介記事を目にして、このTANNOYオリジナルの呪縛から変えられなかったが、AXIOM80の箱を入手して以降試した結果、箱は大きな箱が断然有利ではと思う様になった。

その為随分いろいろな事を学び、しかも一時は石のアンプで何処まで再現できるかを試み多くの石のアンプを取っ替え引っ替え試すが擦る楽器要するに弦楽器演奏の音には三極管アンプには全く敵わなかったのである。全くの時間の無駄な極みでもあった・・・。
しかし上を見ればキリが無くこの程度の音楽を聴くには充分であり、このシステムを構築するに意外と神経質なユニットとエンクロージャーの些細なセッティングにも随分の月日を費やした。そのため高価なフロートボードは使えずボードは自作した物を使用しています。

ヴァイオリンの音色は生ヴァイオリンの音を聴けばわかるのですが、想像以上の大きな音がします、勿論機材を使った再生に於いては、低域もたっぷりの音が出るエンクロージャーが有利に思います、この様な擦る音のユニゾンの音は一歩間違えが雑音となる事この上ないのです、その辺りは三極管とTANNOYのユニットは実に明快に上手く鳴らすことができる壺を心得ている様もある。



最近見つけたCDではあるが、2010年の吹き込みでリザ・フェルシュトマンLiza Ferschtman(ヴァイオリン)で1979年、オランダのヒルフェルスムでロシア系ユダヤ人の両親のもとに生まれる。父親はチェリストのドミトリ・フェルシュトマン、母親はピアニストのミラ・バスロウスカヤ。5歳よりヴァイオリンを始める。イヴリー・ギトリス、イーゴリ・オイストラフ、アーロン・ローザンドらに師事。ハーグ王立音楽院、アムステルダム音楽院でヘルマン・クレッバース、カーティス音楽院でイダ・カヴァフィアン、ギルドホール音楽・演劇学校でデイヴィッド・タケノに師事。これまでにコンセルトヘボウ管弦楽団、ロッテルダムフィルハーモニー管弦楽団、ベルギー国立管弦楽団などと共演。

2010年に来日し、下野竜也指揮の読売日本交響楽団と共演し、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を披露している。2004年にフランク、ドビュッシー、プーランクのヴァイオリンソナタを録音でCDデビュー。これまでにベートーベン、ドヴォルザーク、メンデルスゾーン、コーンゴールド、バーンスタインのヴァイオリン協奏曲の録音をリリース。2005~2006年にがけてピアニストのイノン・バルナタンとともにベートーヴェンのヴァイオリンソナタの全曲録音を行っています。ヴァイオリストも色々居ますが兎に角新鮮な音を聴かせる彼女の演奏は大変興味深い。



リザ・フェルシュトマンは2枚のJ.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとイザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタを発売しているが、兎に角恐ろしくキレがあります。演奏はいたってスマートでしかも大変クール、表現力が豊かでかつ透明感ある音色が魅力的です。どこか孤独で憂いがあり,またどことなく冷たい肌触りも感じられこの辺りがバッハの音楽の演奏には実に合う様におまいます。旧来のモダンでもなく,ピリオドに傾くこともなく、洗練性を追求したこれぞモダンらしい演奏とも思える深みのある演奏は大変素敵出す。

オランダを活動の拠点として、高い人気と実力を誇る若手ヴァイオリニスト、リザ・フェルシュトマン。来日も多く、2010年1月にも下野竜也指揮読売日響での公演を行っています。2006年オランダの音楽家にとって最高の栄誉ともされる「オランダ音楽賞」を受賞、オランダの主要オーケストラ全てとの共演を重ね、海外のオーケストラからの招聘も多く、レナード・スラトキン、レフ・マルキス、ローレンス・レネス、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、フランス・ブリュッヘン、エド・スパンヤール、ティエリー・フィッシャー、メンディ・ロダン、クリストフ・フォン・ドホナーニ、シュロモ・ミンツなどの指揮者と共演。情熱と知性を併せ持ったその演奏は国際的な注目を集めており、自身で室内楽音楽祭を主催するなど、活動も多岐にわたる才能です。
そのフェルシュトマンの新録音は、ヴァイオリニストの実力が鏡のように映し出される、大バッハとイザイによる無伴奏作品集。



J.S.BACH/YSAYE WORKS FOR VIOLIN SOLO

録音 | モノラル/ステレオ
【曲目】
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
 1.Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: Adagio
 2.Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: Fuga. Allegro
 3.Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: Siciliana
 4.Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: Presto
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 作品27-1
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
 9.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Preludio
 10.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Loure
 11.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Gavotte and Rondeau
 12.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Menuet 1 and 2
 13.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Bourree
 14.Partita No. 3 in E major, BWV 1006: Gigue
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 作品27-2
【演奏】
リザ・フェルシュトマン(ヴァイオリン)

楽曲の解釈は割とロマンチックで、美しく旋律を歌わせることを優先し、フレーズ毎のまとまりを重視するようではない。形はスタイリッシュで、情熱的に歌うために形を崩すようなことは全く見られず、実にJ.S.バッハらしい、とても端正な演奏になっているところが良い。



Liza Ferschtman plays Biber, Bartok, Berio, J.S.Bach

合計収録時間 | 01:18:00
【曲目】
ビーバー:パッサカリア「守護天使」C.105
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117
L.ベリオ:セクエンツァVIII~ヴァイオリンのための
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
 7.Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: Allemanda
 8.Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: Corrente
 9.Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: Sarabanda
 10.Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: Giga
 11.Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: Ciaccona

【演奏】
リザ・フェルシュトマン(ヴァイオリン)
【録音】
2013年7月15, 16日(ビーバー、バッハ)、10月27, 28日(バルトーク)
2014年2月14日(ベリオ)

このCD2枚では全曲は含まれていないので、パルティータ第1番ロ短調 BWV 1002、ソナタ第2番イ短調 BWV 1003、ソナタ第3番ハ短調 BWV 1005の音楽ソースを早く発売していただける事を望みます。
この演奏の優れた箇所は、静寂の中で演奏されているような,ある意味現実感の希薄な不思議な感じのする録音ですが,もちろん悪い印象ではありません。如何にもJ.S.バッハの音楽を楽しむ曲はこの様な演奏で曲の空間に身体ごと溶け込み浮遊した様に感じたのである。ブラボー!

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1 コメント

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シャコンヌ  (mobu)
2024-06-17 21:01:04
無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ
はなかなか手ごわく、モダンとピリオド
楽器と本当に演奏家の音源を聴くと、
その時代が感じ取れるような時があります
ね。
バロック・バイオリンの音の柔らかさに
聞こえるのは、雑音も含まれているという
のは初めて伺いました。
ガット弦だとさすがに柔らかそうな響きを
連想しますが、ヴァイオリンの作りも
モダンとは違うという考察も面白く拝見しました。

個人的にハードルの高い無伴奏関係では、
聴き通した回数も少なく、今回例題に上げ
られていた、シャコンヌは結構色々聴いた
のですが、どちらかというと、ギター
編曲版でそちらの楽器の試聴歴のほうが
多いので、ヴァイオリンの魅力に迫る
ことができておりません。
リザ・フェルシュトマンはイザイの
ソナタの全曲盤を聴いてみたく思いまし
た。バッハとイザイでは使っている楽器も
違うのでしょうか。
YOUTUBEのシャコンヌは画がある
せいか集中できました。重音がいいです
ね。
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