12345・・・無限大  一粒の砂

「一粒の砂」の、たわごと。
無責任結構・ 中途半端・ちゃらんぽらん・ 出たとこ勝負、で参りましょう!

ユリウス・カエサル21

2009年01月31日 09時31分07秒 | Weblog

 ガイウス・ユリウス・カエサルより38歳年長のルキウス・コルネリウス・スッラは、制度疲労を起こした元老院体制を本来の体制に復活しようとした先鋭的急進的元老院派の代表選手だった。

 小生の目からは過激な保守派の代表選手に見えるスッラは、民衆派弾圧で4800人にも及ぶ殺戮を冷徹平然と実行した。

このとき、まだ少年期のカエサルは、身の危険を感じ国外逃亡をせざるを得なかった、また幾多の過激な殺戮を眼にした青年カエサルの心に非道に対する反感を抱かせたのに違いない。

後年の彼の寛容の精神は、生来の性質とともに、このような悲惨な光景を眼にしたことにあるような気がしている。

 カエサルとスッラは、人の能力・性向としては、強い信念・行動力・人望などで卓越した人物としての多くの共通点がある、それを詳細に対比してみるのも面白いのである。

第一に、二人とも、ローマきっての名門貴族ながら、それまではほとんど歴史に登場しない傍系貴族出身。
第二に、当代きっての知性の持ち主、第一級の教養人。
第三に、背が高く痩せ型、品位のある立ち居振る舞いで、いつでもどこでも目立つ存在。

第四に、早熟天才でなく、四十代で全開した。
第五に、金の重要さは知っていたが、私財を貯えることに無関心。
第六に、目的をはっきりさせ、部下達から慕われ尊敬された。

第七に、二人とも、もはや元老院には統治能力がないと見通したが、スッラは元老院の機構改革で解決しようとした保守派であり、カエサルは元老院体制の廃止すなわち国体の改造、新秩序の樹立を目指した革新派だった点が異なった。

第八に、両人とも従来の考えに捕らわれずすこぶる大胆に行動した。

スッラはたとえ内戦であっても歯牙にもかけず迷いも不安も持たなかったが、カエサルは、ルビコンを渡ることによっておきる内戦の悲惨さを思い迷ったのであった。

(スッラは、「民衆派」との内戦とその後の反乱者4800人の惨殺をこともなげに実行した。13歳のカエサルは、内戦の悲惨さを伯父達の死を見ることも含め心にとどめたのであった。

生来の性質と共に、この恨みや怨念や憎悪が後々まで後を引き復讐心が共同体の力を結集する妨げになるという経験もカエサルが人を大切にしたことの要因であった。)

ルビコンを越えるときのカエサルの言葉が彼の思いを物語っている。

「ここを超えれば、人間世界の悲惨。超えなければ、わが破滅」

そして迷いを振り切るかのように大声で叫んだ。
「進もう、神々の待つところへ、われわれを侮辱した敵の待つところへ、賽は投げられた!」