12345・・・無限大  一粒の砂

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ユリウス・カエサル20

2009年01月21日 06時49分08秒 | Weblog

 ユリウス・カエサルは皇帝ではない、彼はブルータスらの凶刃に倒れついに皇帝になることはなかった事は、皆さんよくご承知の通りである。。初代皇帝は義理の息子のアウグストウスであった。

ローマ皇帝の三大責務は、第一に安全保障(異民族との戦に勝利すること)、第二に国内政治、そして第三にインフラの整備(街道や水道や公共の建物など)

五賢帝の一人にトライアヌスという皇帝がいた、AD98年1月、13代皇帝になった人である。この人が、皇帝の三大責務をどのように遂行したか見てみよう。

第一の安全保障、これは異民族との戦に勝利し侵略を防止することである。特にダキア戦役で勝利ドナウ川以北の異民族の侵入を防止したのは有名である。

第二の国内政治では、多くの人民に資する政策を実行したが、その一つとして以下に、育成資金を紹介する。

そして第三のインフラの整備(街道や水道や公共の建物など)では、AD107年から112年間広範囲の公共投資を行い、歴代皇帝の中でも有数の公共投資を行った。

トライアヌス以前は、土地の有力者や資産家が個人的な育英資金の基金となる巨額の寄付をするというのが伝統であった。すなわち個人による育英資金の制度はずいぶん昔から行われていたが、

国家制度としたのはトライアヌスだった。
嫡出の男子 ― 16セルティウス/月
嫡出の女史 ― 12セルティウス/月
庶出の男子 ― 12セルティウス/月
庶出の女子 ― 10セルティウス/月
が成人(男子17歳、女子14歳)になるまで支給された。

 この当時、軍団兵の月給が75セルティウス/月であったから、かなりの額と言えるであろう。この法は、同時に少子化対策としても大いに効果を発揮したそうである。

この制度は成人までと期間が長いのが幼少期のみに制限されている現代と異なり、また全ての子供を対象にしたのと、現代は子供の人数に比例して増額するという点が、今の制度と異なっている。

人々が経済的に恵まれてくると、少子化問題がクローズアップするのは、ローマ時代でも同じだったという点でも興味があった。

ユリウス・カエサルは、「国家の父」という称号を始めて受けたが、歴代の皇帝もこの伝統を受け継いできた。

ローマ皇帝の就任時に行う宣誓は、最初にローマの法に忠誠を誓うと共に、

次いでフォロ・ロマーノの演壇に立った皇帝は「ローマ市民に強大なる権力を与えられた皇帝は、主人としてでなく、父親として、専制君主でなく市民の一人として」振舞うことを誓い。

また「快活であると同時にまじめであり、素朴であるとともに威厳があり、気さくでありながら堂々としていなくてはならない」と心がけたとある。

この考えを「パテルナリズム(温情主義、家父長主義)」と呼んで、隆盛時期の日本企業の経営者達は前近代的と批判されたのであったが、日本の良き時代の考え方もローマ的であったのは一考に価するように思っている。

昨今の西洋式経営スタイルは、信賞必罰と競争心による企業業績の向上を図る方式が主流であるが、

ローマ式、日本式「パテルナリズム(温情主義、家父長主義)」は、個人の自覚と責任感と忠誠心と義務感から生まれた自主性による企業活動の活発化を図るものであった、格差社会の発生や著しい落ちこぼれの発生を予防したことは一考に価すると思っている。

さて、米国の新大統領が、いかなる宣誓をし、従来の西洋的な政治思想にいかなる変革をもたらすのか、本日の就任式に注目している。

ひょっとすると、新大統領が「パテルナリズム(温情主義、家父長主義)」に近い政策を行うのではと期待をしているのだが、どうであろうか。

お断わり;
本日は新大統領の就任式の日である、このためユリウス・カエサル19を飛び越えて20を掲載した、次回19へ戻ります。