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今日の商店会長 (早稲田商店会相談役 安井潤一郎)

日本でただ一人、商店会の会長現職で衆議院議員になった、早稲田商店会前会長日記。公式ホームページは左下ブックマークから。

「青い炎」さんへのお答え

2006-01-03 22:06:26 | 商店会長のコメント
12月26日のブログコメント欄に「青い炎」さんから「(略)もしも震度6強の地震で、建築基準法に違反していない構造物が倒壊した場合、誰の責任ですか?建築基準法を改正して、あくまでも現場監督が刑事責任を取るような仕組みにしてはどうかなと思います。」というご質問をいただきました。遅くなりましたが私の考えを記載します。

建築基準法に違反していない建物の倒壊ならば天災という事で誰にも責任は無いと思います。ただ、阪神淡路の大震災の時は倒壊した建物の撤去の費用は行政(国)が負担していたと聞いています。(正確な内容は、まだ役所が始まっていないので聞けませんが、仕事始めに内閣府の担当部局にお聞きして本欄でお知らせしたいと思います。)壊れても潰れていなければその改修費用は建物の所有者が負担したようです。

『現場監督が刑事責任をとる・・』については震度6強での倒壊ということだと、設計者の問題なのか施工上の問題なのか、明確ではなさそうであり、現場監督が責任を取る制度というのは、かなり疑問です。なお、建築士にも、設計どおりの施工をさせる監理責任があるのはご承知のとおりです。施工の責任を問うならば、現場監督というよりも施工業者として法人として責任を負わせるのが通常だと思われます。

設計ミス、施工ミスでない限り、所有者以外の者が責任を取る法体系は困難で、そのためにも保険制度があるというのが、通常の考え方だと思います。ただ、私自身にはまだ建築基準法をどのように変えたらよいのかまで考えがまとまっておりません。

潰れなかった家からの火災発生率も低く、死者の数も建物の倒壊数に比例していると教えられました。そこからNPO東京いのちのポータルサイトは震災防災、死なないためのまちづくりの優先順位1番は間違いなく耐震補強だと思い、耐震補強フォーラムを開催いたしました。

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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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時代は性能設計 (青い炎)
2006-01-06 16:17:17
丁寧な返信、本当にありがとうございます。

>いわゆる「設計ミス」、「施工ミス」でない限り、所有者以外の者が責任を取る法体系は困難で、



私が現場監督の責任を問いたいと思っているのはまさにこの部分です。現在、土木や建築の技術者では性能設計という考えが若干ではありますが浸透しつつあります。従来の設計方法というのは仕様設計と呼ばれていまして、これは基準に定められた方法でマニュアル通りに設計・施工を行うというものです。これに対して、性能設計とは要求された性能を満たすように設計・施工を行うというものです。

話を簡単にするためにマンションに話を絞りますが、マンション住民の立場に立てば性能設計が求められる背景は明白です。なぜなら、地震により被害を受けたとして、それがマニュアル通りにきちんと施工されたかどうかはどうでもいいような問題だからです。被害を受けたことそのものが想定外であり、大問題です。

そもそも仕様設計が通用しているのは建築・土木の世界だけだと思います。例えば三菱ふそうのトラック脱輪事故がありましたが、これはきちんと作られているかどうかが問題なのではなくて、脱輪事故を起こした結果が問われました。松下製品のファンヒーターによる被害者が出ましたが、これもきちんとマニュアル通りに作られているかが問題なのではなくて、被害を出したという結果そのものが問われています。

今回の偽装問題で、偽装物件を見逃したイーホームズや日本ERIや各種地方自治体がうちは国土交通省の指示通りにきちんと検査していましたと主張していたことに代表されるように、建築・土木の世界だけが、結果を問われることなく、きちんと施工したか、きちんと設計したかが問題となるように問題がすりかえられているわけです。実際に地震で倒壊しても技術者の責任はあまり問われません。つまり、建築・土木の技術者というのは極めて甘い状況に起かれています。私が言いたいことは、構造物の設計施工についてもPL法のような厳しい法律が必要なんじゃないかと言うことです。



実は、国土交通省でも性能設計へ大きく舵を取っていくことを方針としていて、国土交通白書などでもしきりにそのことをうたっています。しかしながら、追いついてないのが法律というわけです。もしも震度6強の地震で、建築基準法に違反していない構造物が倒壊した場合、基準(マニュアル)どおりに作った人間の責任が問われないのであれば、マニュアルを作成した国土交通省の責任ということなのではないでしょうか?

私は、国交省の責任ではなくて、今後は性能設計に基づき作った人間の責任を厳しく問うべきだと思っています。先ほど建築・土木の技術者が甘い世界に置かれていると書きましたが、現在のように基準どおりに施工していれば震度6で倒壊しても責任がないというのであれば、誰だってマニュアル技術者になってしまいます。私自身が『技術士(建設部門)』を持つ土木技術者ですので、それは実感しています。もし、震度6強以下で倒壊した建物については作った人の責任だということになれば、誰だって基準どおりに造ることを考えるのではなくて、安全なものを造ろうと考えるはずです。



国民にとっても技術者がマニュアルどおりに建物を建てようと、マニュアルを一生懸命勉強するような仕組みよりも、安全で安い建物を建てるために創意工夫することに頑張るような仕組みのほうがいいんじゃないでしょうか。
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現場監督の責任 (瀧澤一郎)
2006-01-13 16:03:35
青い炎さんのご提案もなるほどと思える点も多いですが、現場監督1個人がはたしてどこまで責任を負えるか?そもそも現場監督1個人で万一の数億円以上の責任を負えるのか?

 ということを考えると現実的には難しいと思います。1月1日の読売新聞で、「耐震強度に関して保険会社に責任を持たせる保険制度の提案が書いてありましたが、期待したいと思います。
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渦中のマンション (無学主婦)
2006-01-14 12:27:07
木村建設施工のマンションに住んで見て感じたのは、嫌な気分.(当時は木村建設がどんな会社か分かりませんでしたが).東京都では調査のための予算を出したとニュウスでききましたが、早急に事を運ぶ事が、カギです.偽装設計で建てられたマンションとも知らずにいる住民が多数います。私は、木村建設の工事担当者と直接話をしてましたので、手抜きであることを、何となく感じてはいました。20代と50代の社員でしたが、20代の方は、私の指摘に答えられずうろたえていたのを記憶してます。
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