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青空ゆ辛夷の傷みたる匂ひ 大野林火

2018年03月19日 | 俳句
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大野林火
青空ゆ辛夷の傷みたる匂ひ

空が青い。大気から匂う香りは辛夷のものか。真っ白な辛夷の花が突き刺さる様に咲いている。しばし茫然と辛夷の空を仰ぐ。と、よく見ると早くも痛んだ花を見つけてしまう。ああ純白の傷み易さよ。この匂い辛夷の傷みゆく苦痛の叫びとも思われる。命あるもの皆傷み易きかな。:山本健吉「鑑賞俳句歳時記」(1997年1月15日)所載。