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村越化石
陽炎やふくらみもちて封書来る
ゆらゆらと物の形がゆらいで見える。陽炎である。そんな或る日門の郵便受けがぽとんと鳴って何かが配達された。さてと手にして見れば何か歪なふくらみがある。この差出人からして封書の文面に緊急性もなさそうだし。封書は読む前にひとつ心のドラマを持っている。便りが無いのが良い知らせ、さて来てしまった便りの中身とは。陽炎がゆらめいている。:角川書店「合本・俳句歳時記」(1990年12月15日版)所載。
村越化石
陽炎やふくらみもちて封書来る
ゆらゆらと物の形がゆらいで見える。陽炎である。そんな或る日門の郵便受けがぽとんと鳴って何かが配達された。さてと手にして見れば何か歪なふくらみがある。この差出人からして封書の文面に緊急性もなさそうだし。封書は読む前にひとつ心のドラマを持っている。便りが無いのが良い知らせ、さて来てしまった便りの中身とは。陽炎がゆらめいている。:角川書店「合本・俳句歳時記」(1990年12月15日版)所載。