やんまの気まぐれ・一句拝借!

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木々の間に輝く日あり冬の草:山西雅子

2021年11月25日 | 俳句
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木々の間に輝く日あり冬の草:山西雅子
冬の雑木林を歩いている。すっかり葉を落とした木々の間から日光が射し込んで輝いている。足許には名も知らぬ草々がその木漏れ日を浴びている。冬の散策をしていると蒲公英や蝶々が目に留まる。彼らは年間存在しているのだ。旬を過ぎた草木も虫たちも懸命に命を紡いでいる。ぶーーんと冬の蜜蜂の羽音が近付きそして遠のいた。命愛しや。
角川・合本俳句歳時記:20190338日所載<指先の無き手袋で開封す:やの字>
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手袋に五指を分ちて意をけっす:桂信子

2021年11月24日 | 俳句
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手袋に五指を分ちて意をけっす:桂信子
何かを躊躇している。外気の寒さに手袋を嵌めながら考えているがまとまらない。一指一指と嵌めて五本の指が収ったところで意を決した。たった一度の人生を出し惜しみするものか。前進あるのみと自分を鼓舞する。何かと消極的な性格ではあるが追い込まれれば決断をせざるを得ない。余談ではあるが小生も高齢となっての開腹手術をすると医師の告知である。気の小さな自分でも否応なしの受諾である。心が寒いが心の手袋は無い。:角川・合本俳句歳時記:20190338日所載<指先の無き手袋で封開ける:やの字>
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冬麗のたれにも逢はぬところまで:黒田杏子

2021年11月24日 | 俳句
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冬麗のたれにも逢はぬところまで:黒田杏子
冬は空気も澄んで見晴らしが良い。行けども行けども先々の景色が美しく見えてくる。だんだん歩いているうちに人影もまばらになった。このまま人に逢わないところまで足を伸ばすそうか。健康に恵まれて健脚が自慢の今日この頃。歩ける内打ちに歩くべし。歩けや歩け。冬の雲雀が鳴いている。共に鼻唄とゆこうか。命楽しや。<冬麗の命愛しみつつ歩む:やの字>
角川・合本俳句歳時記:20190338日所載
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冬虹の一脚ふかく街に立て:ひであき

2021年11月23日 | 俳句
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冬虹の一脚ふかく街に立て:ひであき
雨上がりの都会の片隅に虹が出た。今は真冬の寒さの中にほのぼのと心が温まる。虹の片方の街中からもう片方は遙か山並みに掛けられている。この街を終の住み処と決めた今の幸せを噛みしめる。ふと先日目にした流れ星も偶然の出会いであったが、星の場合は何かを「祈ろう」と言う感覚であった。虹の場合は明日への「希望」をと言う気持ちになる。どうか明日も佳き日であらん事を。
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鳥声を聴き分けてゐる日向ぼこ:赤猫

2021年11月22日 | 俳句
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鳥声を聴き分けてゐる日向ぼこ:赤猫
小春日和での日向ぼこ。気分爽やかな一時である。無心の中でも五感は健在である。肌には風、目には落ち行く枯葉の舞、耳には鳥の声が響いてくる。ツンツンと甲高いのは鵙であろうか。お馴染みのチュンチュンは雀、カアカアは鴉、判別出来ぬ声も交じる。日常の些事を離れてのリフレッシュ、さあ明日の命も満喫しようか。
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