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春の泥付けてボールの追はれ来し 佐藤俊春

2018年03月26日 | 俳句
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佐藤俊春
春の泥付けてボールの追はれ来し
春の甲子園が始まった。甲子園の内野は土のグランドであるのが嬉しい。他のプロ球団は人工の芝生やアンツーカーなど採用している。甲子園は高校野球の聖地である。地方で勝ち抜き選抜されて出てくる。その地方の各高校グランドは土若しくは天然芝がほとんどである。だから甲子園が土のグランドである事がとても相応しいのである。そんな土も雨に濡れれば泥んこであり、雨上がりの練習には泥を付けたボールが快音を発し追われてゆく。春泥とは青春を狂ほしくも生きる響きがこもった良い季語だなあ。:朝日新聞「朝日俳壇」(2018年3月12日)所載。