戦後、50年間くらい続いた日本の経済成長が止まりました。昨年は東日本大震災が起き、福島原発の爆発もありました。
もう日本は衰微する一方です。国民は働き口も少なくなり困窮する一方です。世の中が暗くなりました。
しかし個人、個人の人生まで暗く考える必要はありません。明るい希望を持って生きることが今まで以上に重要になります。
そこでかつて繁栄し、現在は衰微してしまった国の運命を振り返って参考にしようと考えました。
その一例が、大英帝国の隆盛と没落です。
大英帝国は1805年のトラファルガーの海戦で大勝利し、1945年の第二次世界大戦の終了まで世界の覇権を握っていたのです。
大英帝国は世界に植民地や領土を持っていました。インド、マレーシア、ビルマ、シンガポール、香港、ニュージーランド、オーストラリア、エジプト、カナダなどなどです。それが1945年の第二次世界大戦の終了がきっかけで、全ての植民地を失ったのです。香港だけは1999年までは保持できましたが。その没落は劇的です。
日本の衰退は大英帝国と比較になりません。あまりにも違い過ぎます。参考に出来ることではありません。ましてや教訓などある筈がありません。
これが常識的な考え方です。
しかし国家の衰退や没落と個人の幸せの関係を考えてみると幾つかの参考になる現象が見えてきます。そのような事をこれから少しずつ考えてみたいと思います。
個人の幸せを中心に考えていきたいと思います。したがって家族関係や宗教も重要な問題になります。
今回はスペインのトラファルガー岬の沖で1805年に起きた海戦のことを簡単に書きます。
イギリス帝国のネルソン提督指揮の27隻の戦闘帆船が33隻のフランス・スペインの戦闘帆船を完膚無きまで叩いて大勝利したのです。
横一列に展開したフランスの戦闘帆船の真ん中をネルソン提督の2列の縦型の戦闘帆船が分断し、突っ切ったのです。大胆な戦闘方法でした。この戦法は日露戦争の時の日本海、海戦で東郷元帥が用いて大勝利を上げました。
この勝利でイギリスが世界の制海権を完全に手に入れたのです。インド、マレーシア、ビルマ、シンガポール、香港、ニュージーランド、オーストラリア、エジプト、カナダなどの植民地からの富を安全に本国へ運べるようになったのです。
その理由で私は大英帝国の始まりは1805年と考えています。
そして1945年の終戦後のインド、マレーシア、ビルマ、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、エジプトなどの独立をもって大英帝国の終焉と考えます。
1805年に始まって1945年に終わったというような単純な現象ではありませんが、物事を分かり易くするために一応そのようにして考えてみます。歴史は複雑なのが通例です。
さてここで観光案内です。
1805年にネルソン提督の艦隊の旗艦はビクトリー号でした。それが現在でも英国海軍の所有艦艇として軍港ポーツマスに公開展示されています。下の写真の通りです。ポーツマス港へはロンドンから電車で行くのが便利です。
私は家族連れで1970年の11月に訪問しました。この船のタラップを登るとき、現役の英国海軍の水兵がピーと長く笛を吹き、客人を迎える時の登舷礼をしてくれます。
艦板に上がると大砲の列が舷側に並んでいて、殺伐とした雰囲気です。そして甲板のある場所に金色の小さな板がついていて「ここでネルソン提督が敵の狙撃兵の銃弾に当たって絶命した」という説明板がありました。
上の絵画はトラファルガー海戦の様子です。
観光案内ですので下にカンタベリー大聖堂とロンドンの街の風景写真を示します。
話は飛びますが、下のロンドンの風景は上海の黄江沿いのかつてのイギリス租界によく似ています。
このように観光案内をする目的は国家の衰退と個人の幸せの関係を考える糸口になると信じているからなのです。それは現在のイギリス人の考え方や心の支えを知るヒントになると思います。そこから想像したことは次回に書きたいと思います。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)