京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

COP15 に京都からの声を

2009年12月11日 | 地球温暖化

12月12日午後2時から「京都市役所前」集合で
ク~ルな地球へ!京都アクション2009を行います。
これは、COP15に呼応して
温暖化防止へ、先進国の野心的な目標決定と
途上国にも「共通だが差異ある責任」を認めつつ
国際的枠組みへの参加を呼びかけるデモです。
私は、先約の「憲法大学講座」で
温暖化と憲法25条+9条の世界の報告があり
当日参加は準備だけですが
多くの皆様のご支援・参加を呼びかけます。
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パレード出発前集会のプログラム(案)

2時 オープニング音楽企画
2時15分 集会開始
 司会 関西NGO協議会 加藤良太
 <30秒リレーメッセージ>
  気候ネットワーク・京都府生協連 小峰 
  地球温暖化防止京都ネットワーク 佐々木佳継
  COP15ネットワーク関西・サークルおてんとさん 山根  
  わかやま環境ネットワーク
  滋賀県生活協同組合連合会 神門
  新日本婦人の会京都府本部 井坂洋子
  みどり関西
  日本共産党京都府委員会 成宮まり子
  京都国際学校
 「京都アクションのめざすもの」確認
   グリーンマップジャパン 右衛門佐美佐子
  行進の説明・注意 地球温暖化防止京都ネットワーク 原 強

2時30分 パレード出発(4時半終了予定)
  
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温暖化防止と憲法25条+9条の社会

2009年12月11日 | 地球温暖化
ねっとわーく京都の1月号に掲載しているものです。
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温暖化防止と憲法25条+9条の世界                     09、11、18

堰はまだ開かない

COP15を前にして、温暖化防止を本格的に進めるための堰は、まだ開かれていない。バルセロナからの「eco」通信(11/6)は、「誰もがコペンハーゲンで法的拘束力を持つ文書が採択されるべきだと言っているように聞こえるが、彼らの殆どは『十分な時間がない』・・・と話している」と各国の態度を批判した。
アメリカ議会上院での温暖化対策法案審議の遅れは、オバマ大統領の「明確な目標提示」を縛り、先進国全体をブロックしているかのように見える。途上国は、先進国が積極的な削減目標を示さないことに抗議し、「資金援助」の点でも不十分と主張している。11月17日付の「朝日」は、「COP15準備会合開幕、途上国への援助焦点」、「途上国に対し、ポスト京都で一定の削減を求めるには、・・・2012年までの資金援助が不可欠」と書いている。途上国の主張は、「資金援助や技術供与」は「施し」ではなく、気候変動の原因を作ってきた先進国の「補償」であり「義務」、というものだ。ここには金額の多少だけではない、本質的な問題が存在する。
11月13日に行われた温暖化防止国際シンポジウム(気候ネットワーク主催)で、アメリカのアース・ジャスティス所属の弁護士のアリス・トーマス氏は「COP15は、何が起こるかわからない情勢」と述べたが、情勢は決してほどけぬ輪ではない。あきらめず、大きな流れを見据えて、前進する必要がある。

温暖化防止と貧困撲滅の同時的解決

2009年6月20日、京都で規模は大きくはなかったが、あるシンポジウムが開かれた。気候ネットワークが行った「温暖化防止市民シンポジウム」。その第二部で「持続可能な社会づくり-地球温暖化と貧困、生物多様性の同時解決をめざして」と題したパネルディスカッションが行われた。気候ネットワークの平田仁子氏、CASAの早川光俊氏をコーディネーターに、世界の保健健康問題に取り組む「オックスファム・ジャパン」の山田太雲氏、「AMネット」の神田浩史氏、「WWFジャパン」の岡安直比氏が報告、地球的レベルで起こる「温暖化」や「生物の絶滅と環境劣化」「世界の貧困問題と弱者の健康と命が守られない問題」などの”同時的解決”というテーマで議論が行われた。ディスカッションでは、このテーマを介して、それぞれ格闘している問題が、バラバラではなく共通性を持っているとの認識が共有された。岡安氏は、生物多様性の保全問題で、「『生物を守ろう』ではすまなくなっている。地球一個分で人間が生活できるような社会に転換するため、先進国のあり方の抜本的転換が必要」と述べたが、これは、今後の歴史の流れの中で、資本主義そのものの転換と同じ意味を持つことになるだろう。こうした問題意識が、様々なところで共通して浮上してきているところに、ある意味、09年の大きな変化がある。

途上国の声をどう聞くかー「共通だが差異ある責任」

07年6月、ドイツのボン会合で、インド政府が2020年の中期目標として「先進諸国は1990年比で79.2%の削減が必要」と主張したことが当時、関係者の間で話題になった。その根拠は、先進国も途上国も「産業革命前からの温室効果ガス排出量を、2020年で人口一人当たり同等とする」というものだった。このびっくりするような中期目標の提案に対して、当初「むちゃなことを言う」という反応もあったが、ここには私たちが受けとめなくてはならない、非常に大事な基本的問題がある。
温暖化は、これまでの発達した資本主義国が引き起こしたものであり、その点では明らかに「加害者は先進国」である。そして、当然、地球上で生きる全ての人々には、平等に生きる権利がある。この極めて当然なことを、インドの人々の命と暮らしを守る立場から表明すれば、先のインド政府の主張となる。
日本では、“温暖化の原因は、みんなが豊かな暮らしを願うから”などという“一人一人が責任”論がずっと流され、旧政権も「温暖化防止へ、一人一日1キログラムCO2削減運動」などと宣伝してきたので、今でも温暖化の責任の所在がはっきりせず、世界中どこでもそうなるのが当たり前であるかのように捉えられてきたが、それは違う。責任は、そのほとんどが先進国にあり、明らかに途上国とは「差異」がある。このことを、私たち先進国の市民や政府が本当に認識し理解することなしには、本格的な温暖化防止へ、世界的流れを作り出すことは出来ない。だからこそ、先進国の目標は、「野心的」でなくてはならず、途上国とともに温暖化防止に取り組む上で、そこへの「資金や技術の供与」は積極的でなくてはならない。

温暖化が引き起こす社会の不安定化

 レスター・ブラウンは、その著書「プランB3.0」の中で、「文明は、気候が極めて安定していた時代に発達したが、この時代は幕を閉じようとしている」「私たちの新しい時代は、急速かつ予測不可能な気候変動の時代」と述べ、最近では気温上昇による影響が農作物の収量にまで影響し始めた、と指摘している。02年、03年、05年、06年の4年、世界の主要な食料生産地域で、記録的な高温のため作物が枯れる現象が見られるようになり、温暖化はさらに、「地球の貯水池である『天空』=氷河と山々の積雪」を消失に向かわせている。その影響は非常に大きいものになるだろう。(ガンジス川の水の70%を供給するインドのガンゴトリ氷河は数十年で消失、流域に住む4億700万人のインド人・バングラティッシュ人の生活は大きな影響を受ける。中国の黄河や長江も氷河の消失に脅かされており、2060年までには、中国氷河の三分の二が消失すると予測されている。それは流域のコメや作物の生産に大きな打撃を与え、黄河流域では1億4700万人、長江流域では3億6900万人に影響が出る)
これが、インドや中国の「国内問題」でなく、世界の食料問題であることは明らかで、食料自給率40%の日本にも深刻な影響を与える。一例に過ぎないが、こうして起こる温暖化被害は、周辺地域に止まらず、社会の混乱を世界に広げていく。

危機にも「格差」がある。しかし「壁」では防げない
 
 温暖化が引き起こす問題は、このまま時間が過ぎれば過ぎるほど、その被害も影響もグローバル化する。しかし、その危機の受容には、はじめ、「格差」が生じる。海面上昇の影響は、デルタの河口付近に住まざるをえない貧困層を直撃し、食糧危機が引き起こす穀物価格の高騰は、当然のこと貧しい人々を飢餓に陥れる。感染症も、明らかに確率的には貧困層への影響が大きく、こうした事例は、未来のことではなく、すでに世界各地で始まっている。
こうして発生する庶民の暮らしの破壊や、生み出される苦しみは、社会の不安定化を促進する。希望が奪われ、暴力の温床も拡大するだろう。レスター・ブラウンは先の著書で、「破綻国家」という概念を紹介し、これらが現在「世界の治安と安定にとって最も脅威を与える存在になっている」と警告している。社会や国家までもが破綻し、生み出された無秩序は、“脅威”となり国境線を越えていく。これは人類内部の“脅威”であり、「武器」も「壁」も役立たないことは、すでに各地の例が示し始めている。

共通の危機に、「命は平等」の思想で対処する

 危機の受容に、当初は「格差」があるように見えても、それは間違いなく全人類的規模での社会的危機となる。だからこそ先進国からの「援助」は、「共同の対処」へと発展せざるをえない。「命は平等」の考えは、その根底をなす。
 二宮厚美氏(神戸大学教授)は、その著書「憲法25条+9条の新福祉国家」の中で、人類がたびたびの世界戦争を経て、苦悶の中でつかみとったものが、「戦争国家」ではなく「福祉国家の歴史的選択」だという。それは、生存権保障の出発点となった「ワイマール憲法」から、1930年代、アメリカ・ニューディールの名の社会改良主義の実験へ、さらに大西洋憲章を経て、「戦争放棄」や「生存権」を掲げる日本国憲法にも受け継がれており、憲法前文が言う「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」宣言は、その証だと述べている。
ファシズムとの対決の中で、二度も繰り返した世界戦争を、三度繰り返さないようにするには何が必要か。人類が血の歴史を経てたどり着いた知恵が、全ての人間の生存権を保障することと戦争の違法化だった。大砲でなく「バターの選択」が、その核心をなす。
「生存権を欠いた社会に発生する貧困は、何をもたらしたか。実は、これこそが戦前の日本の戦争国家化の社会的背景をつくり出したのである」(憲法25条+9条の新福祉国家:18p)
「歴史の教訓は、貧困は、それを放置しておくと、必ずしも福祉国家に向かうエネルギーとはならず、へたをすると戦争国家へ向かう力にねじ曲げられて利用されかねない」(同上19p)。
 これは、世界の温暖化対策を進める上でも生かすべき人類の知恵である。どんな国の人々であっても、人の命は平等であり、その暮らしを「欠乏」から免れるようにしてこそ、地域や国の安定、世界の平和を確保することができる。その意味で、「温暖化防止と貧困」は同時的解決が目指されるべきであり、途上国への「資金援助や技術協力」は「施し」などではなく、これから私たちがともに行う「共同の事業」となる。温暖化対策を、こうしたビジョンで進めることは、すでに「理想」でなく、「現実的な課題」になってきている。そして、当然これは、戦争政策や軍拡とは相容れないビジョンであり、利潤追求を第一義とするやり方とも矛盾する。

「軍事費半減」という課題

 軍事力がいくら強力でも、温暖化防止には役に立たない。それどころか、軍備拡大は、温暖化を促進する、その最たるものの一つだ。
日本環境学会会長の和田武氏は、近著「環境と平和」で「地球環境の破壊要因としての軍事活動」を告発している。(以下、同著65~71P)
「F15ジョット戦闘機はたった1分の飛行(最大推進力)で908リットルの燃料を消費し、それは普通乗用車一年分の燃料消費に近い量(1リットルの燃料で10キロ走行の車が年間1万キロ走行の場合)」
「戦車の場合、1時間の走行で普通乗用車の1年分の燃料消費」
「(不確実性がつきまとうが)世界の軍隊のCO2排出量は、世界の総排出量の3%にあたり、これに軍需産業のエネルギー消費量を含めると、数値は優に2倍になる」。
考えてみれば、戦争や軍事兵器が、省エネと両立するはずがない。“太陽光パネルで動く戦車”や“省エネ速度を守る戦闘機”、“軍事車両の装甲はなるべく薄くしてほしい。砲弾も最小限の使用を”など、なんとも牧歌的だ。戦争を行うためには、速いスピードや強力な破壊力、固い防御が最高の価値基準として求められる。こうして作られる軍備や戦争そのものが、温暖化防止と全く逆の存在にならざるを得ないのは明らかで、軍需産業と軍事力増強は、温暖化防止の点からも強力に規制されるべきである。
ニコラス・スターンは、2006年に行った有名なスターン報告で、「気候変動について何も対策を取らなければ、世界経済は、今世紀を通して毎年5%~20%の範囲で押し下げられる恐れがある」。一方、いま財源を投入して対策をとるなら、「温暖化対策は、世界総生産の1%(6500億ドル)をつぎ込めば、その重大な影響を回避することができる」と結論づけた。それは、アメリカがベトナム戦争につぎ込んだコストにほぼ等しく(地球白書2008~09)、「世界の軍事費を半減すれば、十分に賄うことが可能」(前掲書:和田武氏)な額だ。アメリカは軍事費に5287億ドルをつぎ込んでいる。温暖化の危機の進行を考えれば、人類は今、軍備拡大などに精を出す余裕はない。今後、温暖化の進行は、軍事力増強による安全保障という考えが、非現実的なものであることを、さらに判りやすく示すだろう。世界の政治の大転換は、ここにもまっとうなメスを入れることを求めている。憲法9条を持つ日本が、軍事費を大幅に削減する政治を実現すれば、それは世界を大きくリードするものになるだろう。

地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員 榊原義道












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