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京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

京都市の温暖化対策条例改正ー木の文化を大切にするまちについて

2010年07月14日 | 地球温暖化
地球温暖化防止京都ネットワークで、
現在、京都市が進めている「地球温暖化対策条例」の改正に関わる
提言づくりを進めています。
―森を再生し「木の文化」を大切にするまちーに対応する部分を担当しているのですが
取りあえず、私案としてまとめたのが以下のものです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京都市の「地球温暖化対策条例」改正など、「中間とりまとめ」について
ー森を再生し「木の文化」を大切にするまちー

2010年7月14日 
2030年の社会像について
 この部分の議論は、どの項目をみても“しごく当たり前”に見えてしまうが、逆に議論の深まり方がこれでよいのかと思う。審議会を傍聴していても、ほとんど意見が出されていなかった。
この項は、「『木の文化』を大切に」という抽象的内容に引っ張られ、これが温暖化対策にどう大きく貢献するか、それが十分解明されていない点に、議論が盛り上がらない大きな原因があるのではないか。
「社会像の提起」で第一に語られるのは、2030年の「森の再生」「森に親しむ」「森の恵みの還元」、それによって「文化の醸成」「産業の振興に積極的に取り組んでいる姿」である。しかし、本来提起すべき問題は、こうした抽象的な“像”ではなく、それを構築するための柱となるべき政策提起であり、それに基づく「社会像」の転換である。
重要なことは、2030年、まち(社会)の一定部分は「鉄」ではなく「木材」に取って代わっている「社会像」である。そこに向けて「木材を生かした新産業」が、環境・産業政策転換の中に位置づけられ、それが、大きく伸張している姿である。狭いエリアの「地域産材」だけでなく、国産材をいかしたまち・家づくりが、京都での先進的な新たな産業づくりの中で位置づけられる必要がある。これは、素材(木材)の成長から材の生産・活用にいたる一連の過程であるとともに、その材の多面的な活用(単に材を“材”として生かすだけのものでない活用)、また当然「補修」という材の命の社会的継承過程を包含するものとなる。これはもちろん、それに関わる技術の継承・発展を含むものであり、これらを通じて新たな雇用拡大と産業の転換過程と対応する。
「中間とりまとめ」では、2030年の社会像の第二に、こうした内容が触れられているが、「京町屋の知恵を生かした新たな建築の促進」など、地域産材の活用がここに矮小化かされたものになっている。木材を活用した新たな環境産業の創出と京町屋の項は分離し、上に述べた「木材を生かした新産業の創出」を、もっと前に押し出すべきである。

木造建築物の拡大、地域産木材の需要拡大
木造建築物の拡大、地域産材の需要拡大を進める上で重要なことは、当然、そのネックとなっている部分の突破であり、それは「活用の仕組みづくり」と「財源」だろう。
公共施設への木材利用の義務化は重要で、地球温暖化防止京都ネットワークの議論でも、京都市役
所内の市民待合室壁面などへの杉材利用などの具体的提案が出された。現段階で、小学校や体育館の木造建築物に転換など、公共建築物での現段階での「需要」見通しを具体的に明らかにすることは、計画的促進のためにも、目標を明示化する上でも大切となる。
こうした取り組みは、新設の学校や庁舎などでは当然数が限られる。温暖化対策とも結びつけ、新設の公営住宅の増築することや、既存の公営住宅改修の際の「温暖化防止」仕様への転換も重要となる。
マンションや戸建の住宅などを、温暖化防止仕様に改修するために、専門的な相談にのれる「温暖化対策診断・相談員」が重要になる。こうした相談員を、専門家やNGOとも協力体制を組み、増やしていくことが求められる。

財源確保と排出源対策の強化
財源確保の上で、京都府や京都市において、温暖化ガスの最大の排出源となっている関西電力へ
の規制強化が重要となる。
現在、関西電力舞鶴石炭火力発電所が行っている「木質バイオマスの混焼」は、平成20年度の6万トン、その全てが海外からの輸入で賄われている。京都に、大量の間伐が必要な森があるにも関わらず、輸入品の方が安いからと、大量のエネルギーを使って海外から輸入するやり方は、全く合理性を欠くき、関係者からも苦情の声が聞こえている。こうしたやり方を変え、府内や近郊の材を活用するような仕組みを作れば、京都産材の循環的利用への力にもなる。そもそも温暖化対策において、関電石炭火力など大規模排出源での計画的・直接的排出規制が強く求められており、大量排出源での2020年、2030年の削減目標を定めること、あわせて、目標が達成できない場合、不足分を買い求めてでも達成する仕組みの導入を具体化すれば、それは財源確保に役立つ。

「森林の適切な保全」
京都市は「『木の文化』を大切にするまち」を掲げているが、今、京都の森では、カシノナガキクイムシによるナラ枯れや、マツノザイセンチュウによる松枯れが大きな問題となっている。こうした、森での樹木の大量枯死に、行政トップがもっと関心を持つべきである。現実に起こっている「森林環境の劣化」に、市民の関心を高める取り組みの強化は、温暖化防止のまちづくりにとって、具体的な生きた環境教育ともいえる課題であり、積極的取り組みが求められる。

以上

                              

京都市温暖化対策条例改正案ー「マイナス25%削減」目標挿入を提案

2010年07月02日 | 地球温暖化
6月24日の京都環境審議会第二回地球温暖化対策推進委員会に続き
30日に、同市の第二回環境審議会が開かれた。
市の温暖化対策条例の改正が主な議題だったが、
そこで懸案になっていた
「2020年度の温暖化ガスの削減目標」が
推進委員会の議論を受けて、提案された。
「1990年比で、マイナス25%削減」
実はこの目標「明示」
4月16日の第一回環境審議会では、目標は「新計画において設定」とされ
条例で掲げることは避けられてきた。
私たちは、「低炭素のまち・京都を考える懇談会」や市のパブリックコメントで
この目標未提示を大きな問題と指摘したが、
この一ヶ月間で”ヴァージョンアップ”された。

「2030年度に40%削減を実現するためには、その中間年である2020年度時点においては、25%削減を実現していることが望ましい。このため、中間目標として、2020年度に25%削減を目指すべきである」(京都市地球温暖化対策条例の見直しに係る基本的な考え方について答申ー案)と提案文書では書き込まれた。
推進委員会で市は、
挿入することになった理由をのべたが、
それは
「この間のパブリックコメントや意見交換で、2020年目標を明記したほうがいいという多数の意見をいただいた。この意見を踏まえて」
とのことだった。
目標の明示は大事なことで、条例に書き込まれているのといないのとは大違いだ。


京都市地球温暖化対策条例改正ー24日に対策推進委員会

2010年06月24日 | 地球温暖化
先程、京都市の環境審議会「第二回地球温暖化対策推進委員会」を傍聴しました。
京都市と京都府は
温暖化対策条例の改正作業を行っているのですが、
私たちが問題にしていた、
条例に温暖化ガスの2020年削減目標を明記していない問題について、
今日の推進委員会で、
2020年度「マイナス25%」を条例に盛り込む
その提案を、6月30日に行うことが確認されました。

京都市の「京都市地球温暖化対策条例の見直しに係る基本的な考え方について」ー答申(案)では、
<削減目標>の第三項で
③ 2020年度(中間目標):25%削減(1990年比)
・・・目標年次に至る経路として中間時点である2020年度の削減目標についても考え方を明らかにすべきである。
 2030年度に40%削減を実現するためには、その中間年である2020年度時点においては、25%削減を実現していることが望ましい。このため、中間目標として、2020年度に25%削減をめざすべきである。

京都市の担当者は、報告で、
変更させていただいている点(2020年度目標の挿入)については
「この間のパブリックコメントや意見交換で、2020年目標を条例に明記したほうが良いという多数の意見をいただきました。これらの意見を踏まえて、2030年度目標を達成するため、中間目標として2020年目標を明記したらどうか」ということになった
とのことでした。
きちんと決めていただきたいと思いますが、大歓迎です。

この間の私たちは
様々な取り組みやパブリックコメントへの意見提出を行ってきましたが
2020年度目標は、現在の条例と目標明記の教訓から見ても
ぜひ入れるべき!と訴えてきました。


府・市の温暖化対策条例の改正ー7日の懇談会で活発な討論

2010年06月09日 | 地球温暖化
7日の、京都府・市の「温暖化対策条例」改正などに関わる懇談会
共産党の府会議員団、同市会議員団の議員さんと事務局メンバー&京都市内の環境NGO代表、16人で行い、活発な懇談になりました。
これは、ぜひ民主党や自民党、公明党の議員の皆さんとも行いたいと思いました。

意見交換では、以下、沢山の意見が出されました。
「2020年の温暖化ガス削減の目標を、条例に明記すべき」という問題
「関電の舞鶴石炭火力発電所での排出規制を盛り込むべき」「2050年は舞鶴の石炭火力発電所は止まっているのが前提」など、石炭火電問題
すぐできる施策、身近なところ、暮らしに関わる点で
「市のタクシーを全車エコカーに転換を。観光バスはリチウム電池搭載のものだけ流入できるように」「京都市職員の通勤を車から公共交通利用に転換を」
「家電製品の全面的置き換えに関わって、きちんとした情報を流すべき」
「住宅のエコ化を進める上で、住宅エコ診断書づくりの取り組みを進めている」
「ゴミの減量と温暖化対策との関係を科学的に示す重要性」
「住宅のエコ化は、新築だけでなく既存の住宅の立替、補修の過程での低炭素化の工夫を」
「農村の疲弊を放置したまま、バイオガス化云々の話はおかしい」「食料の自給率向上は低炭素社会づくりの柱」
「府内産木材の活用は、温暖化防止の角度からもっと突っ込んだものにする。業者へ補助金が降りるだけでなく、施主に届くことが重要」
「広島は、”広島市エネルギー・温暖化対策化になっているが、温暖化対策と脱化石燃料対策を並行させて行うべき」
「京都市役所内部で、”木目のプラスチックではなく、本当の木材の使用をもっと」
さらに、「京都の条例改正は、本格的に進もうとしている東京に見劣りしないものに」
「国の政策をひっぱるものに」
「全庁的な影響を与えるものにすることが重要で、この点では市と比較して京都府が遅れている」などなど・・・

私は、石炭火力発電所を規制する仕組みとして
「CO2などを”汚染物質”と規定し、
以前の公害防止条例のように、自治体条例でも排出規制を行えるはずで
全て、国の法律ができないと・・・などと言わないで
京都の条例に盛り込むべき」と意見を述べました。



京都型低炭素なものづくりを考えるーデザインと伝統産業

2010年06月06日 | 地球温暖化
4日に地球温暖化防止京都ネットワークなどが開いた
「低炭素のまち・京都をめざす懇談会」の第4回
吉川博教さんの報告だったが
なかなか興味深かった。
吉川さんは作品を紹介しながら、具体例をあげて話をされた。
土地土地の”手づくり”探索の旅とそこでのコラボレーションは
低炭素社会にこの世界が変化していく上での本質的な提言だと思った。
ものづくりの復興と発展へ
「手づくりの現場をだれでも見えるような工房づくりを」
北欧の例も出しながら話されたが
これは町と産業のあり方の転換だ。
モノづくりをするにはまず道具を削る
モノをヤスリで削る人と刀で削る人ーこの本質的な違いも興味深い。
吉川さんが師と仰いだ工業デザイナーの秋岡芳夫氏の紹介もされた。
秋岡さんは、1969年、大量生産・大量消費に疑問を投げかけ
「生活者はものの消費者になるより、愛用者になって!」と呼びかけたそうだ。
なぜ1969年に、工業デザイナーがこの呼びかけ?と質問したところ
答えは、氏が「自立したデザイナー」であり
いつも「中小業者や職人などに、温かい目線をもっておられた」とのこと
納得がいく。
ずっと考えている、資本主義の「発展」ということ
それは、全てが、一路巨大化し、複合体化していく過程ではないということ
今回の報告は、あらためてそれを確信させてくれた。


府市の「温暖化対策条例」改正ー共産党が懇談会企画

2010年05月29日 | 地球温暖化
京都府と京都市が
「温暖化対策条例」の改正作業を行っています。
双方が並行しての作業で
事実上の「合同条例」などと言われています。
この間、審議会など傍聴していますが
面白いことも多く
時間が取れれば、ここでも紹介しますが。
これに関わって、下記のように
共産党の府会・市会議員団が環境団体などに
意見交換会を呼びかけています。
こうした議論は、共産党だけでなく
全ての党が活発に行ってほしいと思います。

以下、そのご案内
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京都府・市の「地球温暖化対策条例改正」にかかわる懇談会のお知らせとお願い

日頃から、皆様の地球温暖化防止や京都の環境問題に関わる活動に敬意を表します。
さて、ご存知のように、京都府・京都市は、昨年から「温暖化対策条例の改正」などの作業を進めており、夏から秋にかけて、市民意見聴取の上、府・市議会で提案される運びとなっています。
私たちは、COP3誕生の地、京都の同条例が、京都での持続可能性の確保・地球温暖化対策を大きく促進するとともに、腰が定まらない日本の温暖化対策に少なくない影響を与えるものになるよう、議会でも力を尽くしたいと考えています。 
つきましては、下記の日程で、これまで地球温暖化防止の活動に携わってこられた皆様の、この条例改正についてのご意見を伺いたく、下記の日程で懇談会を開かせていただきたく、お知らせとご参加のお願いを送らせていただきます。ぜひ、ご参加いただき、皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

*当日は、主催者の簡単な挨拶の後、皆様のご意見をうかがう予定です。

日時:6月7日(月)午後6時半~8時半
会場:ハートピア第三会議室

呼びかけ:日本共産党京都府会議員団・京都市会議員団
連絡先:府会議員団(℡414-5566)/市会議員団(℡222-3728)
                         

5月14日 「低炭素のまち・京都を考える」-林業・京都産材を生かした住まい作り

2010年05月08日 | 地球温暖化
5月14日に
第3回「低炭素のまち・京都」を考えるの連続企画で
-林業・京都産材を生かしたすまいづくり-を行います。
以下、<お誘い>
現在、京都市・府では「温暖化対策条例」の見直し作業が進められています。
市民の側からも積極的な意見発表や提案を行い、
「京都議定書」のまち京都で、
日本の温暖化対策の転換に積極的な影響を与えるような「条例」を
ぜひ実現しようと考え、連続企画を行っています。
今回は、国産材・京都材を生かした住まいや暮らし・まちづくりをどう進めるか、
日本の林業の現状にも着目しながら、
温暖化防止に役立つ暮らし・街づくりを考えます。

報告
・田村宏明(京都・森と住まい百年の会)
・白石秀和(京都・森と住まい百年の会)
・渕上祐樹(京都府温暖化防止センター)
日時:5月14日(金) 午後6時30分開場 7時開会 - 午後9時
場所:生協会館4階会議室(烏丸夷川角)  
主催:気候ネットワーク・地球温暖化防止京都ネットワーク




5月14日、温暖化防止と「林業・京都産材をいかしたすまいづくり」を考える企画

2010年04月29日 | 地球温暖化
5月14日に、
温暖化防止と林業・京都産材を生かしたすまいや
暮らし・まちづくりを考える企画を行います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3回「低炭素のまち・京都」を考える
-林業・京都産材を生かしたすまいづくり-
 現在、京都市・府では「温暖化対策条例」の見直し作業が進められています。市民の側からも積極的な意見発表や提案を行い、「京都議定書」のまち京都で、日本の温暖化対策の転換に積極的な影響を与えるような「条例」をぜひ実現しようと考え、連続企画を行っています。
 今回は、国産材・京都材を生かした住まいや暮らし、まちづくりをどう進めるか、日本の林業の現状にも着目しながら、温暖化防止に役立つ暮らし・街づくりを考えます。

報告:田村宏明(京都・森と住まい百年の会)
 白石秀和(同上)、他1名予定
日時:5月14日(金) 午後6時30分開場 7時開会 - 午後9時
場所:生協会館4階会議室(烏丸夷川角)  
主催:気候ネットワーク・地球温暖化防止京都ネットワーク
(詳細は、榊原まで)

日本の温室効果ガス 44社が半分排出

2010年03月28日 | 地球温暖化
26日付の「しんぶん赤旗」に
日本の温室効果ガス「44社が半分排出」の記事が載っている。
07年度に日本国内で出された「温室効果ガスの総量の5割が、
電力・鉄鋼など44社から排出されていることが
25日、気候ネットワークの分析で分かった」

事業所で言えば160事業所だが
企業で言えば電力会社20社(30%)
鉄鋼7社(12%)、窯業土石4社(3%)
化学工業6社(2%)、石油精製4社(2%)製紙3社(1%)の44社で50%。
分かりやすい。

京都府の温暖化対策ー舞鶴石炭火力発電所にメスを!

2010年03月16日 | 地球温暖化
府の「地球環境京都宣言」の看板が
最近お色直しされています。
結構なのですが、
大事なのは中身です。
ねっとわーく京都4月号(2101年)に書かせていただいたものを
載せます。
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「舞鶴石炭火力発電所問題」にメスを!ー京都府の温暖化対策を考える

地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員 榊原義道

昨年末発行の「京都府政研究2010」(シリーズ①-持続可能な地域づくり)で、府の温暖化対策の欠陥について書いた。それは端的に言えば、地球温暖化を進める温室効果ガスを「元」から断つ手が、国と同様、京都府も打てていないことだった。京都府では今、「新京都府環境基本計画(仮称)」や「京都府地球温暖化対策条例」の策定・見直しの作業が行われているが、この作業が、府の温暖化対策の欠陥を正すものになるのか、議論の現状も紹介しつつ、考えてみたい。

温暖化対策の核心部は、大量排出源での規制

温暖化対策の核心は、二酸化炭素などの大規模排出を「元から断つ」ことだ。その具体的仕組み作りが、日本政府や行政に切実に求められている。気候ネットワークなどが繰り返し明らかにしているように、国内の二酸化炭素などの排出量の半分は、わずか166の大規模事業所から出されている(図1)。そのトップグループが電力会社(全国88発電所で日本全体の排出量の30.1%)、そして鉄鋼産業(18の事業所で12%)、さらに、セメント(20事業所で3%)、化学工業(21事業所で3%)と続く。これらに象徴されている大量の排出源に対し規制の仕組みを作り、これを「元から断つ」ことが、温暖化対策の核心をなす。
ところが、その「対策」はこれまで経団連が言う「自主行動計画」まかせとなり、事実上、大規模削減への効果的なメスは入れられてこなかった。これが日本の排出量を増大させている。新政権発足を機に、ここにメスを入れることは、新政権の責務であり、この分野でも大転換が求められているが、このことへの踏み出しは温暖化対策に後ろ向きな企業の抵抗にあい、せめぎ合いの中にある。民主党鳩山政権が抵抗を押しのけ「2020年マイナス25%」宣言に相応しい法的整備などを進められるか、火力発電所や製鉄所などが出す温室効果ガスを、相応しい目標で、確実に削減できる仕組みを作ることが出来るか、「チェンジ」の試金石として民主党政権が問われている。

進まない京都府の温暖化対策

 「京都府政研究2010」では、温暖化対策を本格的に進める上での京都府政トップの弱点について、府議会での共産党加味根史朗議員とのやり取りを紹介しながら述べた。(詳しくは、ブログ「京都・環境ウォッチ」参照)
 京都府の温室効果ガスの排出量は2007年度で1480万トン-CO2、1990年比でプラス0,2%となっており、2010年度目標(1990年比でマイナス10%)には遠く及ばない事態だ(図2)。
今回、京都府は、地球温暖化防止を中心的な柱に、新たな「新京都府環境基本計画」の策定や「京都府地球温暖化対策条例」の見直しを進めているが、はたして、これが府の温暖化対策の遅れを打開するものになるのか?少し踏み込んで見てみたい。
2月3日、京都府公館レセプションホールで、「京都府環境審議会 総合政策部会・地球環境部会合同会議」が開かれた。この日は午前中に、京都市の環境審議会平成21年度第4回地球温暖化対策推進委員会も開かれ、ダブルヘッダーの傍聴となったが、双方の議論が比較できてなかなか興味深かった。
府の合同会議では、<新京都府環境基本計画(仮称)の策定について><京都府地球温暖化対策条例の見直し及び新京都府低炭素社会づくり計画(仮称)><温室効果ガス排出量削減目標について>が議題で、「削減目標が本日のメインテーマ」と紹介された。府の担当局からは「新・京都府環境基本計画(仮称)について答申(中間素案)」や「温室効果ガス削減目標の検討フロー」などが報告・説明された。
「新・京都府環境基本計画(仮称)について答申(中間素案)-未定稿」については、一見して、現在の事態(府の排出削減が目標に遠く及ばない)がなぜ起こったか、その分析が全く不十分なものとなっている。
「中間素案」は、京都府内における温室効果ガス排出量の推移について、その現状を述べつつ
〇京都府内の温室効果ガス排出量の推移を見ると、趨勢的に温室効果ガス削減対策の進捗による削減効果は認められるものの、一方で、景気による経済活動の動向、冷暖房を要する夏期や冬期の気温変化、全国的な原子力発電の稼働率の変動などに伴う電気排出係数の変化が大きな影響を及ぼしています。その結果、2007年度(速報値)の排出量は、基準年の1990年度と比較して、0,2%の増加、と記している。
「趨勢的に温室効果ガス削減対策の進捗による削減効果は認められる」との評価は、極めて甘いと
思うが、根本的には、この「原子力発電の稼働率の変動などに伴う電気排出係数の変化が大きな影響を及ぼす」状況の転換こそが求められているのではないか。
担当者に電話で伺うと、「柏崎原発の影響が現われた」とのことだった。柏崎刈羽原発は、2007年7月に発生した新潟県中越沖地震で1~7号機の原子炉全てが緊急停止、地震による地盤沈下で変圧器で火事が発生するという大事故となった。その後の経過をへて、7号機と6号機は昨年末から今年にかけて2年数ヶ月ぶりに運転を「再開」しているが、他の原子炉は未だに運転再開のメドは立っていない。
図2の京都府の排出量の変動を見ると、2004年、顕著な上昇が見られるが、これにも原発事故が大きく影響している。この事故は、2004年8月16日に発生した関西電力美浜原子力発電所3号機で起こった蒸気噴出の大事故で11名の方が死傷する大惨事となった。度重なる原発事故やデータ隠し発覚などが、もう一方で、大量に二酸化炭素などを排出する石炭火力発電所などの稼動を増やしている。その結果、日本国中で温室効果ガス排出量が増加する。日本政府は温暖化対策の柱に「原発推進」を掲げてきたが、この構造自体が問題を深刻化させている。原発依存の転換こそ強く求められる。

あきれてしまう、府の「CO2排出量の推移と奨励推計」

府の担当者は「中間素案」に続き、「温室効果ガス削減目標の検討フロー」を説明したが、これには耳を疑った。今回の会議では、2050年の「京都府が目指すべき環境像・社会像」を提示、そこに向け府が最大限可能(と算出した)削減目標が示された。図3&表1が、その数字だ。
2050年の目標が、「-67%」と出てくることには驚いてしまう。先の話ということなのだろうか?委員からも「2050年は、こんな数字では調整できない。対策で、家庭部門はマイナス89%、一方、産業部門はマイナス56%ではどうしようもない」という声が出た。
さらに府は、「この削減目標を計算する際の電気係数を、2005年-0,358、2020年-0、282、2050年-0,282で試算している」と述べた。
これには別の委員から、「もう一度数字を言ってほしい」との声がでた。この「係数」は、ある一定量の電気を作り出す上で、二酸化炭素などの排出量が増えれば増えるほど大きくなるもので、本来は自然再生エネルギーの大幅導入などで、小さくなっていかなくてはならないものだ。ところが、数字は、2020年も50年も変わらないことになっている。これはズバリ、「石炭火力発電所に大きく依存している構造には、メスを入れない」と宣言しているようなもので、これでは、2050年に二酸化炭素などを大幅に削減する目標数字など出てくるはずがない。石炭火力発電所など、二酸化炭素の大量排出源での規制を強め、ここでこそ大転換をはかるという、避けられない課題を避けてしまう京都府の態度があからさまに出てしまった「検討フロー」ではないか。
COP15は私たちが期待するものには程遠かったが、それでも気候変動はその激しさを増していく。2020年や50年の中長期の目標が、国際交渉の具体的課題として真剣に議論される状況こそ、現情勢を示している。京都は、京都議定書の生まれた地である。そのトップがしっかりと現状を認識し、知性と勇気を発揮して、「転換」へのイニシアティブを発揮しなくて、誰が先頭に立つのだろうか。京都府知事の責任は、他の自治体とは比べ物にならないほど大きいが、残念なことに、その志は見られない。今、私たちの側に強く問われているのは、やはり「政治の転換」である。




「温暖化対策基本法案」ー柱なしでは、家は建たない

2010年03月12日 | 地球温暖化
各紙に、「温暖化対策基本法案」の閣議決定(本日)に関する記事が載っています。
下記、気候ネットワークのコメントです。
”骨抜き”でなく、骨を入れることが、
政治に求められています。

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2010年3月12日

 地球温暖化対策基本法案、公約から大きく後退
 国内排出量取引はキャップ&トレード型とすべき

気候ネットワーク代表 
浅岡美恵

 昨年9月、鳩山首相が国連環境特別総会で、「温暖化を止めるために科学が要
請する水準に基づくもの」として1990年比2020年25%削減を目指すとし、「我々
が選挙時のマニフェストに掲げた政権公約であり、政治の意思として国内排出量
取引制度や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入、地球温暖化対策税
の検討をはじめとして、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく決意」を
表明した。鳩山首相は国際社会や国民の期待に応え、その公約実現の責任を負う

 しかしながら、本日、閣議決定された地球温暖化対策基本法案は、その実現の
土台として、極めて脆弱といわざるをえない。

 法案に2020年目標としての25%削減目標はあり、その施行前にも目標達成に資
するよう基本的施策を講じるとするものの、25%目標の施行を「すべての主要な
国の公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組み構
築と意欲的な目標について合意をしたと認められる日以後」としたことで、政権
はより重い責任を負ったといえる。具体的な施策の進展がない場合には、排出削
減を実現できず、国内外から信頼を失い、日本の低炭素経済への移行と経済再生
の機会も損なう。

 対策の中核である国内排出量取引制度については、日本経団連や連合などの働
きかけを受けて最後まで混迷の末、総量によることを基本としつつも、原単位指
標についても検討の余地を残し、選挙公約で掲げたキャップ&トレード型排出量
取引制度を明確に打ち出せなかった。原単位目標容認では総量削減の担保ができ
ず、このような大規模排出源の排出削減のための制度といえない。10年前のイギ
リスでの失敗の経験に学び、原単位指標を容認した取引制度としてはならない。

 旧政権が原発拡大を口実に省エネや再生可能エネルギー拡大を先送りし、石炭
増加も容認してきたことが排出大幅増加を招いたことへの反省もなく、原子力拡
大を図るとの条文を入れた。その一方で、再生可能エネルギー固定価格買取制度
も、旧政権下のエネルギー供給構造高度化法のもとに、実質的に低い目標のも
と、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大させる制度の創設を明確にしえていない


 将来世代のために不可避の低炭素経済への道をここで封じてはならない。鳩山
政権は国際社会と国民への公約にもう一度思いを致し、公約の実現を確実にする
国内法制度を打ち立てるべきである。温暖化防止に与野党の壁はない。国会は、
その役割を果たすべきである。

【お問合せ先】
気候ネットワーク URL:http://www.kikonet.org
(東京事務所)
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-7-3半蔵門ウッドフィールド2F
TEL 03-3263-9210、FAX 03-3263-9463 E-Mail:tokyo@kikonet.org

骨抜きの「温暖化対策基本法」では、困ります!

2010年03月10日 | 地球温暖化
私たち、地球温暖化防止京都ネットワークは
緊急の「共同アピール」を呼びかけています。
民主党鳩山政権が選挙で託されたのは、
本格的な温暖化対策のはず
だからこそ、「2020年、マイナス25%削減」表明は大きな評価を受けました。
しかし、いま閣議決定されようとしている”温暖化対策基本法案”は
腰砕けです。
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骨抜き「温暖化対策基本法案」に異議あり!
-骨抜き法案の閣議決定に反対する共同アピール-
「地球温暖化対策基本法案」が今週にも閣議決定されようとしている。伝えられるところでは、産業界等の猛烈な圧力のもとで、「法案」の根幹に関わる重大な骨抜きが行われようとしている。「25%削減」は入るが発効日は明記されない、本格的な削減に求められる企業での総量規制もうやむやにされ、これまで温暖化対策に逆行してきたことが明白な「原発推進」さえ書き込まれる危険がある。
これからの地球温暖化対策をすすめる根拠法としては、
1 「2020年までにCO2を30%削減」「2050年までにCO2を80%削減」すること。少なくとも、条件をつけずに「2020年までに25%削減」を掲げること
2 そのために ①、二酸化炭素などの大量排出事業所での排出削減目標を明確にした、キャップ・アンド・トレードー排出量取引制度の導入、②、炭素税の導入、③、再生可能なエネルギーの目標設定を法律に明記することが不可欠である。
私たちは、「京都議定書」の成立以降、抜本的な温暖化対策の実践に向けて、温室効果ガスの大規模削減に役立つ法律の制定、そして、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えて次世代に引き継ぐため、足もとの京都から「低炭素なまち・京都」の実現をめざして活動をすすめてきた。
私たちは、「法案」をめぐる現在の骨抜きの動きをみとめることができないし、もしも鳩山政権がそれを行えば、明らかに公約違反であり、有権者を裏切るものだといわざるをえない。私たちは、あらためて、地球温暖化対策に真に有効な「地球温暖化対策基本法」の実現を強く求めるものである。
                                

Newton 温暖化を知るためのCO2

2010年03月02日 | 地球温暖化
神戸までの車中で読もうとNewtonを買った。

「温暖化の仕組みは?」
地表は、太陽光に加えて、大気からの赤外線によっても温められる。
そこで
CO2分子の内部は、赤外線があたり激しく運動、
これがまわりの窒素や酸素分子に衝突し、それらを振動させる。
CO2は、太陽光には影響を受けないが、赤外線には強く反応
一方、窒素や酸素の分子は赤外線にあたっても反応しないが
振動により赤外線を出すことになる。
こうした連携で
結果、地表がより暖まる。

36Pには、
「CO2の削減ー分野別で最も多いのは、産業による排出」の特集
発電所など「化石燃料による発電」が
「全体の排出量の30%を示す」ことがグラフになっている。
その発電のうちの60%が火力発電
その中で、一番の問題は、
46P、「石炭火力発電所」だ。
「化石燃料からの排出は炭素の含有量が多いほど多く、
石炭を10とすると、石油は8、天然ガスは6である」
同じ火力発電でも、石炭から天然ガスに変えるだけで
この分野の排出量は40%削減される計算だ。

温暖化防止に、京都府政はどうのぞむべきか

2010年02月09日 | 地球温暖化
2月9日付の京都新聞に
京都府のCO2削減計画にかかわる記事が載っている。
これに関わっては、後日しっかりコメントしたいが、
少し前に「府政研究」に出したベースになった原稿を掲載します。
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温暖化防止に、京都府政はどうのぞむべきか

地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員 榊原義道

シリーズ京都府政研究2006(2005年11月発行)で、温暖化防止と京都府政に関してコメントしてから4年が経過した。地球温暖化をめぐる情勢は、この4年で大きく変化し、いまも激しく進行中だ。小論のテーマは、この流れの中で現在の京都府政を見て、温暖化防止に大きく貢献する府政のあり方を探ることにある。
京都議定書誕生の地-京都というが、府政は、ズバリ言って、現在進行中の大きな動きについていけてはいない。温暖化防止を本格的に進めるためには、国政とともに、京都府政でも大転換が求められているが、それを進める上で、京都府にかけているものは何か、一緒に考えてみたい。

1、 民主党政権の誕生と鳩山首相の「1990年比マイナス25%」表明

8月30日投票の第45回衆議院選挙は、自民党・公明党の大敗北を引き起こし、民主党・鳩山新政権を誕生させた。民主党はマニュフェストで、「CO2等排出量について、2020年までに25%減(90年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする」と明示、選挙後、鳩山由紀夫民主党代表は、財界などの動きに先んじて先制的に「中期目標25%」宣言を発した。
「すべての国が『共通だが差異ある責任』を持って対処することが肝要」
「気候変動に関する政府間パネルICPPの結論を踏まえ、先進国は率先して、中期的、長期的な排出削減に努める必要がある」
「中期目標も科学が要請する水準に基づくものとして、2020年までに90年比25%の削減をめざす」「すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築もめざす。すべての主要国が参加した意欲的な目標の合意が、日本の国際社会への約束の前提」
「途上国も持続可能な発展と貧困の撲滅を目指しながら、『共通だが差異ある責任』の下で削減に努める必要がある」などなど。
この表明は各方面に大きな衝撃を与え、国際的にも高く評価する声が相次いだ。国内では、関係NGO
から「いつも化石賞ばかりとっている日本(政府)が褒められるのは初めて」と歓迎の声が出される一方、財界首脳からは「厳しい目標で慎重な対応を求めたい」(トヨタ自動車:豊田章男社長-9月9日読売新聞)、「25%は産業界から言って荒唐無稽。国益に反することは明々白々」(神戸製鋼所相談役:水越浩士相談役-9月8日朝日新聞)との声が出た。「寝耳に水」との声が出たところに、財界関係者の受けた衝撃の大きさが現れている。その後、財界関係者の中でも「中期目標25%」を支持する発言が現れているが、これら全ての反応は、「鳩山発言」の時代的意味をあらわしている。  
この実現の行方は、国際情勢ともかかわりつつ、今後の政府と国会、各セクターの努力と頑張りにかかっており、引き続き、世論と運動の高揚が前進への大きなカギを握っている。

2、「中期目標マイナス25%」が求める変革とは何か

鳩山首相は国連気候変動首脳級会合で日本の中期目標について「温暖化を止めるために科学が要請する水準に基づくものとして、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指します」と明確に表明した。これはIPCCの第4次報告書が示した「2020年で、先進国はマイナス25%~40%を削減」に対応したものとなっている。

産業革命以降の気温上昇を2℃以内に押さえる
そもそも温暖化対策の最小限の達成目標は、「地球表面の温度上昇を、産業革命前から2℃未満で押さえる」ことだ。7月8日、イタリアのライクラで行われたG8サミットの温暖化首脳宣言では、「産業革命以降の世界全体の気温上昇を2度以内に抑えるべきだとの科学的見地を認識」し、「世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに50%削減。先進国全体では、50年までに80%以上削減」を初めて確認したが、この意義は大きい。
「2℃未満」の目標達成に必要な排出削減は、現在地球上で私たちが出している二酸化炭素などの温室効果ガス量で言えば6割ほどとなる。日本やEU、アメリカなど、いわゆる資本主義の「先進国」では、宣言でも言われているように、現状の80%~90%以上の削減が必要だ。
その理由は明らかで、現在、私たちが出している二酸化炭素などの温室効果ガスは、現状で72億トン、うち海に22億トン、陸上の土や植物に9億トンが吸収される。合計31億トン。結果、排出量との差し引き41億トンが、地球の大気の中に年毎に溜まっていくこととなる。これが、大気中の二酸化炭素などの濃度を増やし続けている。大気に残る分の割合は、現状では約57%。だから、大気中の二酸化炭素などの濃度を低めようとしたら、現在排出している二酸化炭素を、少なくても現状で言えば、60%程減らさなければ、温室効果ガスは大気中から減り始めない。これが実現できないと、地球環境は人類にとって取り返しがつかない事態に陥る可能性が大きいと科学者は警告し、その“限界の温度”が「産業革命前から2℃未満(までの上昇)」と言われている。
G8サミットの温暖化首脳宣言は、この表明であったが、これは論理的に「2050年までに50%削減」の方向性を確認し、積極的な「中期目標」合意を導き出す上で重要なものだった。現段階でCOP15に関しては、「政治合意に専念」(朝日:10月29日)などと報じられているが、いづれにしてもこの大目標に向かっての本格的歩みは開始されており、止めることは決して出来ない。鳩山首相の「中期目標25%」宣言も、この大きな脈絡の中にある。

自然は、一気に二酸化炭素を吸収できない。だから、早めの大幅削減
削減のための対策の強化は、早ければ早いほどいい。それは、先に紹介した、温室効果ガスの地球上での振舞いからきている。人間の産業活動・生活によって排出された二酸化炭素などは、地球上でただちに消えてなくなるわけでなく、大気の中に一定期間留まるので、地球上での排出と吸収の収支が釣り合うまでは、地球上の二酸化炭素などは増え続ける。温室効果ガスの排出量を、2050年に一気にゼロにしても、それまでに出した二酸化炭素などは長期にわたって地球(+人間)環境をかく乱し続ける。温室効果ガス排出の地球上でのピークが遅くなればなるほど、その間の排出量は多くなり、それが地球と人類への悪影響を増大させる。だからこそ「排出のピークをなるべく早くに迎える(なるべく早く、世界的に増加から減少に転じる)」ことが重要で、その為にも本格的な大規模な排出量削減につながる「中期目標」は、極めて重要な意義を持つ。2050年の大幅削減目標が同じでも、途中、大量に排出され続ければ、目標の意味は失われる。だからこそ、2020年の「野心的な中期目標」設定が、どうしても必要であり、それは本格的な地球温暖化対策の実践と同義語である。

166の大規模事業所で、日本の温室効果ガスの50%を排出
 「温暖化対策の本格的な実践」とは、温室効果ガスの大量排出源に迫り、そこでの排出量を大規模に、確実に減少させていくことに他ならない。日本の07年度温室効果ガス排出量は、90年比プラス9%、削減どころか「増加」となっている現実が、国内対策の失敗を現している。その理由は明らかで、一言で言えば、日本の温暖化対策が、温室効果ガスの大量排出減に全く迫れていなかったことにある。
気候ネットワークは、09年4月6日、日本の大手166の事業所で、日本のCO2などの50%が排出されていることを明らかにした(図1)。これは、この間、気候ネットワークが訴え続けてきたもので、「地球温暖化対策推進法」の排出量公表制度で明らかにされた大口排出事業所の排出量から算出されたものだ。07年度は、06年度と比べて、大口事業所での排出量がさらに増えているのが特徴となっている。
そこでは、二酸化炭素などの排出トップグループが明示(表1)されているが、大量排出のトップグループは電力会社で全国の88の発電所で日本全体の排出量の30.1%をしめている。続いて、鉄鋼産業が18事業所で12%、セメント(20事業所3%)、化学工業(21事業所3%)がそれに続く。日本の事業所15000で「70%以上の排出量」と指摘されているが、ここへの「対策」が、経団連の「自主行動計画」まかせで、事実上打たれていなかったことが、繰り返すが、日本の温暖化防止対策の最大の失敗であった。新政権が掲げる「中期目標25%」を実現する政策は、まさしくここに手を入れるものとならざるをえない。

3、京都府は、「転換の座標軸」のどこにいるか?
 こうした流れの中で、京都府は、今、どこにいるのか?
京都府庁正門前に、少し文字が見えにくくなった「地球環境京都宣言」の大看板が立っている。1997年、COP3での京都議定書誕生を記念して、京都府知事を先頭に15団体の代表者で上げられた温暖化防止宣言は、「1997年12月、ここ京都の地で地球と人類の未来にとって歴史的な一歩が踏み出されました」で始まり、「尊い命を育んできたこの母なる地球をしっかりと未来に引き継ぐことは、私たちの責務である」「勇気をもって・・・新しい時代の価値観に立って、社会における生産・流通 ・消費・廃棄のシステムのすべてにおいて環境を重視した取組を行う」と決意を表明している。
 しかし、京都府の取り組みは進んでいない。07年、京都府の温室効果ガスの排出量は1480万トン-CO2で、90年比プラス0,2%、基準年より増えている(図2)。京都府は京都議定書誕生の地の自治体として、この状況をどう変えようとしてきたか、その責任は、他の自治体とは比べ物にならないほど大きい。そのトップである知事の、変革への意志と意欲が、今、強く問われている。

「温室効果ガス25%削減、賛成?反対?知事慎重姿勢」-問われるトップの姿勢

10月1日の毎日新聞は、9月30日京都府議会一般質問での「温暖化防止」を巡る質疑について次のような記事を載せた。
見出しは、「温室効果ガス25%削減、賛成?反対?知事慎重姿勢」。山田知事の、「中期目標マイナス25%」への賛否を問うものだった。
「共産党の加味根史朗議員から国を上回る30%以上の目標設定を求められると、『首相の提案は25%削減を単純に言ったものではなく、米中の参加や国内削減分の問題もある。府の環境審議会の意見を踏まえて検討する』と答弁。加味根議員が再質問で『はっきり決意を示されないのは非常に残念』と述べると、再登壇した知事は『答弁をもうちょっとよく聞いていただきたい。私は首相の削減目標は人類のため必要だと強い決意で述べられたと評価している。だからこそ京都も頑張っていくと表明している訳。そう受け取っていただければいい』と語気を強めた」(毎日新聞:09年10月1日)
顛末は、以上の通りだが、この時点でも京都府知事が「中期目標25%削減」に、はっきり「賛成」と言えなかった所に、山田知事の温暖化対策への姿勢と認識の弱さが現れている。世界の温暖化の状況を深く認識し、真剣に対策を考えてきたのであれば、「中期目標25%削減」への支持は当然で、決して「気色ばむ」ような問題ではない。しかも、新首相の表明があった後だ。「勇気をもって・・・新しい時代の価値観に立ち・・・取り組みを行う」ことを決意した京都府が、これでよいか?

大量排出源で、CO2を「元から断つ」
二酸化炭素などの本格的な削減で最も基本的なことは、二酸化炭素などを「元から断つ」ことだ。その主要な対策の柱は、気候ネットワークが明らかにしているように温室効果ガスを大量に排出する大規模事業所への規制である。この最も基本的なことを、明らかにすることが、地方自治体の温暖化対策でも重要となっている。もちろん、分野別対策を進める上での排出量の算定も必要だが、それだけでは、二酸化炭素などの本格的な削減のため、どこをどう変えるのか、これが不明確にならざるをえない。

「間接排出」と「直接排出」-なぜ「間接排出」だけなのか?
 京都府の「地球温暖化対策プラン第3回検討会議の開催結果」(09年9月2日開催:府ホームページ参照)を見ると、次のような委員の発言がトップに紹介されている。
委員:「間接排出だけでなく、直接排出を出し、現状の問題点を明確にすべきである」
「間接排出」「直接排出」とは、二酸化炭素などの排出量をどの段階で把握するかという、言わば最も基本的な算定方法の「違い」である。
例えば、電気がつくられる場合、発電所でそれを作るために使用される石炭や石油、天然ガスなど化石燃料の燃焼、これによって直接に発生する全ての二酸化炭素などの排出量をダイレクトに把握する仕組みが「直接排出」による算定だ。こうして見れば、発電所などは当然、温室効果ガスの大量排出源である。
ところが「間接排出」では、電気の場合、家庭や工場などで使用される使用量から二酸化炭素などの排出量が逆算され「部門別」に分けられるので、「直接排出」に比べて、二酸化炭素などの大量排出源は見えにくい。関西電力が、石炭の方が原料が安く儲かるからと、二酸化炭素を大量に発生する石炭火力発電所を増やしても、「間接排出」で算定すると、その影響は、家庭や事業所など末端で“拡散”してしまい、排出量を増やしている石炭火電の問題は隠されてしまう。
 先ほどの「地球温暖化対策プラン検討会議」での質問を、電話で京都府の担当部局にぶつけてみた。すると、「国のマニュアルでそうなっている(間接排出で算定)から」との返事が返ってきた。では、国のマニュアルや環境省の姿勢はどうなっているのか?

地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル
環境省に質問してみると、「いや、うちはいろんなやり方がありますよ」と紹介しているだけで、間接排出でなくてはいけないと指定しているわけではない、との返事だった。
環境省は、09年6月、これまでの地方自治体向けのマニュアルを見直し、最新のものとして「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル」(第1版)を発行している。これは、昨年6月の「地球温暖化対策の推進に関する法律」改正にもとづいて「都道府県ならびに指定都市、中核市及び特例市(指定都市等)の地方公共団体に対し、現行の地方公共団体実行計画を拡充し、従来の地域推進計画に相当する区域全体の自然的社会的条件に応じた施策について盛り込むことが義務付けられた」ことを踏まえ、2050年の長期目標も視野に入れ、地域の温暖化対策を促進しようというものだ。
そして、その最初の部分(「利用の手引き」)には、丁寧に「新実行計画の策定・実施は、自治業務として各地方公共団体の判断に基づき、その責任の下で行われます」、だから「本マニュアルは、・・・技術的な助言の性格を有するもの」だと、但し書きもされている。しかし、本文を見ると、実際は「新実行計画には、現状の温室効果ガス排出量を盛り込む必要」があり、それは「地域全体の総量だけでなく、部門別、温室効果ガスの種類別、排出期限別排出量も合わせて記載」すること、これを「計画に定める内容」としており、マニュアルにそって進んでいくと、府の担当者が電話で回答した通り、「間接排出」で算定することになってしまう。「選択の自由はある」といわれても、そうはなりにくい仕組みになっており、マニュアルの改善が求められる。
温室効果ガスの排出量を「間接排出」でしか出さない事態は、本格的削減を進める上でも効果的でない。新政権のもと、温暖化対策の抜本的転換を進める上で、排出量を「直接排出」で算定する、都府県レベルの自治体では「両方」で算定し、それに基づく対策を立てることが強く求められる。 
10月17日、気候ネットワークと地球温暖化防止京都ネットワークが企画した「低炭素のまち・京都考える懇談会」で、この点を、さらに府の担当者に聞いてみた。
「検討委会議でも意見が出されているように、京都府はなぜ“間接排出”でしか、排出量を算定しないのか?国のマニュアルにそう書いてあるからか?」
府の担当者の答えは「マニュアルに沿った内容でもあるが、『直接』も『間接』も、今後は両方見ていく必要がある」「関西電力にも指導していく」というものだった。これが実践されれば「一歩前進」だ。しかし、この問題は、本来は、二酸化炭素を「元から断つ」という課題と一体であり、現状を変えるためには、府のトップ、京都府知事の明確な姿勢の確立が不可欠である。

4、地球温暖化対策と「舞鶴火力発電所問題」
京都府の排出量は「1480万トン」、一方で、関西電力舞鶴火力発電所は二基で860万トン

 京都府での温暖化防止をすすめる上で、「舞鶴火力発電所」問題は、大きな課題となっており、この課題に立ち向かう知事の姿勢は極めて重要である。
現在、京都府の07年度の排出量は1480万トン(間接排出で算定したもの)、一方、舞鶴火力発電所の排出量は、06年から稼動している一号機で430万トン、2010年から稼動予定の第二号機が動き出せば、合計860万トンとなる。京都府下最大の排出源だ。石炭火力発電所は他の自然再生エネルギーはもちろん、石油や天然ガスと比べても、同量の電気生産に対する二酸化炭素の排出量は多い。石炭は、太陽光に比べて18倍、天然ガスと比べても1,7倍の排出量(図3)であり、“二酸化炭素の濃い電気”をつくる最悪のエネルギー源となっている。当然、その増加は、日本の排出量増加の主たる原因の一つとなっている。にもかかわらず、この動きに規制が掛からないのが現実である。舞鶴火電の「860万トン」は、京都府の排出量の58%に匹敵する数字だが、これが府の温暖化対策上、可視化され、問題化される仕組みになっていない。これでは、“断つべき元”は明確にされず、京都府の温暖化対策が進むはずはない。
この問題について京都府議会では、日本共産党府議団がたびたび取り上げ、府知事の姿勢を問うてきた。今年の9月定例議会でも一般質問でこの問題が取り上げられている。(詳細は、共産党府会議員団ホームページ:かみね議員の質問と答弁-大要参照)

かみね議員:「本府は、舞鶴火力発電所について、『安定的な電力供給のための電源構成の多様化を考慮して導入されたもので、他の発電施設の障害発生時等に府民生活の安心・安全を確保する観点からも考えるべきもの』と答え、削減対象と考えない姿勢に終始してきました。このような姿勢をこれからも続けるのでしょうか。・・・最大排出源の電力業界についても大幅な削減が求められています。本府として、明確に削減を迫る姿勢が必要であります。2号機の建設は中止し、1号機についても、稼動を停止するよう、関電に求めるべきです。」

山田知事:舞鶴火力発電所については、京都府としてはこれまでから関西電力に対し、社全体として電気排出係数の軽減を要請してきたところです。電力の安定供給とCO2削減のベストミックスというのを、関西電力でやはり実現していただく。これが、私は必要でないかと思っておりまして、これからも個々の部分に限定するのではなくて、関西電力の発電事業から排出される温室効果ガス削減総量の削減対策を一層強化するよう働きかけて参りたいと考えています」

 知事の答弁は、下線部を判りやすく言えば、「京都府は関西電力に、電気をつくる際、二酸化炭素などが“薄い”電気になるようにお願いしてきた、関電は削減対策をいっそう強化してください」ということだ。しかしこれは、全く一般論の粋を出ていない。今、行政のトップに求められているのは、一般論では進まない現実をしっかり踏まえ、その原因を明確にし、行政が「進まない現実」を変えるしっかりした政策を持つことだ。知事には、こうした認識の上に立ち、石炭火力発電所を規制する、踏み込んだ対応が求められる。
山田知事の答弁では具体的にされていないが、「二酸化炭素が“薄い”電気をつくる」ための知事の選択肢は、どのようなものだろうか?
①、「CO2排出量が少ない」と宣伝される原子力発電所の稼働率を上げる-しかし、この対策は、これまで日本政府が推進を図ってきたが、すでに失敗している。原発の安全性問題はもとより、“温暖化対策”にとって、繰り返される原発事故や不祥事による運転停止は逆に石炭火電への依存を高め、事実上、温暖化を促進するものとなってしまった。
②、石炭火力発電所を縮小・転換、廃止し、一方で自然再生エネルギーを大幅に増やす方針に転換する。この方向こそ、京都府に求められる政策転換の方向である。こうした認識に立ち、京都府内の温室効果ガスの排出量を、府の担当者が言ったように「直接排出」でも算定し、その上で、府の中長期の積極的な削減目標を決定する。これを確実に実現できるような仕組みをつくることである。国の法律制定は当然それにとって重要だが、それができる以前でも、条例を制定し、大規模排出源となっている大企業との協定を結んで、それをリードしていくことが求められる。
「鳩山発言」以後、財界の発言にも若干の変化が生まれている。10月2日、トヨタ自動車の豊田章夫社長は講演で「自動車業界は百年に一度の変革が求められている」として、温暖化防止対策は、「(政府が打ち出した目標に)ブレーキをかけるのではなく、アクセルを踏んでいく」と表明(10月3日:日経新聞)、また京セラの稲盛和夫名誉会長は「25%削減政府目標」について、「『克服して乗り越える勇気が政府、産業界に必要』と述べ・・・明確に支持する考えを表明」(10月7日:毎日地新聞)、京都商工会議所の立石義男会頭も記者会見で「温暖化対策で日本が主導的役割を果たす高い志」と評価している。京都府が、COP3開催地として、今後の新しい世界作りに貢献する決意を持つなら、行政のトップは、それなりの認識と哲学を持ち、転換へ、勇気の発揮が求められる。今、各分野でそれが求められるが、トップの責任は、他と比べられぬ程大きい。