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京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

地球温暖化対策ーオバマの気候行動計画へのコメント(気候ネットワーク)

2013年06月26日 | 地球温暖化
<意見・2013年6月26日>

   オバマ大統領の気候行動計画に際するコメント
~日本にも温暖化対策強化の政治的イニシアティブが必要~
                     気候ネットワーク 浅岡美恵
【ウェブURL】http://www.kikonet.org/iken/kokusai/2013-06-26.html
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 6月25日、米国のオバマ大統領は温暖化対策の包括的な政策方針を含む「大統
領気候行動計画」を発表した。同計画の中で、オバマ大統領は、新規及び既存の
発電所に適用するための炭素汚染基準を設けるよう環境保護庁に指示している。
また、2020年までに再生可能エネルギー電力を倍増させるため、電力系統を強化
する対策を指示するなど、多様な分野の対策に言及している。再生可能エネル
ギーの活用や厳しい省エネ基準の採用で、新しい雇用、産業を創出しながらCO2
を減らしているとも指摘している。

 もちろん、気候変動分野の米国の責任を考えれば、この内容は十分とは言えな
い。また、米国はこの計画を着実に具体化させ実行に移し、実質的な大幅削減に
つなげる責任を負っている。

 しかし、本計画の発表が意味することの重大さは、国を代表するリーダーが温
暖化対策強化への明確な政治的なメッセージを発したことにある。これは、日本
と対照的である。

 安倍首相は、中期目標の25%削減目標を事実上取り下げたばかりか、新たな目
標設定の議論も先送りしている。排出量取引制度などの実効性ある対策の具現化
にも意欲を見せず、逆にCO2排出量が多い石炭火力発電を推進する流れを容認し
ている。

 しかし、気候変動の危機は、目を背ける余裕のないほど深刻化している。省エ
ネの徹底と石炭の低減によって効率的で低炭素のエネルギー社会に切り替え、再
生可能エネルギーを大幅に増やすことに、今すぐ大胆に着手しなくてはならな
い。それが、脱原発と温暖化対策を両立させ、新たな雇用を生み出し、地域経済
の活性化につながる道である。

 日本の気候変動問題への危機感の欠如、政治的なイニシアティブの欠如は深刻
な状況にある。オバマ大統領のイニシアティブを歓迎しつつ、安倍首相には、同
等の強い政治的イニシアティブを求めたい。

参考:ホワイトハウスウェブサイト【http://www.whitehouse.gov/】

                                  以上

▼意見全文はこちらから
http://www.kikonet.org/iken/kokusai/2013-06-26.html

米竜巻 続報

2013年05月22日 | 地球温暖化
「米竜巻 最強レベル」(22日毎日夕刊)
「米国立気象局は21日、竜巻の強さを表す6段階の「改良藤田スケール」で最も強い「EF5」に街頭すると発表した」
このレベルは、「住宅が跡形もなく吹き飛ばされる被害」
読売は、「最大風速は秒速で約90~93m、竜巻の幅は最大時で約2キロ・メートルと推定した」と

米オクラホマ州で巨大竜巻ー温暖化で、さらに凶暴化するだろう

2013年05月21日 | 地球温暖化
本日、気候ネットワークの理事会
「毎日新聞」夕刊、一面いっぱいの大きな写真に「米巨大竜巻51人死亡」
米オクラホマ州のオクラホマシティ近郊のムーアで20日午後発生
「小学校2棟倒壊」で「負傷者は200人以上にのぼる」と
11面には「小学生30人下敷きか」と
「ムーアは1999年にも竜巻で被害を受けている。小学校近隣に住む男性は
『あの時より何倍も大きな竜巻だった』と恐怖を語った」と

気候変動ー「地球温暖化」はこうした事態を
より強く、頻繁に引き起こす。

CO2濃度、初の400PPM超えー21世紀、「温暖化防止」は、人類の最重要課題の一つ

2013年05月11日 | 地球温暖化
写真は、以前ひどかった時に
京都市左京区市原での「ナラ枯れ」です。

11日「京都新聞」は夕刊トップで
「CO2濃度、初の400ppm超え」
「ハワイの世界指標、科学者ら警告」「温暖化、危険水準にまた一歩」と

「米海洋大気局(NOAA)は10日、ハワイのマウナロア観測所で測定した大気中の二酸化炭素(CO2)の平均濃度が、1958年の観測開始から初めて400ppmを超え、最高値を記録したと発表した」
「同観測所のデータは大気の状態を正確に把握する世界の標準的指標。地球温暖化の深刻な被害を避けるためには、CO2を含む温室効果ガスの濃度を450ppmまでに抑える必要があるとされ、危険水準にまた一歩近づいた」
「米国の『憂慮する科学者連盟』は『一刻も早くCO2排出を減らさないと、猛暑、干ばつなどの異常気象が常態化する』と警告の声明を出した」

間違いなく、21世紀の「最重要課題」の一つだが
この間、日本では原発事故の影響で”吹っ飛んでいる”状態
「地球温暖化」とは、世界でじわじわ進む危機
じわじわだから、「認識」しないと切迫感が伝わりにくい。
”悪質なウイルスが広がり、一気に20億人が死ぬ危険性!”といった”判りやすい危機”でないが、人間にとって”判りやすくなった”時には、かなりの人々が死に直面する事態となっている。
生物界は、もうずっと続く異変
ナラ枯れで、コナラは40%以上が枯死したが
彼らの世界では「仲間たちの半分が、絶滅する大異変」が、現に起こっている。
ここに目を向けなくてはならない。



11月3日.4日「市民が進める温暖化防止」

2012年10月31日 | 地球温暖化
気候ネットワークのシンポジウム 
「市民が進める温暖化防止2012」のお知らせです。
今年のテーマは
"グリーン"な未来への転換に向けて
日程:2012年11月3日(土)、4日(日)
会場は、同志社大学 新町キャンパス 尋真館(京都市)
http://www.kikonet.org/event/sympo12.html
注目は「グリーン・ポリティクス」の議論です。

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11月3日(土)13:00~17:00 尋真館Z31
全体会「"グリーン"な未来への転換に向けて」
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・ご挨拶「私たちが今問われていること」浅岡美恵(気候ネットワーク代表、弁護士)
・ディスカッション1
『グリーン・エコノミー』と『グリーン・ポリティクス』の実現へ
【コーディネーター】野中ともよ氏(NPO法人ガイア・イニシアティブ代表)
【パネリスト】
井田徹治氏(共同通信社編集委員)
植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)
浅岡美恵(気候ネットワーク代表、弁護士)
丸山真人氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)
稲村和美氏(尼崎市長)、他

・ディスカッション2:政治家が語る『グリーン・ポリティクス』
国会議員・地方議会議員を招き、グリーン・ポリティクスの
可能性について議論する予定です。
【コーディネーター】同上
【登壇予定】
福山哲郎参議院議員(民主党)
笠井亮衆議院議員(日本共産党)
服部良一衆議院議員(社会民主党)
水野賢一参議院議員(みんなの党)
すぐろ奈緒杉並区議会議員(緑の党代表)、他

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11月3日(土)17:15~18:45 尋真館Z41
参加者交流会
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「グリーン・ポリティクスとグリーン・エコノミー」、
「原発ゼロと温暖化対策」についてワールド・カフェスタイルで
話し合います。カフェのような落ち着いた雰囲気の中で、
お茶とお菓子を囲みながら交流を深めましょう。

4日も分科会があります。

呼びかけ:日本は原発ゼロの方向をめざすことになりましたが、
それでも行方はまだ不透明です。原発ゼロと温暖化防止の両立は、
私たちの大きな課題であり、その実現への道筋を示すことが
求められています。
 どうすればこれまでの経済優先の成長路線から"グリーン"な経済と
"グリーン"な政治への転換を実現できるのでしょうか。国際、国、
地域レベルの最新動向を踏まえ、めざすべき”グリーン”な未来と、
それを実現する具体的な道筋を考えます。

▼日時
2012年11月3日(土)13:00~18:45、4日(日)9:30~18:30
▼会場【変更になりました】
同志社大学 新町キャンパス 尋真館(京都市上京区)
*アクセス http://www.doshisha.ac.jp/access/ima_access.html
▼参加費
一般1,500円、学生1,000円、会員1,000円、学生会員500円
*2日分・資料代込み
▼申込み不要(当日、直接会場の受付にお越しください)
▼ご案内
会場には、CO2削減のため、徒歩・自転車・公共交通でお越しください。
必要に応じて、マイボトル等をご持参ください。
▼お問合せ:特定非営利活動法人 気候ネットワーク
TEL 075-254-1011 FAX 075-254-1012
MAIL kyoto@kikonet.org

京都でも局地的豪雨

2012年07月15日 | 地球温暖化

今朝、疏水を見ると泥でにごっている。
えっ?なんで?
疏水への放流が増やされた?と思って鴨川までやってくるとこちらは大増水
川沿いの遊歩道でも通れなくなっているところもあり
「北区か左京区北部で局地的に大雨が降ったんだ」と思った。

ネットで検索すると、下記は「読売」の記事
・・・・・・・・・・
京都でも大雨・家屋被害、住民14人一時孤立
2012年7月15日(日)10:17
京都府内で15日未明、短時間に記録的な大雨が降った。
京都府によると、午前4時までの1時間に京都市右京区嵐山で89ミリ、亀岡市では85ミリを記録した。
この雨で、京都市北区の紙屋川が増水し、近くの住宅27軒が床上浸水した。住民14人が自宅に取り残され、市消防局のレスキュー隊がゴムボートで救出にあたった。
亀岡市曽我部町では、土砂崩れで民家1軒が半壊、2軒が一部損壊した。同市内では住宅三十数軒が床上・床下浸水した。
いずれもけが人はないという。
気象庁によると、日本海にのびる梅雨前線に南から暖かく湿った空気が流れ込み、京都市や大阪府北部では15日未明から大雨となった。
大阪管区気象台によると、降り始めの15日午前2時から午前9時までの総雨量(速報値)は、京都市中京区110・5ミリ、大阪府能勢町54・5ミリを記録した。
とのこと。

友人に聞くと、嵐山でも”バケツをひっくり返したような雨”だったとのこと。

昨日の「朝日」夕刊は、九州北部の大雨被害に関して住民の声を紹介している。
「体験したことがないような雨」
今後、地球温暖化ー気候変動の影響でこうした「雨」も増えるだろう。
「雨」がこれまでのような雨でなくなれば
それをかろうじて支えてきた山・土とのバランスも崩れる。
山が「雨」を許容できなくなれば、
「雨」も「山・土」も、これまでとは別物に変わる。
今回の「経験ない雨」
「大都市・京都」も人事ではない。

”日本に京都があってよかった”が、日本政府に「京都」がなくて、ホント、アカンかったわ。

2011年12月12日 | 地球温暖化
気候ネットワークが「ダーバン会議:気候ネットワーク声明」を発表した。
「京都議定書を生かした次の法的文書づくりに合意」との副題がついている。
今回の会議で日本政府は相手にされず
酷評の対象以下だったという。
「日本に京都があって良かった」というコピーがあったが、
日本政府の頭の中には「京都議定書」は潰す対象でしかなかったようだ。
政府の本音は「日本に『京都議定書』などあっては困る」というもの
ホント、アカンと思う。
・・・・・・
以下、気候ネットワークの声明 2011年12月11日
http://www.kikonet.org/iken/kokusai/2011-12-11.html

【南アフリカ・ダーバン】11日、ダーバン会議(COP17/CMP7)は、会期を延長した末、バリ行動計画(COP13)に基づいて現在進められている交渉を来年のCOP18までに終え、「議定書もしくは法的文書、法的成果」を2015年までに作ることを決め、閉幕した。

 また京都議定書については、2013年から第2約束期間を始めることを決めた。対象ガスや適用するルール、先進国の排出削減数値目標、第2約束期間の終了年を、COP18までに決定し採択することが目指されることになった。さらに、先進国・途上国の緩和行動の具体化、緑の気候基金、適応委員会、技術執行委員会などにおいても、一定の進展があった。



 ダーバンでのパッケージ合意は、京都議定書の仕組みを維持し、機能させながら、その先の包括的な法的枠組みを強化していくことを決めたことを意味する。京都議定書の第2約束期間の合意がなければ、新たな議定書(法的文書)作りの合意もなかっただろう。混迷する交渉の中で生み出された今回の合意によって、次のステップが明確になり、世界の市民社会の希望をかろうじてつないだものと言える。

 一方で、交渉の遅れ、それに伴う対策の遅れは著しいと言わざるを得ない。気温上昇を2度未満に抑えるためには、今後の交渉を相当にスピードアップさせ、同時に、各国の行動レベルを引き上げる必要がある。



 ダーバンでの日本政府の方針は「京都議定書第2約束期間不参加」であり、現存する唯一の法的拘束力ある枠組みを否定し、離れていくというものだった。このポジションは堅く、他国からみて交渉の余地のない国、交渉に値しないアクターになってしまった。途上国を説得する代替案もなく、地球温暖化対策基本法案も宙に浮いた状態で「京都不参加」を繰り返すばかりの日本政府は「全ての主要国が参加する枠組み」に貢献することはできなかった。日本の環境外交の見通しは暗い。

 今後世界は、京都議定書の第2約束期間の実施を基礎に、より良い、効果的な次期枠組みをつくっていくことになる。この世界的潮流の中で、日本が引き続き京都不参加に固執することは、「フリーライダー(ただ乗り)」の道を選ぶことを意味する。国際社会の中での信頼低下、国内の低炭素化と持続可能な社会への転換の遅れ、それによる経済や雇用への悪影響など、負の効果をもたらすだろう。

 今回の合意を受け、日本は、今一度、方針を見直すべきである。そして、先進国の責任としてより高い削減目標を掲げ、それを実現する国内法と政策措置を備え、京都議定書の下で目標を掲げる準備をするべきである。それが今後の、包括的で効果的な法的枠組みの成功を実現することに大きく貢献することになる。




COP17-気候ネットワークのニュース(現地)から

2011年11月30日 | 地球温暖化
気候ネットワークの
COP17/CMP通信 No.1が現地の様子を伝えてきています。
一部を掲載します。
・・・・・・・・・・・・・・
■ ダーバン会議のゆくえ

 ダーバン会議COP17/CMP7(気候変動枠組条約第17回締約国会議・京都議定書7
回締約国会合)が始まった。
会議に先立ち、気候変動が加速していることを突き付ける情報が次々に入ってき
ている。世界気象機関(WMO)は、大気中の温室効果ガス濃度が加速度的に上昇
し、このままでは破局シナリオに向かっていることを伝えた。国際エネルギー機
関(IEA)は、「世界エネルギー見通し2011」で、産業革命前からの気温上昇が2
度を下回る道は閉ざされつつあり、2017年までに新しい厳格な対策を取る必要が
あると警告した。ダーバンでは、会議初日の豪雨・洪水によって6人が死亡、数
百人が被害を受ける事態となり、気候変動の被害が世界の各地域で広がっている
ことを、交渉関係者自身が実感することとなった。
もはや残された時間のない、切迫感が高まるこの気候変動問題に、ダーバン会議
はどう立ち向かうことができるだろう?地球の未来は救えるだろうか?

■波乱もなく、交渉がスタート
 初日の歓迎式典で、フィゲレス条約事務局長は、南アフリカのマンデラ元南ア
フリカ大統領の言葉「実現するまでは、それは不可能のように思えるものだ」を
引用し、前向きな姿勢で交渉に望むよう訴えた。その後、開会プレナリーで議題
が採択され、大きな波乱もなく交渉が始まった。

■「アフリカの大地を、京都議定書の墓場にすることは許さない」
 ダーバン会議への期待は、決して高くないと言わざるを得ない。しかし、はっ
きりしているのは、ここで、京都議定書第2約束期間に合意することが必要だと
の機運が高まっていることだ。京都をここで終わらせてはならないというのは、
まさに、第2約束期間に不参加を表明している日本に対する真っ向からの抗議で
ありメッセージでもある。第2約束期間への合意は、先進国に更なる行動を求め
るということに加え、現存する法的な削減枠組みを維持し、次なるステップへつ
なげる意味がある。EUやノルウェーなども、包括的な法的枠組みが必要であるこ
とを強調しながら、京都議定書第2約束期間をその移行プロセスとして参加する
意思を見せるのもそのためだ。
 アフリカグループは、非常にはっきりと、ここを京都の墓場にするなとのメッ
セージを発した。後発開発途上国グループ(LDC)も「京都議定書を救済するた
めにここに来た」と明言した。
一方、日本国内では、政府の地球温暖化問題に関する閣僚委員会がダーバン会議
の基本方針を確認した。しかし、今の立場を続ければ、「京都を生み、京都を殺
した国だ」と言われるかもしれない。

■期待されるのはパッケージ合意
 ダーバンの成果として期待されるのは、(1)京都議定書の第2約束期間に関す
る合意、(2)条約の下での包括的な法的枠組みに向けた交渉開始の合意(マン
デート)、(3)カンクン合意の完全実施のための合意、の3つによる“パッケー
ジ合意”だ。いずれも重要であり、どれかを欠くこともできない。最後は、そこ
に歩み寄ろうとする各国の積極的な譲歩が、ダーバンの成功を導くカギになるだ
ろう。


カンクンでの温暖化防止会議ー日本政府の対応は”変”

2010年12月09日 | 地球温暖化
メキシコのカンクンで開かれている「気候変動枠組み交渉」会議に関わって、気候ネットが出した緊急声明です。
日本政府は、世界の主要排出国が一緒になって取り組む「温暖化防止」でないと「効果がない」などと
いかにもまともな主張をしているようですが、
それならばこの枠組みに入ってこようとしない大国、
特にアメリカと中国に対し
必死に働きかけたり、厳しく批判もすることを、
なぜしないのか!
ずっと思っています。

(以下、「緊急声明」)

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建設的な歩み寄りに、大臣のリーダーシップを
~主要排出国の参加する枠組みの構築のためにこそ~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年12月8日
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

 メキシコのカンクンで、気候変動の次期枠組みの交渉(COP16/CMP6)が開催さ
れている。あいにくここで最終合意を成し遂げる流れにはないが、来年のCOP17
における合意の重要要素について決定し、合意の形式も明らかにすることが期待
されている。
 しかしカンクンでは、日本政府の姿勢が際立って問題になっている。いわゆる
「京都議定書の第2約束期間の延長反対」論である。
 日本の「全ての主要国が参加する実効性ある『1つの枠組み』」提案は一見、
環境のために正しい提案のように思える。しかし実際のカンクンでの交渉は、そ
のような状況では全くない。
 交渉は、京都議定書の作業部会と気候変動枠組条約の作業部会の2つが並行し
て開かれており、長い経緯を経て次期枠組みを検討している。NGOのみならず世
界の大勢は「京都議定書の第2約束期間の合意」と「条約の下での法的拘束力あ
る合意」の2つを来年最終合意するべきだと考えている。なぜならそれが、法的
拘束力ある京都議定書の仕組みを維持しながら、もう一つの合意で主要国の行動
を確保する、現実的で環境に最も効果的な拘束力ある仕組み生み出すアプローチ
だからである。
 しかし政府は、すぐに成し遂げられないことが明らかな「一つの枠組み」にこ
だわり、逆に中国などの頑なな姿勢を招いている。このままでは日本は確実に孤
立し、交渉決裂を招く。その結果日本は、世界から外交上の失点と大きな批判を
浴びることにすらなる。
 カンクンが妥協の時ではない、というのも間違いだ。閣僚級の協議で、世界は
歩み寄りを始めつつある。日本も、歩み寄りによって実現する大きな合意に向
け、今すぐに柔軟な姿勢を示す必要がある。
 なぜEUやオーストラリア、ニュージーランドなど先進国を含む大多数の国が、
京都議定書の第2約束期間が必要という立場を取るのかも考える必要がある。ど
の国も、米国や中国を置いていっていいなどと考えていない。むしろ、2トラッ
クで枠組みを作ることが、最も確実に世界の削減を引き出し、米中の行動を引き
上げる枠組みになると考えているからに他ならない。
 松本環境大臣が、残された2日間でこのまま「一つの議定書」と突き進めば、
日本の姿勢が野心的な合意を遠ざけ、米中を遠ざけ、ひいては、気候変動を悪化
させることになる。歩み寄りこそが、何よりも米国・中国をひきつけ、環境によ
い衡平な枠組みへの第一歩となることを知るべきである。
 前半で交渉担当者が担ってきた非建設的なムードを変えられるのは、ここにい
る松本環境大臣しかない。「反対」とだけ言ってきた交渉から、建設的な妥協の
姿勢へと転換させることで、大臣は、交渉全体の空気を変えることが出来る。国
内から菅首相が、その柔軟性を後押しすることも必要だ。
 私たちは松本大臣が、「カンクン合意」の成立のためにまず日本の舵を切り、
交渉が暗礁に乗り上げるのを回避し、逆に助ける役割を果たすよう、望みたい。

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クマが町に出る

2010年10月29日 | 地球温暖化
昨日、京都府などへの「鳥獣被害に対する緊急対策の申入れ」が
日本共産党の京都府北部の各自治体議員団、同府会議員団などで行われた。
夜久野
「丹波クリが大ダメージを受けている。黒豆もやられると打撃だが、1年限り。しかし、クリは枝も折られたりして枯れることもある。」
「地元ではクマへの憎しみが強い。福知山では連日出没し、『保護獣』というなら、府は被害の補償をしてほしいという声が出ている」
京丹後
「クマによる果樹への被害がひどい。海岸沿いで育てている梨が80ケース食べられた。枝も折られる」
府の方からは、
「その通りと思う。人が里山近くに住んでいないことが大きな原因と思うが、今年は餌がない。基本は学習放獣。人家近くに出た場合は緊急対応で処分もやむをえない」
各地域からは共通して「命の危険ということをわかってほしい」ということが言われた。
「クマがサッシの戸を開けて入ってきて、家の中の冷蔵庫に置いてあったボールの中のおかずをきれいに食べていった」
お年寄りからは「一人暮らしは”恐怖”」との声も出ている。
「人の命がかかっている。里の柿の実を(クマの餌にならないように)採れとか言うレベルではない」
「丹後では24頭捕獲し、3頭は処分。1頭はすでに死んでいたが、実態をつかんでいるか?」
クマが増えているのでは?という声もあちこちから出ている。
クマが町に出る根元には、大きな現代社会の問題があるが、
現地では、命の危険にさらされ始めている。
もちろん”害獣絶滅”などではないが、
命と里を守る対処は絶対に必要だ。
いずれにしても行政は、緊急対策とともに
「問題」の正確な把握に全力をあげるべきだ。

「なぜクマは町に出る?PartⅡ」のお知らせ

2010年10月28日 | 地球温暖化
なぜクマは町に出る?PartⅡを企画しました。
以下、お知らせ文です。
・・・・・・・・・・・・・・・・
   
市道でクマと乗用車が衝突(舞鶴市)、民家に侵入し二人がケガ(福知山市)など、
人とクマとの遭遇や事故が頻発しています。新聞なども「飢えるクマ、里へ」と報道、
森でのクマの餌不足が指摘されています。
地球温暖化は、森林においても大きな生態系の変化を引き起こしています。いま大
きな問題になっている「ナラ枯れ」や結実しないブナ、芦生をはじめとした北山の林床
植生の変化にも、温暖化は大きく影響しています。
私たちは、2004年、京都社会フォーラムで「クマはなぜ町に出る?」を企画しましたが、今回、そのPartⅡを行います。
いま、“クマ出没”が言われるあちこちの森で、ブナは凶作、ナラもカシ類もともに
不作という事態が広がり「これらが連動する凶作は過去にない」(主原憲司)と言われています。
今回の企画では、主原氏が、クマが出てこざるをえなくなっている「森の木々や環境が、今どうなっているのか」を報告、これらの最も大きな要因を作り出している、人間の社会
のあり方について参加者で討論します。

日時:11月18日(木)午後7時開会(6時半開場)
会場:京都教育文化センター302A 号室
(℡075-771-4221 京都市左京区聖護院川原町4−13・京大病院南側
京阪鴨東線:神宮丸太町駅下車。川端丸太町上る一筋目を東へ5分) 
報告:主原憲司(北山の自然と文化をまもる会幹事)(資料代300円)

主催:北山の自然と文化をまもる会(問い合わせは、榊原まで)

あらためて「温暖化が進行」

2010年10月17日 | 地球温暖化
最近、江守正多氏をはじめとした10氏が、
「IPCC報告の科学的知見について」という意見書を発表しました。

IPCCに関しては、「クライメート・ゲート」などと一時、大さわぎになりました。
これは、「独立調査委員会」が
「結論としては、データねつ造などの科学的な不正は見つからない」
「IPCCの結論になんら影響を及ぼさない」として決着が着きましたが
”温暖化なんかウソだ!”という人たちに
おおいに使われました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
IPCC報告の科学的知見について

1. 本文の目的

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、1988年11月発足以来4度にわ
たって気候変動に関する厖大な報告を発表してきた。気候変動問題に関連した科
学者達によって執筆されたこれらの報告は、その時点でもっとも信頼できるこの
分野の科学的知見の集大成であり、さまざまな機会に引用され、特に気候変動に
関する枠組条約会議やサミットなど気候変動への対応政策を論議する場でしばし
ば取り上げられてきた。

だが、IPCC報告の内容や性格がそうした外部の人々に十分正しく理解されている
とはいいきれない状況が見られる。IPCC報告が特に以下に述べる2つの点で不当
に信頼性を疑われたり(下記2.)、逆に政治的決定に濫用されている(下記3
.)
ように思われる。

今春以来、この問題に関心の強い関係科学者有志が集まり議論した結果、この2
点についての有志の見方を世間に公開することとした。これによって、社会の人
々が、従来の、そして今後のIPCC報告の意図する内容を正しく理解されることを
強く期待する。

   注:関係科学者有志の氏名(五十音順)
     石谷 久、江守正多、沖 大幹、茅 陽一、鬼頭昭雄、杉山大志、住
 明正、
     関 成孝、松野太郎、山口光恒
     
2. 報告書内容の信頼性について

本文で取り上げる第一のポイントは報告書に盛られた科学的知見の信頼性である

報告書に盛り込まれた内容がどこまで信頼できるかは、報告書を読む人にとって
当然第一の関心事である。しかし、2009年末頃から、IPCCの報告書の内容を
めぐっていくつかの出来事があった。これを大きくわけると次の2つになる。

1) データの操作に関するもの
2001年の第3次報告書で、温暖化の事実を如実に示すとされる図の作成過程
で、恣意的操作が行われたことを示唆するとされるe-mailが明るみに出された。
(いわゆる「クライメート・ゲート」疑惑)

2) 記述の信憑性に関するもの
2007年発表の第4次報告書第2作業部会報告「気候変化の影響評価・適応策
・脆弱性」の中で、「ヒマラヤの氷河が2035年までに消失する可能性が高い

という重大な記述がなされているが、これがIPCCの引用基準を満たさない科学的
根拠に欠ける記述であることが指摘され、それに対してIPCCもこの記述を誤りと
認めた。また、これ以外にも、報告書の中の小さなミスや引用の不適切、バラン
スの不適切などの指摘がなされている。

これらに対してどのような対応が行われたであろうか。

1)に関しては、問題の生じた英国において、下院の科学技術委が設けた特別委
や関係大学の委託した2つの委員会が真相究明を行い、オリジナルデータの公開
等については問題があるものの、科学的内容については問題がないとの結論を得
た。2)に関しては、一般的にIPCC報告の信頼性や透明性を更に高める目的で、
IPCCが第三者(IAC:インター・アカデミー・カウンシル)に報告書作成過程や
組織の運営体制に関するレビューを依頼し、その報告が8月末に発表されたとこ
ろである。

ただ、いずれにせよこれまで指摘された誤りは殆どが軽微なものであり、これに
よってIPCCがこれまでまとめた科学的知見の主要なものが揺るぐわけではない。

第4次報告で指摘された主要な2つのポイント、すなわち

*地球温暖化が起きていることは疑う余地がない

*20世紀後半以降に生じた温度上昇の大部分が、人為起源温室効果ガスの増加
によるものである可能性が非常に高い

の妥当性については、世界の多くの科学団体・国際研究プログラム(ICSU:国際
科学会議、WCRP:世界気候研究計画、IGBP:地球圏―生物圏国際協同研究計画)
などが声明を出して強調している。

また、2010年4月30日に開かれた日本学術会議主催シンポジウムでもこれ
らの結論を疑わせる議論は全く出なかった。

もとより、報告書内容の信頼性に関する問題が生じたことは遺憾であり、IPCC関
係者はそのようなことが起こらないよう今後とも努力する必要があるが、これを
もってIPCCの科学的知見全体の信頼性に疑いがあるとするのは不適切と言えよう

人為起源温室効果ガスの増加による気候変動は間違いなく進行しており、迅速に
対応を進める必要がある。

3. 報告書の知見の政策決定への利用

本文で取り上げる第2のポイントは、IPCC報告が行っているのはあくまでも科学
的知見の報告であり、何等かの政治的な主張を行うものではない点である。

最近、各種メディアや政府(政治家)を含め各方面で、IPCCが科学の要請として
「地球の平均気温上昇を産業革命以前の自然のレベルにくらべ2℃以内に抑制す
ること」や、それに基づく特定のCO2削減目標を推奨しており、政策はそれに従
うべきであるとするような説明が行われているが、これは全くの誤解である。

IPCCの第4次報告書では温度上昇影響に関わる記述がいくつかある。例をあげる
なら、第二作業部会報告書の技術要約には次のような記述がある。

1)「工業化以前の水準を2~3℃超える地球温暖化とこれに伴う大気中CO2濃
度の増加によって、生態系の構造と機能に相当な変化が起きる可能性が非常に高
い」(英文原典「Climate Change 2007 Impacts, Adaptation and
Vulnerability」p. 38、日本語版「IPCC地球温暖化第四次レポート 気候変動
2007」p. 150)、

2)「世界平均気温が1990年~2000年水準より2~4℃上回る変化は、
主要な影響の数をあらゆる規模で増加させることになるだろう。例えば、生物多
様性の広範な喪失、地球規模での農業生産性の低下、グリーンランドと西南極の
氷床の広範な後退の確実性などが挙げられる。」(英文原典p. 73、日本語版p.
185)

ただ、記述はこのような温度上昇の影響の可能性を記すにとどまっており、気温
上昇を工業化以前に比して2℃以下に抑制するべき、という要請や推奨は一切行
われていない。

そもそも、IPCCの報告書は、「政策決定に役立つもの(policy relevant)」で
はあっても「特定の政策を推奨するもの(policy prescriptive)」ではない、
との原則のもとに編纂されているものである。

IPCCは、発足以来一貫して自己の作業を科学的知見の要約とする考え方をとって
おり、特定の対応策に関する意見を推奨したことはない。この点は本年8月に開
催されたIPCCの統合報告書の構成に関する会議でも改めて確認されたところであ
る。

本来、温室効果ガス削減戦略や目標は科学のみから自動的に導き出されるもので
はない。科学に基づく気候変動のリスク評価、対策のオプションやその費用の評
価、種々の社会経済的変化の可能性、社会的価値の判断などを含めた幅広い見地
から総合的に判断を行うべきであり、温度上昇の影響のみが判断の基準ではない

温暖化の政策は上記の諸因子についての総合的判断から導き出すべきものである


その意味で、現在G8の宣言などで述べられている2℃抑制とそのための削減案
(たとえば2050年世界の温室効果ガス排出50%減)は、あくまでもIPCCの
科学的知見を参考とした先進国主唱の政治的判断の一つである、とみるべきであ
る。決して科学的要請というべきものではない。

各国の対策に関する主張は、IPCCの知見は参考にしつつも上記のような諸要素を
考慮にいれて定めるべきであり、世界はこの各国の主張に基づいて国際的な合意
を形成し共通の目標を設定するのが適切ではないか。

以 上



「タシロラン発見ー稲荷山」

2010年08月05日 | 地球温暖化
3日付「京都新聞」に
「タシロラン(準絶滅危惧種)発見ー伏見・稲荷山」
「確認場所が市内で増加」の記事がある。
タシロランについては、京都御苑での「迎賓館」建設問題で話題になったが
私たちは、それを”貴重な植生”として評価する事について、?を感じていた。
北山の自然と文化をまもる会の主原憲司氏は、当時から
東山や稲荷山、その他でタシロランを見つけており
「京都で増えているし、さらに増えるだろう」と指摘していた。
私たちが、06年から東山の高台寺国有林で「ナラ枯れ防止」の活動を行っていた時にも
タシロランは普通に見ていたので
この南方系の腐生ランが増えているのは活動メンバーには”当たり前”の感覚だった。
その感覚で言えば、タシロランは落ち葉のたまった京都の山々で、さらに増えそう。