「原発と大津波ー警告を葬った人々」が面白く、腹立たしい。
岩波新書で著者は添田孝史氏
東日本大地震の大津波
東電は「想定外」を何度も繰り返していたが、
実は東電も保安院も、そうした津波の恐れがあること、
その場合「炉心損傷や全電源喪失を引き起こすこと」もわかっていた、と。
著者は、その証拠を
福島原発事故調査委員会(国会事故調)が明らかにした電事連の膨大な資料から発掘し新書にまとめた。
電力会社側の資料だからこそ面白い。そして読めば読むほど、腹立たしい。
この「基本構造」は、今も変わっていないから。
1993年の北海道南西沖地震までは「津波想定は既往最大を基本としていた」
しかし、その後の1995年の阪神淡路大震災、
それを経て作られた「地域防災計画における津波防災対策の手引き」(7省庁手引き)は、画期的に変わった。
「科学的に発生してもおかしくもない地震も想定する」方針を打ち出した。
ところが、逆襲が起こる。
2004年、中央防災会議事務局が、日本海溝の専門調査会で想定の地震は
「既往最大よりさらに後退し、繰り返し発生し、証拠が沢山残っている地震に限定」された。
これは単なる事務局内部の方針転換だが、これが8年間も秘密にされ、しかし実際は力を発揮していく。
この公開は、なんと2011年3,11大事故が起きてから4ヶ月後、著者の情報公開の末にだった。
そこに「東電からの圧力はあったのか」と話は続く。
「実例1、2、3」と続くのだが、ぜひ読んでいただきたい。
こうした「わかってたのに、ヤッチャッタ!」原発事故の後始末を
私たちは税金と、電気代の値上げで尻拭いさせられている。
現状ではこれからもずっとさせられるし、
その結末は、日本の大地もふる里も暮らしも人間関係も奪われることになるかもしれない。
24日の「京都新聞」朝刊1面トップに
「廃炉に国費1892億円」の記事があった。
「福島第一原発1~4号機の廃炉・汚染水対策に2011年度から14年度まで、国が投じた費用が計1892億円に上ることが23日、会計検査院の調査で明らかになった」
国が東電に投入する事故の賠償費は「上限9兆円」だが、「国債で交付するため、借入に伴う利息約1264億円は実質的に国民の負担になる」
「9兆円のうち2,5兆円は除染費用で、この分は機構が保有する1兆円の東電株の売却益で回収する」そうだが、これは東電の株価が今の2,5倍にならないと賄えない話
”潰れた東電””危ない東電”をどこまで、おんぶにだっこする?
大島賢一さんは、会計検査院が指摘する前に国が言いなさい!
9兆円については『利息分が全額国民負担』なんていう話ではなく、
「元本自体のほとんども国民が電気料金などで担うことになる」と厳しい指摘。
この社会で、国が一企業である東電を支援し、株価アップにまで配慮するというのは、全くいかがなものか!と
これらをちゃんと繰り込むと、原発で作る電気は、火力(10.7円)よりも高い。11,4円/kw
この額には、核のゴミの長期にわたる処理・管理費用は入っていない。
いま私たちが十分考えなくてはならないのは、
事故前には「100万年に一回も、事故、起こりませーん!」とうそぶかれ
事故が起きたら「わかってたけど、ヤッチャッタ!」か、と
そして、4年たったら
「ああゆう事故が起こるかもしれないけど、電気代高いの、困るでしょ!しばらく原発、しょうがないでしょ!」と居直る。
彼らは原発事故がまた起きても、
賠償費用なんて、国債発行し、国民から税金とればいいやん!と思ってる?
放射能雲にも、「すぐに死ぬレベルではありません」と、言うか。
大企業つぶしたらアカンだろ!と、そればっかり
関電なんかも必死の形相だ。
これを封じるのは、私たち有権者・国民・市民しかない。
これは、封じるしかない!