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子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「バーフバリ 王の凱旋」:どこまでも濃く,しつこく,ありがたく,の進化形

2018年01月08日 21時57分20秒 | 映画(新作レヴュー)
「バーフバリ 伝説誕生」に続く続編,と聞いて,劇場に出掛ける前に慌てて,以前に録画しておいた前編を観た。何もかもが,ひたすら濃かった。あらゆる登場人物の顔と微妙なニュアンスなど知ったことかと言わんばかりの大げさな表情,お約束の歌と踊り,完膚なきまでに相手を叩き潰す復讐描写,サム・ペキンパーが生きていたら何と言ったか感想を聞きたくなるくらいに多用されるハイスピード(スローモーション)撮影によるアクション。テレビの液晶画面で観ても,「ご馳走様」とお腹を擦りたくなるような娯楽精神満載の大作だった。
その前編とほぼ同じトーンでまたまた141分の尺を要する本作も,13億人を超え中国を抜かすまであと5千万人(これも結構凄い数字ではあるが)と言われる人口を抱えながら,大量のエキストラに頼ることなく,IT大国の地力を活かした細密なCGを駆使して群衆を描いたことも含めて,どこを切っても今のインドの活力を象徴するような「空想非科学歴史絵巻」であった。

投げた槍が,相手の投じた槍の先端を引き裂いて飛んでいく。三本の矢を同時に弓にかけて放ち,一度に三人の敵を倒す。「日本の劇画」の実写化,と言われても素直に納得してしまいそうな大仰さがてんこ盛り。
敵の首をボンボンと撥ねるカットが随所に出てくるのにも驚いたが,二代目バーフバリの母で幽閉されていたデーヴァセーナが,25年かけて集めた小枝に火を放って,自分を陥れたバラーラデーヴァに復讐するラストには仰天した。けれども,人の道に外れた悪行の限りを尽くした悪役ながら,最後は慈悲の心でソフトランディングさせるのではないか,という軟弱な映画ファンの想像力を楽々と越えるこのエピソードに代表されるベタな神話的展開こそが,インド映画の興収記録を塗り替えた一番の原因なのかもしれない。

だがそれにしてもだ。トーンに強弱を付けるなり,笑いを盛り込むなり,もう少し工夫が出来なかったものか。前編・後編を一気見という形になってしまったのが悪かったのか,あまりの一本調子に途中でややダレた。
女優二人も美しいし,豊満な肢体も実に妖しい魅力を放ってはいたのだが,正直顔の区別が付かなくて困ったし。
ただ既に廃れてしまった「絵看板」がもし今もあったなら,本作用の特大の奴を観てみたかったという気はする。お正月気分を盛り上げた象の行列に☆を追加。
★★★☆
(★★★★★が最高)


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