子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2016年J2リーグ第42節 札幌 VS 金沢【0:0】

2016年11月20日 17時55分10秒 | 映画(新作レヴュー)
8月の熊本戦のレビューで「一番不気味な清水とは勝ち点差が15開いてはいるが,このままでは心配」と予言したとおり,走れない(走らない)サッカーを修正することが出来ずに,下位チームに取りこぼし続けていた札幌だったが,とうとう最終節でJ2の優勝と昇格を同時に決めた。

苦節5年振りのJ1復帰ということで本来なら,どんな試合展開やサッカーの内容であったとしても,選手を含む関係者の健闘を言祝ぎたい気持ちだったのだが,そこで耳を疑うような発言が飛び出した。
それは優勝監督インタビューの最中,引き分けでも優勝が決まる札幌が試合の終盤に攻める姿勢を見せなかったことに言及した時のことだった。正確には記せないが,そこで四方田監督は引き分けが「お互いにとって良い結果だったので」引き分けを狙った,と発言したのだ。

確かに相手の金沢を率いていたのが,元札幌のU15の監督だった森下監督ということもあったのかもしれない。その金沢は試合前まで最下位に沈んでいたのだが,同勝ち点だった北九州が山形に0:3で負けており,このまま金沢が引き分ければ自動降格を免れて入れ替え戦に回る権利を得ることが確実だったので,引き分けが「お互いにとって良い結果」となるため敢えて攻めなかったのだ,という趣旨の弁明をしたように感じた。

リスクを回避して,ドローを狙う戦法はリーグ戦の最中にはあるかもしれない。ましてやプロチームが優勝がかかった試合で,攻めに行ってカウンターを食らうリスクをヘッジするというのは,当たり前だという意見もあろう。しかし今日の試合は,札幌と金沢だけでなく,降格を免れようと必死になっている北九州にとっても大事な試合であったのを忘れることは許されない。得失点差で金沢を上回っていた北九州のサポーターの中には,自チームがどんなに敗色濃厚でも「首位の札幌が順位通りのサッカーをして勝ってくれれば,北九州が入れ替え戦に回れる」と,必死の思いで札幌を応援していた方もいたはず。そんな方々の思いを体現する義理は,優勝を狙うチームにはない,と言い切ることも可能だろう。しかし,ひたすら時間が過ぎるのを待って,自陣でボールを廻し続ける姿を観て,「来シーズン,J1の舞台で戦う姿が一層楽しみになった」と感じた観客はただの一人もいなかっただろう。

更に言えば攻めに転じた結果,仮にカウンターで1点を取られて優勝を逃したとしても,結果的にはそれでも札幌は昇格できていた。3万3千人を超える大勢の観客は,優勝は出来なかったとしても,走りきって攻める姿勢を見せ続けたチームに拍手を送りたかったはず。サポーターの掲示板には既に「八百長ではないか」という意見も載っているが,そこまで行かなくとも,どんなときでも全力で勝利を目指すというJリーグの基本理念を棚に上げても良い時はある,という意見がまかり通ってしまえば,リーグの存在基盤そのものが揺さぶられる事態になるのではないだろうか。その意味では,優勝や昇格よりも,残念な気持ちが勝ってしまった最終節だった。


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