映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

古都  岩下志麻

2011-05-04 06:06:39 | 映画(日本 昭和35年~49年)
岩下志麻の初期の作品である。川端康成の小説を映画化して、美しい京都を舞台に離れ離れで育った双子の姉妹の姿を描く。現代風女性とは違った日本の古風な女性を岩下志麻が演じる。彼女の美しさが際立つ映画だと思う。



主人公佐田千重子こと岩下志麻は呉服問屋の一人娘として何不自由なく育った。しかし、彼女は実の子ではなかった。店の前の格子の下に捨てられていた捨て子だった。親娘の愛は細やかだった。父こと宮口精二は下絵に凝っていた。帯の下絵を持って東野英治郎が主人の西陣の織屋を訪れる。その息子こと長門裕之は岩下に想いを寄せていた。一瞬下絵を織るのにためらうが着手することとなる。
岩下は、清滝川に沿って奥へ入った北山杉のある村を友人と訪ねた。そして杉の丸太を磨いている女達の中に自分そっくりの顔を見い出した。夏が来た。祇園祭で賑う四条通を歩いていた岩下は北山杉の娘苗子こと岩下志麻(一人二役)に出会った。娘は「あんた姉さんや」と声をふるわせた。千重子と苗子は双子の姉妹だった。しかし父も母もすでにこの世にはいない、と告げると苗子は雑踏に姿を消した。その苗子を見た長門裕之が千重子と間違えて、帯を織らせてくれと頼むのだったが。。。。

熟年の域に達した岩下志麻は、やくざの姐さんが似合う怖い存在となった。話し方にも貫禄がある。そういう彼女を見ているとこの映画での岩下志麻には違和感がある。やさしい匂いがある。でも、この映画の岩下志麻が見せる日本人特有の古風さを持った京都の老舗の御令嬢という役柄はなかなかいいもんだ。岩下の和服のセンスもいい。昭和30年代の映画では和服のセンスの良さに感嘆させられることが多い。そこが昭和40年代以降の映画との違いか。

同時に京都の美しい伝統的な風貌を映像にする。いきなり瓦屋根の京都の街並みの姿がタイトルのバックになる。わくわくする。そして格子の美しい日本家屋を見せながら、八坂神社のしだれ桜や祇園祭の趣きある姿を映す。北山杉のある村に独特の雰囲気があり、日本的情緒にあふれている。



ストーリーや演技で見るというよりも、映像を楽しむといった映画だと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニッポン無責任時代  植木等 | トップ | KT  金大中事件 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(日本 昭和35年~49年)」カテゴリの最新記事