映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「花影」 池内淳子

2022-07-05 18:49:45 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「花影」を名画座で観てきました。


映画「花影」は1961年(昭和36年)の大岡昇平原作を川島雄三監督がメガホンをとり、池内淳子がヒロインとなった作品だ。名画座の銀座特集の中では、観たことのない作品で思わず足を向ける。自分が子供のころ知っている池内淳子はいかにもTVホームドラマ向きの顔だった。ところが、けものみちという大胆なよろめき系の作品を観て驚いた。イメージが違う。銀座ホステス役の池内淳子主演の作品に同じような匂いを感じとり観に行く。

根強い池内淳子ファンってこんなに多いのかと思うくらい、池内淳子と同世代のおじいさんが多い。確かに、この映画での池内淳子は魅力的だ。子供から思春期の頃にはまったく思わなかった感情だ。

葉子(池内淳子)は長年付き合っていた松崎(池部良)と別れて、銀座のバーのママ潤子(山岡久乃)の元でホステスをやっている。弁護士の畑(有島一郎)に求愛されたり、葉子の古い馴染みの骨董屋高島(佐野周二)のところに出入りするTV局に勤める清水(高島忠夫)と一緒に暮らしたりする。そこにワイン会社の御曹司野方(三橋達也)が久々に銀座の店を訪れ、旧交を暖めて親しくなるのであるが。。。

川島雄三監督は、同じ1961年7月に大映で若尾文子主演女は二度生まれるをつくっている。千代田富士見の芸者が、いろんな男を渡り歩く作品である。大映でつくったから、東宝でもやってよと言われたのかも?自由奔放な玄人の女ということでは若尾文子と池内淳子の役柄に大差ない。それに、2人の主人公の性に対する考え方が今よりもおおらかな感じがする。

成瀬巳喜男監督女が階段を上るときは前年1960年公開だ。高峰秀子が銀座ホステスを演じる。水の都東京の最後の姿が見れる。脚本は菊島隆三で「花影」と一緒だ。あの当時、ものすごい量の映画が作られていたはずなのにもう60年以上経って、他の作品よりも水商売を扱った美人女優の映画の方が後世に残っている気がする。

⒈池内淳子
ここでも、その後年にTVで子どもの自分たちが知っている池内淳子と違うイメージだ。もちろん脱ぐはずはないが、ディープキスのシーンが多い。夜の営みは想像に任せてといったところで次のシーンに移る。こんないい女とキスできるなんて、まあ往年の名男優にとっても役得だったろう。

銀座歴も15年以上だという葉子(池内淳子)のセリフもある。引き立ててくれる大勢の男たちに支えられて生きている、その美貌に言いよる男も多い。しかし、手を握ってもいない骨董商の高島(佐野周二)が常に本線だ。借金のカタに家を処分した噂もあり、葉子に金の無心をすることも多い。それでも、周囲から高島を常にかばう。付き合いをやめろと言われてもやめない。求婚してきた弁護士の畑もカネにだらしない。

ここでの池内淳子はある意味「ダメンズウォーカーの匂い」が強い。川島雄三監督はダメ女を映すのもうまい。どうも、葉子にはモデルだった銀座の女がいるらしい。好きになったと噂される男の名前は錚々たるメンバーだ。さぞかし、池内淳子レベルのいい女だったのであろう。


⒉銀座のバー
長い間閑古鳥だった夜の銀座にも春を過ぎたあとで人が戻っている。高級クラブにも大勢人が来ているし、転職でホステスになる若い子も多いようだ。コロナで客が来ない時期は長かったが、水商売にも融資が出やすくなったとやらで、系列店を出店する豪腕ママもいる。まずは順調と見受けられる。

昭和30年代の夜の銀座のことは想像するしかない。ただ、カード払いが存在しない世界なので、今よりもツケの世界が強かったのかな?自分が入社した時は、あの人はすごいツケがあるという話もあったし、会社の人がよく行く飲み屋のバーテンが会社に回収に来ていたっけ。平成になって大阪に行った時、東京はすでにカード決済が多かったけど、カード決済が嫌だと現金でない時ツケを選ぶバーが目立った。

山岡久乃が経営するバーも女の子がたくさんいるけど、ふところは火の車って感じだ。池内淳子がまたツケを受け入れたと山岡久乃が愚痴を言ったり、バーテンに回収に行ってねと念を押している。それでも、池内淳子が勘定を済ませようとする三橋達也に、「縁がなくなっちゃう」から今日はいいのって言う。三橋達也はまた来るからと懐中時計を渡す。今は、料亭でも芸者衆への花代もあるのでカード不可と言われる場合を除いては請求書扱いにもせずにカードで絶対に精算する。その方が気が楽だと思うんだけどなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「モガディッシュ 脱出... | トップ | 映画「ルッツ 海に生きる」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(日本 昭和35年~49年)」カテゴリの最新記事