goo blog サービス終了のお知らせ 

映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

赤々煉恋 朱川湊人

2010-05-12 09:16:04 | 
朱川さんが日経新聞に書いた「入学式の奇妙な写真」のエッセイを見てから、彼の本を読み続けている。読めば読むほど彼の世界に引き込まれる。そんな中でも短編集「赤々煉恋」の出来が非常に良い。
特に「死体写真師」「レイニー・エレーン」「私はフランセス」の3作は凄い!

「死体写真師」
22歳で死んだ妹を弔う姉の話。妹思いの姉は、亡くなった妹の葬儀にあたって、彼女の写真を撮っておこうと特別な葬儀社に相談する。葬儀社の写真班は段取りよく美しい彼女の写真を撮る。手際よく葬儀を済ませたあと、病院の看護士が姉のところに訪ねてきて妙な話をするが。。。。

「レイニー・エレーン」
出会い系サイトで知り合った若い女の子と渋谷のホテルで逢引きしている際に、昔学生時代に知り合ってその後別れた女性との思い出をラップさせていく話。別れた女性は昼間有名企業のOLとして働き、夜は渋谷で客をとっていたが、殺されていた。

「私はフランシス」
昔中学の同級生だった女性にあてた手紙に、それまでの過酷な人生を告白して行く話。新興宗教を信じている家で育ったが、レイプされ妊娠する。その事実が教義に反するとその家を10代半ばにして追い出されてしまう女の子のその後の人生を語る。。。。

上のあらすじはいずれもストーリーの核心に触れていない。「レイニー・エレーン」の登場人物がだぶる東電OL殺人事件は最近の小説で繰り返し使われている題材である。ある意味村上春樹の「1Q84」もその類である。
上に述べたあらすじの先に独特の朱川ワールドがある。これがすばらしい!平易な言葉で異常な世界を描いていく。ついつい引きずりこまれる。ぞくぞくする。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 沈まぬ太陽  山崎豊子 | トップ | ある子供  ジャン=ピエー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事