大著である。ページ数にすると1700ページにもおよび、通勤時間往復にかなりの時間を当てても読むのに数日かかった。
山崎豊子さんとの出会いは大学時代に「不毛地帯」を読んだときである。そのスケールの大きさに圧倒された。商社マンってかっこいいなあと思った。「華麗なる一族」「女系家族」「白い巨塔」と読みはじめた。学窓を離れて久しいが、時間を空けてそれぞれ再読している。
しかし、「沈まぬ太陽」とはご縁がなかった。
いつもお世話になっている大先輩から食事をごちそうになったとき、その大先輩が「沈まぬ太陽」のモデルになっている元社員を良く知っていて、山岳仲間だった話をされていた。いくつか逸話を聞いて、急に関心を持った。映画も上映された。大著を読むしかないとゴールデンウィークにかけて読了した。
主人公の航空会社の社員が意図せず組合の委員長に推挙される。国策会社として生まれたこの会社の従業員の待遇は当時あまりよくなかった。その待遇改善を求めて会社に強い要求をする。1年だけの予定が後任がいないため、もう一年やることになる。再度強い会社との対立をして、パキスタンのカラチへの異動を命じられる。そして10年近く遠隔地のみの海外移動を命じられることになるが。。。。
モデルになった航空会社も時を経てついに破綻した。労働組合がいくつかに別れて、まったく言うことを聞かない連中ばかりいるという話はあまりにも有名である。そんな体質とわかっていながらも、ナショナルフラッグの信頼感と颯爽と着こなしているユニフォームを全面的に信頼して自分は使っていたものだった。
それにしてもここで書かれていることはあまりにもひどすぎる。
モデルになった社員と元会長I氏がここでは正義の味方になっている。書いている内容に腹をたてた会社がかなり出版側にプレッシャーをかけたようだ。そうする気持ちは読めばよくわかる。でも子会社のホテル経営に関する事項なんてひどいものだ。裏金体質もよく糾弾されなかったと思う。書いてあることが全て事実とは思わないが、70%以上は真実だろう。これには本当に驚いた。
山崎豊子さんの綿密な取材は有名である。今回もかなりの人からの話を聞いていたであろう。政財界の複雑な動きに報道機関の取材を絡ませた書き方は不毛地帯と同じである。不毛地帯のモデルが再度ここで登場するのは見ものである。昭和60年の墜落事故という事実があまりにも鮮明なので、これまでもある人物をモデルにしていたけれど、よりドキュメンタリータッチに映る。
自分自身は労働組合活動には関心がない。むしろ労働分子を「アカ」とよんでしまう傾向がある人間である。今とご時世が違うが、主人公は不運だったと感じる。意図せず労働組合委員長に推挙されて、物事に真剣な性格のため、徹底的に会社側と対決する。ただ、赤字決算なのに会社に従業員の待遇改善を強引に訴えたり、ストで首相の乗る飛行機を止めようとすることなどは明らかにやりすぎだろう。それで冷や飯をくらってもある程度はしかたないとは感じる。でも会社側もやりすぎだなあ。どっちもどっちかな?もともと共産党員でないのに「アカ」と言われ続けられたのはかわいそうな気もした。
あくまで取材をもとにしたドキュメンタリータッチに近く、文学的な要素は弱い気がする。先日の村上春樹の600ページは読み応えがあり、一つの事実を文学的な技巧で細かく描写していく。どっちがいいのかは好き好きであろう。
山崎豊子さんとの出会いは大学時代に「不毛地帯」を読んだときである。そのスケールの大きさに圧倒された。商社マンってかっこいいなあと思った。「華麗なる一族」「女系家族」「白い巨塔」と読みはじめた。学窓を離れて久しいが、時間を空けてそれぞれ再読している。
しかし、「沈まぬ太陽」とはご縁がなかった。
いつもお世話になっている大先輩から食事をごちそうになったとき、その大先輩が「沈まぬ太陽」のモデルになっている元社員を良く知っていて、山岳仲間だった話をされていた。いくつか逸話を聞いて、急に関心を持った。映画も上映された。大著を読むしかないとゴールデンウィークにかけて読了した。
主人公の航空会社の社員が意図せず組合の委員長に推挙される。国策会社として生まれたこの会社の従業員の待遇は当時あまりよくなかった。その待遇改善を求めて会社に強い要求をする。1年だけの予定が後任がいないため、もう一年やることになる。再度強い会社との対立をして、パキスタンのカラチへの異動を命じられる。そして10年近く遠隔地のみの海外移動を命じられることになるが。。。。
モデルになった航空会社も時を経てついに破綻した。労働組合がいくつかに別れて、まったく言うことを聞かない連中ばかりいるという話はあまりにも有名である。そんな体質とわかっていながらも、ナショナルフラッグの信頼感と颯爽と着こなしているユニフォームを全面的に信頼して自分は使っていたものだった。
それにしてもここで書かれていることはあまりにもひどすぎる。
モデルになった社員と元会長I氏がここでは正義の味方になっている。書いている内容に腹をたてた会社がかなり出版側にプレッシャーをかけたようだ。そうする気持ちは読めばよくわかる。でも子会社のホテル経営に関する事項なんてひどいものだ。裏金体質もよく糾弾されなかったと思う。書いてあることが全て事実とは思わないが、70%以上は真実だろう。これには本当に驚いた。
山崎豊子さんの綿密な取材は有名である。今回もかなりの人からの話を聞いていたであろう。政財界の複雑な動きに報道機関の取材を絡ませた書き方は不毛地帯と同じである。不毛地帯のモデルが再度ここで登場するのは見ものである。昭和60年の墜落事故という事実があまりにも鮮明なので、これまでもある人物をモデルにしていたけれど、よりドキュメンタリータッチに映る。
自分自身は労働組合活動には関心がない。むしろ労働分子を「アカ」とよんでしまう傾向がある人間である。今とご時世が違うが、主人公は不運だったと感じる。意図せず労働組合委員長に推挙されて、物事に真剣な性格のため、徹底的に会社側と対決する。ただ、赤字決算なのに会社に従業員の待遇改善を強引に訴えたり、ストで首相の乗る飛行機を止めようとすることなどは明らかにやりすぎだろう。それで冷や飯をくらってもある程度はしかたないとは感じる。でも会社側もやりすぎだなあ。どっちもどっちかな?もともと共産党員でないのに「アカ」と言われ続けられたのはかわいそうな気もした。
あくまで取材をもとにしたドキュメンタリータッチに近く、文学的な要素は弱い気がする。先日の村上春樹の600ページは読み応えがあり、一つの事実を文学的な技巧で細かく描写していく。どっちがいいのかは好き好きであろう。