映画「脳男」早速劇場で見てきました。
「ヒミズ」で衝撃的な印象を残した二階堂ふみの存在感が高いという噂を聞いていってきました。確かに彼女のパフォーマンスに他の出演者はみんな圧倒されている感じだ。クールな脳男生田斗真も悪くはないけど、二階堂ふみ に脱帽です。
いきなり映像で一人の女性が舌を切られる残忍な場面がでてくる。
その女性はそのままバスに乗り込もうとする。そして精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)が映し出される。彼女は帰宅中、そのバスに乗ろうとしていたが乗りそこなう。走り出したバスが突如爆発する。
都内近郊で無差別連続爆破事件が頻発していた。そこで亡くなったのは一連の事件を報道するレポーターなどで、舌を切られたのは次の爆破事件を占っていた「祈祷師」だ。このバスも彼女に装備された「人間爆弾」が爆発したのだ。
刑事・茶屋(江口洋介)は遺留品からタングステンの爆弾破片を見つける。販売先を割り出し、犯人のアジトを見つけ出す。古ぼけた工場だ。相棒と踏み込むと同時にアジトは爆発し犯人は逃走。代わりに傷を負って現場にいた男(生田斗真)を逮捕する。
男は「鈴木一郎」と名乗るが、肝心な事は何も話さない。一切身元不明だ。一郎の精神鑑定を担当した真梨子は、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と感じた。
彼女は一郎の過去を調べ始めると、その昔無感情な子供に関する考察を書いた精神科医の論文をみつける。その医師(石橋蓮司)に会いに行った。医師によれば、一郎の本名は入陶大威(=いりすたけきみ)。幼い頃に轢き逃げ事故で両親を亡くした彼は、大富豪の祖父・入陶倫行(夏八木勲)に引き取られる。入陶大威はとてつもない頭脳をもっていた。膨大なピースがある難解なパズルもあっという間に完成させるし、一度読んだものはすぐに頭に入り理解するのだ。
祖父は英才教育をした。同時に祖父は息子夫婦を失った怒りから、頭脳明晰の孫に殺人を教える。孫は犯罪者を抹殺する殺人ロボットに鍛え上げられたのだ。そんな彼は「脳男」と呼ばれるようになった。茶屋は犯人を殺そうとしたのではと思いだす。
そんな中、一郎を移送していた護送車が、緑川紀子(二階堂ふみ)と水沢ゆりあ(太田莉菜)の2人組に襲われるが。。。
爆弾が次から次へと爆破される場面が出てくる。今の日本映画では多いほうだ。リアルな場面も多いが、一部はCGでないとできない場面もあるだろう。正義が勝つといった正統派の展開ではない。普通であれば何の被害もないと思われる人物も死んでいく。なかなかグロテスクである。その異常性を増長するのが生田斗真演じる主人公一郎と二階堂ふみ演じる緑川紀子だ。
生田斗真が演じた「人間失格」はよくできていると思っていた。今回はあの時以上に役に没頭する。不死身な殺人兵器のような役だ。しかもクールで感情がない。漫画「ゴルゴ31」の初期の作品に「芹沢家殺人事件」というのがある。ゴルゴ31のルーツをたどるものだ。あのストーリーを連想した。あの子供も親族を殺して無表情だった。ベラベラしゃべらないだけに、表情が重要となる。実にうまかった。
それ以上に凄いのが二階堂ふみ だ。「ヒミズ」のときに主人公に憧れる少女を演じた。あのパフォーマンスにも驚いたが、今回は仰天した。眉毛をそって登場だ。生田と対照的な殺人鬼だ。彼女も頭脳明晰の設定で爆弾をシコシコつくり、警察無線を傍受して相手側の行動を事前に読む。
最後に向けてのクライマックスでは完全にその他の俳優を圧倒していた。松雪泰子が鏡の前にいる時に突如現れ「そんなに鏡見なくても十分きれいよ」なんて言いながら拉致する場面が印象的だ。
彼女はまだ18歳、出演オーダーは続くであろうし、末長い活躍が期待される。
今回は松雪と江口はセリフが多いけど普通、でもサブにまわったから仕方ないだろう。二階堂と組んだ太田莉菜は殺人鬼らしい狂気の表情を出していた。「ヒミズ」の染谷将大がでていた。あの時ほど重要な役ではないが、最後に向けて思わぬ絡み方をしていた。
エンディングロールにキングキリムゾンのデビューアルバム「クリムゾンキングの宮殿」からスタートの曲が流れていた。学生のころレコードがすり減るくらい聴いていたアルバムだ。テーマ曲や「エピタフ」などメロディアスな曲の方が好きだった。「21世紀のスキッツォイド・マン」はむしろ気色悪いと思っていた。でもこの映画のこのムードには恐ろしいくらいぴったりした曲だ。
主役2人のパフォーマンスにひたすら圧倒された映画でした。
これは見てよかった。
(参考作品)
「ヒミズ」で衝撃的な印象を残した二階堂ふみの存在感が高いという噂を聞いていってきました。確かに彼女のパフォーマンスに他の出演者はみんな圧倒されている感じだ。クールな脳男生田斗真も悪くはないけど、二階堂ふみ に脱帽です。
いきなり映像で一人の女性が舌を切られる残忍な場面がでてくる。
その女性はそのままバスに乗り込もうとする。そして精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)が映し出される。彼女は帰宅中、そのバスに乗ろうとしていたが乗りそこなう。走り出したバスが突如爆発する。
都内近郊で無差別連続爆破事件が頻発していた。そこで亡くなったのは一連の事件を報道するレポーターなどで、舌を切られたのは次の爆破事件を占っていた「祈祷師」だ。このバスも彼女に装備された「人間爆弾」が爆発したのだ。
刑事・茶屋(江口洋介)は遺留品からタングステンの爆弾破片を見つける。販売先を割り出し、犯人のアジトを見つけ出す。古ぼけた工場だ。相棒と踏み込むと同時にアジトは爆発し犯人は逃走。代わりに傷を負って現場にいた男(生田斗真)を逮捕する。
男は「鈴木一郎」と名乗るが、肝心な事は何も話さない。一切身元不明だ。一郎の精神鑑定を担当した真梨子は、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と感じた。
彼女は一郎の過去を調べ始めると、その昔無感情な子供に関する考察を書いた精神科医の論文をみつける。その医師(石橋蓮司)に会いに行った。医師によれば、一郎の本名は入陶大威(=いりすたけきみ)。幼い頃に轢き逃げ事故で両親を亡くした彼は、大富豪の祖父・入陶倫行(夏八木勲)に引き取られる。入陶大威はとてつもない頭脳をもっていた。膨大なピースがある難解なパズルもあっという間に完成させるし、一度読んだものはすぐに頭に入り理解するのだ。
祖父は英才教育をした。同時に祖父は息子夫婦を失った怒りから、頭脳明晰の孫に殺人を教える。孫は犯罪者を抹殺する殺人ロボットに鍛え上げられたのだ。そんな彼は「脳男」と呼ばれるようになった。茶屋は犯人を殺そうとしたのではと思いだす。
そんな中、一郎を移送していた護送車が、緑川紀子(二階堂ふみ)と水沢ゆりあ(太田莉菜)の2人組に襲われるが。。。
爆弾が次から次へと爆破される場面が出てくる。今の日本映画では多いほうだ。リアルな場面も多いが、一部はCGでないとできない場面もあるだろう。正義が勝つといった正統派の展開ではない。普通であれば何の被害もないと思われる人物も死んでいく。なかなかグロテスクである。その異常性を増長するのが生田斗真演じる主人公一郎と二階堂ふみ演じる緑川紀子だ。
生田斗真が演じた「人間失格」はよくできていると思っていた。今回はあの時以上に役に没頭する。不死身な殺人兵器のような役だ。しかもクールで感情がない。漫画「ゴルゴ31」の初期の作品に「芹沢家殺人事件」というのがある。ゴルゴ31のルーツをたどるものだ。あのストーリーを連想した。あの子供も親族を殺して無表情だった。ベラベラしゃべらないだけに、表情が重要となる。実にうまかった。
それ以上に凄いのが二階堂ふみ だ。「ヒミズ」のときに主人公に憧れる少女を演じた。あのパフォーマンスにも驚いたが、今回は仰天した。眉毛をそって登場だ。生田と対照的な殺人鬼だ。彼女も頭脳明晰の設定で爆弾をシコシコつくり、警察無線を傍受して相手側の行動を事前に読む。
最後に向けてのクライマックスでは完全にその他の俳優を圧倒していた。松雪泰子が鏡の前にいる時に突如現れ「そんなに鏡見なくても十分きれいよ」なんて言いながら拉致する場面が印象的だ。
彼女はまだ18歳、出演オーダーは続くであろうし、末長い活躍が期待される。
今回は松雪と江口はセリフが多いけど普通、でもサブにまわったから仕方ないだろう。二階堂と組んだ太田莉菜は殺人鬼らしい狂気の表情を出していた。「ヒミズ」の染谷将大がでていた。あの時ほど重要な役ではないが、最後に向けて思わぬ絡み方をしていた。
エンディングロールにキングキリムゾンのデビューアルバム「クリムゾンキングの宮殿」からスタートの曲が流れていた。学生のころレコードがすり減るくらい聴いていたアルバムだ。テーマ曲や「エピタフ」などメロディアスな曲の方が好きだった。「21世紀のスキッツォイド・マン」はむしろ気色悪いと思っていた。でもこの映画のこのムードには恐ろしいくらいぴったりした曲だ。
主役2人のパフォーマンスにひたすら圧倒された映画でした。
これは見てよかった。
(参考作品)
脳男 | |
眉毛をそった二階堂ふみの狂気の演技 | |
ヒミズ | |
二階堂ふみの女子高校生が強烈 | |
クリムゾン・キングの宮殿 | |
ビートルズのアビーロードを圧倒した世紀の名作 | |