映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

孤高のメス 堤真一

2011-03-07 20:20:08 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
映画「孤高のメス」はベストセラー小説を映画化した医療系作品である。現代医療の抱える様々な問題に警鐘をならす社会派ドラマだ。本格的手術シーンは堂に入っている。体内臓器を映す美術のレベルが高い。主人公は米国留学までしている医療にかけては凄腕の持ち主なのに何の野心もない。田舎の病院で、ろくな手術も受けられない患者のために、黙々とメスを振るうブラックジャックだ。



看護師だった急死した母こと夏川結衣の葬式を終えた新米医師の息子は、整理していた母の遺品から一冊の古い日記帳を見つける。
1989年。夏川結衣が勤める海辺の田舎の市民病院は、軽い外科手術すらまともにできない地方病院だった。そこに、ピッツバーグで肝臓移植も手掛けた主人公こと堤真一が赴任した。医師をまわしてくれる地元医大に配慮して、堤へのポストに戸惑う病院幹部だった。着任早々盲腸ということで運ばれた急患は腹を開くとがんであった。その緊急オペに、堤は正確なメスさばきで対応する。あやうく命を取り留めた。それを見た市長こと柄本明と病院側は医師としての腕前に驚き、地元医大出身の医長に配慮しながら、堤を第二外科医長とする。第一外科医長こと生瀬勝久らは強く反発、いやがらせをする。

手術室担当のナースとして堤に接していた夏川は、ブラックジャックばりの堤の仕事ぶりに感動、仕事に対するやる気を取り戻した。ある日、第一外科で、一年前のオペが原因で患者が亡くなる事態が発生。デタラメなオペをしながらそれを隠蔽、責任を回避する第一外科医長と対立して若き医師が病院を去る。
そんな中、市長が末期の肝硬変で病院に搬送される。市長を助ける方法は生体肝移植しかない。だが、成人から成人への生体肝移植は困難を極めるものだった。堤も大学病院でないと無理だという。堤が市長の家族に対して移植のリスクを説明する。その時、夏川の隣家に暮らす小学校教師こと余貴美子の息子が交通事故で搬送されてくる。脳挫傷で脳死と診断された息子の臓器提供を子供の思いと母親余は強く訴える。堤医師は日本ではまだ認められていない脳死肝移植を市長に施すことを決断するが。。。。



マスコミの攻撃、殺人罪で逮捕されるかもしれない・・・色々なことが予想されるのに、堤医師は黙々とメスを握る。いつもながら堤真一は冴えている。「三丁目の夕日」の下町の大将的役柄から、「容疑者Xの献身」の天才数学者役、「刑法39条」発狂の狂言を演じる男の役までなんでもできる。ここでも無心に患者の病気に挑む医師を好演した。

映画を見ていてあきの来ない流れであったが、先が読めてしまう気がした。そこが物足りないかな。
脇役に隆大介の刑事などまさにドンピッシャリの配役を持ってきたからには、脳死時点の執刀に公安が突っ込む場面がもう少しあったほうがおもしろかったかもしれない。

コメント (2)
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