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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ベイビーブローカー」ソンガンホ&IU&是枝裕和

2022-06-28 17:45:19 | 韓国映画(2020年以降)
映画「ベイビーブローカー」を映画館で観てきました。


「ベイビーブローカー」は是枝裕和監督が韓国でメガホンをとった新作である。カンヌ映画祭ではパラサイトで大活躍した人気者ソンガンホ主演男優賞を受賞していて、韓国映画の主演級が脇を固めている。是枝裕和監督作品はほとんど観ているし、好きな方だ。捨てられた乳幼児の人身売買が題材ということは分かっていたが、先入観なく期待感をもって映画館に向かう。

ある若い女性(IU:イ・ジウン)が赤ちゃんを教会にある安置ボックスの前に置いていく。その姿を張っている女性刑事(ぺ・ドゥナ)がパトカーから眺めている。その後、教会で働くドンス(カン・ドンウォン)とコンビを組むクリーニング屋を営むソンヒョン(ソン・ガンホ)の2人が赤ちゃんをひそかに連れ去る。子どもを必要とする親と売買取引をするためだ。

ところが、預けた女ソヨンが気が変わって教会に戻って引き取ろうとするが、見当たらない。それを見たドンスはややこしくなると感じて、ソヨンに事情を話して、一緒に良い引き取り手を探すことになる。それを現行犯逮捕を狙う刑事コンビが追跡するという話である。


確かにおもしろい。
伏線をばらまいて、途中で回収するセオリーに従っているにもかかわらず、ストーリーの最終場面の落ち着きどころは読みづらい。ただ、ものすごく期待していたことからすると、両手をあげてすばらしいというほどではない。5点はつけられず、4点プラスアルファのレベルだなあ。是枝裕和監督無難にまとめた感が強く、韓国クライムサスペンス特有の緊張感が少ない。刺激あふれるシーンや超絶ハプニングがない。自分にはそんな感じがする。ただ、その中でもIU(イジウン)は絶賛したい。


⒈IU(イジウン)
IUが韓国の若手アイドルスターであることをシリーズマイディアミスターをつい先日見て初めて知った。このドラマで大筋に大きくかかわる貧困育ちの派遣社員を演じた。これがまた実に上手かった。この映画では、いったん産んだ赤ちゃんを捨てた後に舞い戻り、ブローカーと引き取り手を一緒に探す旅に出る母親の役柄だ。IUのメイクは少し濃い目でいかにも日本の身近なオフィスにいそうなマイディアミスター」とイメージが違う。

天才的応酬話法を見せつけたマイディアミスター同様、ここでもトークが冴え渡る。乳幼児の買い手が値切ったり、分割払いにしようとした時に、相手に突っかかる勢いあるセリフに迫力を感じる。いかにも母親がもつ母性を感じさせるシーンも用意されている。ネタバレなので言わないが、2つの作品の役柄に1つ共通点がある。エグい話だ。今後もこういったサスペンス系での映画出演に期待する。


⒉ソンガンホ
この映画の登場人物はウソばかり話すインチキの塊のような連中ばかりだ。例えば、施設で育っていると兵役が免除されるとか、え!そうなの?というセリフが充満している。軍隊に行ったというが、実はその時は刑務所に入っているからとからかわれる。育ちが良いかどうかとウソをつかないかはあまり関係ないかもしれない。それでも虚構に生きるブローカーたちの育ちの悪さが各場面で強調される。

ソンガンホはカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞したけど、これまでのすばらしいキャリアからすると、びっくりするような立ち回りを見せるわけではない。むしろ相棒のカンドンウォンの方がいい味を出している気がする。脚本でソンガンホの存在感を強調するような展開でもないので、格の違いに功労賞といったパターンかな。


⒊ぺドゥナ
是枝裕和監督とは以前空気人形でコンビを組んでいる。この女性刑事というのもおもしろい存在だ。警察がそれなりに活躍しないとサスペンスはひきしまらない。子どもを教会に置いていく時点から、ずっとベイビーブローカーになるであろう男たちと、産みの親をマークする。まさに張り込みで、家には帰らないで、コンビの女刑事と現行犯逮捕するまで粘ろうとずっとにらみを効かせている。でも、ずっと張り込んでシャワーも浴びていないようだ。本当にこんなことできるかしら?とも思ってしまうが、まあいいか。

ぺドゥナ刑事おとり捜査で、高い金を出して子どもを引き取る夫婦に演技をさせたり、やりたい放題だ。でも、単純な罠に引っかからないのが、ソンガンホのブローカーたちだ。悪知恵が働くやつは、自分が悪事を働いているので、相手の悪さも見抜く。この掛け合いの知恵くらべは最終の結末を読みづらくする面でおもしろい。


ただ、1つ疑問なのは実の母親がいて、金銭で相手先の親に売却するってダメなことなのかしら?映画朝が来るも似たような気がするけど。これって人身売買というのと違う気もする。境目はブローカーの介在ということ?捨てられた子どもを売却するのはだめっていうことなんだろうなあ。
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「マイ・ディア・ミスター(私のおじさん)」イ・ソンギュン&IU

2022-06-18 17:18:16 | 韓国映画(2020年以降)
「マイ・ディア・ミスター(私のおじさん)」は2018年の韓国ドラマ


仕事で関係する女性税理士と雑談しているとき、映画好きの自分に韓国ドラマ「マイディアミスター」を勧めてきた。Netflixに人気韓国ドラマはたくさんあるけど、「イカゲーム」しか見ていない。題名をNetflixに見つけたので、見てみるかとピックアップする。

主役はアカデミー賞作品パラサイトで豪邸の主人役だったイ・ソンギュンである。全16話だし、一回あたりが1時間20分近くある。映画一本観るのとあまり変わらない。これは全部見るの無理かな?それでも、見始めるとおもしろいイ・ソンギュンの部下役の影のある派遣社員がいい味出していて、気がつくと毎日少しづつ見続けて16話終了した。

大手の構造設計の会社サムアンE&C で部長をしているパク部長(イ・ソンギュン)の元に、5000万ウォンの商品券が送られてきた。処置に困って机に入れたが、翌朝見当たらない。最終的に見つかるが、その紛失にはパク部長の部下のイ・ジアン(IU)が関わっていた。しかも、この商品券送付には社内の派閥争いによる足の引っ張り合いが関わっているようだ。社内の派閥と出世競争、不倫、貧困、借金取り立て、映画制作の暗闇など全16話20時間を超えるストーリーには題材は数多い。

⒈イソンギュン
構造設計のエンジニアで既存建物の安全性を確認する部門の部長だ。妻は弁護士事務所を主宰している。妻も現社長のトも同じ大学のサークルで一緒だった。家庭を顧みないパク部長に不満がたまっている時に、妻が現社長とくっついてしまう。不倫である。妻がこんなことになっているとは知らない。後輩の社長から見るとパク部長は目ざわりだ。社長やその茶坊主の役員を中心に攻撃を受ける。

パク部長は三人兄弟の次男である。兄は無職で妻に愛想尽かされている、弟は期待された映画監督だったが結局挫折して、実家に母親と2人住んでいる。ドロドロとしたストーリーと合わせて、掃除屋をはじめた2人兄弟にもスポットをあてる。軽いコメディ仕立てにもしているし、下町の人情モノのような肌合いもある。


宮部みゆき原作火車を韓国で映画化した作品、刑事役で出演したクライムサスペンス映画最後まで行くイソンギュンは知っていた。特に「最後まで行く」はドキドキもので韓国クライムサスペンスでオススメ作品だ。その後パラサイトで再び再会しておりなじみ深い。IUに裏があるけど、イソンギュンの役には裏がない。善人というのが似合うキャラなのかも?

⒉IU(イジウン)
パク部長の部に派遣社員で来た女の子イジアンを演じる。両親はいない。話ができない祖母を引き取っている。母が浪費でつくった借金が多額で、闇金融の男から取り立てにあっている。容赦なく、暴力も振るわれている。このあたりの暴力表現はきつい。パク部長が受けとった5000万ウォンの商品券を持ち去り、返済に充てようとしたがやめる。何で商品券が送り付けられたのか会社が大騒ぎだ。

他人と交わるのが苦手な孤独な派遣社員である。当初から地味だけど味のある演技をするなあと感心する。上司であるパク部長だけでなく、パク部長を追い出そうとする社長にも接触して、金銭報酬を得て盗聴もする。不幸なもとに育ったから、人生の荒波にさらされている設定だ。


ここでの見どころの一つに、IUの応酬話法のすごさがある。このドラマを通じて、社内の同僚上司や借金取りからひどいことを言われる場面が多い。どんな時でも、へこたれずに言い返すセリフがお見事で良くもまあ適切な言葉を選んでいる。脚本書いた人は悪知恵がはたらく。このドラマでの演技はかなり評価されるべきだと思う。

実は何も知らなかったけど、韓国でIUというのは10代の頃からとんでもない大スターなんだね。来週公開のソン・ガンホがカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した「ベイビーブローカー」にもIUは出ている。楽しみだ。

⒊緊迫感と予告編
社内の派閥と出世争いと不倫がキーになる。人間関係がドロドロしていて、暴力が振るわれる場面も尽きない。韓国クライムサスペンス風に緊迫感がでて思わず息を呑む場面も多い。画面分割の手法を多用する。それぞれの当事者がどう動いているのかを画面を分割して、同時に映すこの手法は緊迫感を高める。貧困と借金取りの物語はこれまで随分と韓国映画で見てきたけど、苦しめられているのが、華奢なIUなんで何故か気になり飽きないのかもしれない。


それぞれの回ごとに、次回の予告編で肝になる場面が出てくる。実際に次の回に出てくる場面なんだけど、ドキドキしてしまうシーンが多い。ストーリーの先行きが気になる。TVシリーズの楽しみなんだろう。でも、TVシリーズはずいぶんと時間とるなあ。さすがに疲れた。

ずっと見ていると、劇中の挿入歌のメロディが仕事をしていても耳について離れないし、舞台になるオフィスの構造まで目に焼き付く。そんなものかな?これを見たことで義理も果たせたんでシリーズものはもう当分やめよう。

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映画「狼たちの墓標」

2022-06-11 06:10:36 | 韓国映画(2020年以降)
映画「狼たちの墓標」を映画館で観てきました。


映画「狼たちの墓標」は韓国映画だ。日本のクライム系を2本連続で観て、クライムサスペンスの宝庫である韓国系が気になり新宿に向かう。出演者に馴染みはないが、新興勢力が利権を得ている町の組織に立ち向かうという設定がおもしろそうだ。観てみると、クライムサスペンスではなく純粋なヤクザ映画だ。昭和40年代の東映のヤクザ映画を現代韓国風に少し洗練させて撮ったというような作品である。

平昌オリンピック直前の韓国のリゾート地で、開発の利権をめぐって地元を仕切っていて警察とも繋がっている組織に、圧倒的武力で対抗する新興勢力が話し合いよりも暴力で解決して勢力を拡大しようとする話だ。

いきなり漂流船で死体を食い切って生き延びている男を見せつける。どんな意味かと思うけど、その男の残虐さを物語るつもりなんだろう。そして、しばらく経った後で、見た感じは優男に変貌しながらも、やることが義侠の世界を逸脱した新興勢力の親分を映画に放つ。

⒈冷徹で強い主人公
悪役は理屈のない暴力的で残虐な男の方が映える。ここではいかにもヤクザらしい面構えをした男でなく、普通にどこにでもいそうな若者風だ。スーツに刃物を忍ばせていつでも攻撃できるようにして、容赦なく相手に襲いかかる。圧倒的に喧嘩は強く、卓越した格闘能力を持っている。利権を得ようと話し合いしてもムリだとわかっている。お願いが受け入れられないと、ちょっとした隙に相手の親分を殺す。近くにいる取り巻きも皆殺してしまう。

そして、警察に出頭するのは本人ではない。もともと金融の仕事をしていて、多額の借金をしている男を身代わりに警察に出頭させる。


⒉地元の既存勢力
もともと地元を仕切っている組織自体も、内部の争いが絶えない。同じ組織の若者の結婚式に邪魔する場面がでてくる。それを会長と言われる老御大が抑えている。警察にも近い。ナアナアで悪さをしてきたのだ。よくある話だ。しかし、新興勢力の頭はそんな既存のしがらみを打ち消すように武力で持って皆殺しだ。会長にも手を伸ばす。この異常とも言うべき凶暴さがこの映画の見どころだ。


これでもかと攻めている新興勢力の頭の暴走と既存勢力の争いを見せる。それなりにはおもしろいが、既視感はある。韓国映画で時折あるパターンだけど、銃が出てこない。敵も味方も刃物である。戦前の任侠道を描いた映画で刃物を振り回して立ち回るのと同じだ。これは何か意味があるのであろう。

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映画「ひかり探して」キム・ヘス

2022-02-08 20:33:30 | 韓国映画(2020年以降)
映画「ひかり探して」を映画館で観てきました。


ひかり探しては最近活躍が目立つ韓国女流監督によるサスペンス映画である。「コインロッカーの女」や「国家が破綻する日」で主役を張った女優のキム・ヘスが主役の刑事を演じ、アカデミー賞作品「パラダイス」のお手伝い役で強い印象を残したイ・ジョンウンが重要な目撃者として共演する。女性監督パク・チワンが脚本を書き、メガホンを自ら持つ。韓国の映画賞で脚本賞を受賞したということで期待する。

遺体が発見されない自殺した女性の消息を確認している女性刑事が、その女性の境遇が自分と似ていることに気づき深くのめり込んでいくという話である。

残念ながら結果的にイマイチであった。

俳優の演技のレベルが高いのに評価が低いのは、映画を観ていてさっぱり意味がわからないのだ。説明がくどいのも問題があるのだが、こちらがわかっていると推測して多重に人と人の関係をつくってしまう。セリフが飛び交っているが、意味不明なのだ。困ったものだ。主だった登場人物が女性で、男性が敵のように扱われているのもちょっとどうかと思う。韓国の女性監督が近年傑作を作ってきたけど、これはちょっと。

しかも、結末はこうなるだろうと予測させ、結局本当にその通りになるのはミステリーとしてお粗末という印象を受ける。


台風が吹き荒れるある日の夜、遺書を残し離島の絶壁から身を投げた少女。休職を経て復帰した刑事ヒョンス(キム・ヘス)は、少女の失踪を自殺として事務処理するため島に向かう。少女の保護を担当した元刑事、連絡が途絶えた少女の家族、少女を最後に目撃した聾唖の女(イ・ジョンウン)、彼らを通じて少女がとある犯罪事件の重要参考人だった事実を知ったヒョンスは、たった一人孤独で苦悩していた少女の在りし日に胸を痛める。

捜査を進めていくにつれ、自身の境遇と似ている少女の人生に感情移入するようになり、上司の制止を振り切って、彼女は次第に捜査に深入りして行く…。(作品情報 引用)


ここのところ観に行った3作連続で言葉の話せない出演者がいる。偶然だ。前2作は傑作だったんだけどなあ。主演のキムヘスは前から思っているけど、余貴美子に似ている。普通の刑事だというわけでなく、休養して復活した女性で、夫とは離婚訴訟寸前のトラブルが続いている。お互いに罵り合っている。性格が悪いわけではないが、自分の理解度も低いのか話している内容がよくわからない。まあこういうこともあるだろう。残念

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映画「声もなく」ユ・アイン&ホン・ウィジョン

2022-01-28 20:01:08 | 韓国映画(2020年以降)
映画「声もなく」を映画館で観てきました。


パラサイトを生んだ韓国発の傑作で、新人女性監督にしては実によくまとめた。こんな映画は見たことないと思わせる必見の作品だ。

韓国得意の下層社会を描いたどぎついクライムサスペンス物かと思うとちょっと違う。いきなり首に刺青をしたヤクザが出てきて、いつものようにえげつない暴力が噴出するのかと思うとそうでもない。パラサイト」が持つコメデイタッチの要素を残しながら、少女を取り扱うやさしさが映画の中に浸透している。

裏社会の下請けで死体処理をやっている2人の男が、組織から誘拐された少女を預かることになる。口が利けない片割れが自分のオンボロのアジトに連れ込み幼い妹と3人で暮らすことになるにつれ情も移っていくという話だ。主演の丸坊主頭の男はどこかで見たことあると既視感があってもバーニングユ・アインと気づくのに時間がかかった。何せ言葉が話せないだけに演技としては逆に難しいだろう。ラグビーの笑わない男稲垣に似たユ・ジェミョンの動きが笑える。


先日見た「さがす」はよくできていたが、「声もなく」は数段上だ。

足の悪い中年男チャンボク(ユ・ジェミョン)と口が利けない丸坊主のテイン(ユ・アイン)は2人で下町の市場で卵を売りながら、裏社会組織の下請けで死体処理の仕事をしている。組織の命令で今度の対象を引っ張り出そうと向かうと1人の少女だった。組織が身代金目的で誘拐してきた11歳のチョヒ(ムン・スンア)だとわかるが、少女を引っ張ってきた組織の親玉が逆にリンチされ、どうして良いのか分からずテインが預かることになる。結局身代金の支払い交渉がうまくいっていないのだ。

広々と続く畑の片隅にあるオンボロのテインの家に引っ張り、野生のような妹と一緒に暮らすようになる。最初はオドオドしていたが、妹をかわいがろうとする。その後、チャンボクが身代金の授受に関わったり、テインが里子取引の施設に連れ出そうとするのであるが。。。


映画を観ながら、どのようにこの映画を落ち着かせるのか想像がつかなかった。謎を解くという訳でないけど、シナリオの行方が読みづらい映画だった。それだけにおもしろい。


⒈善悪の混合
こんな映画は観たことないなあと感じていたが、昨年観たイーサンホーク主演のストックホルムケースを連想する。犯罪の被害者が犯人に心理的につながりをもつというのを「ストックホルム症候群」というそうだ。銀行強盗と人質の関係だが、今度は誘拐犯から押し付けられた男と人質の女の子の関係である。ジャンレノとナタリーポートマン「レオン」の要素もある。

ただ、この男テインは根っからの悪ではない。食い扶持がなくてやむなくやっている死体処理が本職である社会の底辺にいる障がい者だ。本質的に気持ちはやさしい。そういう男の本性を見抜いてか、誘拐された女の子も男寄りの立場になってしまうのだ。しかも、この子は賢い。野生のように学校も行かず育っているテインの妹を手なずけ、洗濯を教えたり、部屋の片付けも教える。世話好きな女房を思わせる振る舞いムン・スンアが巧みに演じる。


2人の関係もあっちにいったりこっちに来たりと揺れる時折り心境の変化をみせる。それなので、映画の先が見えない。善悪の境目を彷徨う。そんな感じでも嫌な部分が見あたらない。

⒉面白みのある登場人物
いきなり先日観たばかりの「ただ悪より救いたまえ」ばりの韓国ヤクザが出てきて、同じような末梢神経を刺激するシーンが続くかと思った。でも、違う。まずは、裏社会の下請けである主人公とその相棒の動きが気になる。依頼されて、ヤクザに惨殺された死体処理のためにカッパや手袋やシャワーキャップを身につける。ただ、処理がスマートにできるわけでない。どこか臆病な感じで、やることなす事不器用だ。


韓国は以前映画冬の小鳥などでも出てきた里子の売買が日本より盛んなようだ。いったん誘拐された女の子も売られそうになる。その人身売買の組織の人たちもなんか抜けている。それに加えて、女の子に絡む酔った警官や警官の部下の婦人警官など、いずれの動きもコミカルにしている。

そういう人物の楽しさが暗い一辺倒の話に面白さを生む。そして、バックには茜色した夕陽が包む広大な畑がある。決して道徳的でない話だが、後味が悪いわけではない。1982年生まれの女性監督ホン・ウィジョンの将来に期待できる。
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映画「ただ悪より救いたまえ」

2021-12-30 08:04:41 | 韓国映画(2020年以降)
映画「ただ悪より救いたまえ」を映画館で観てきました。


「ただ悪より救いたまえ」は韓国映画得意のクライムアクション映画である。レベルの高い韓国クライムものでも2014年の新しき世界は自分の中で上位に入る傑作である。その映画で主演だったファン・ジョンミンとイ・ジョンジェが再度組むというだけでワクワクする。加えて、これも韓国クライムものではピカイチの「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャンがメガホンを持つということなら必見ということで映画館に向かう。

引退寸前の殺し屋が最後の仕事を終えたときに、バンコクにいる元恋人の娘が臓器売買の組織に誘拐されたと聞き、救出に向かうという話だ。ただ、最後の仕事で始末した男の弟分が復讐でバンコクに向かっているので、容易にはいかない。常に危機一髪のシーンが続く。

東京でのロケもあるが、タイロケのウェイトが高い。灼熱のバンコクということを示すためにフィルムの色合いもかえる。猥雑なバンコクの商店が立ち並ぶ狭い道で、縦横無尽に追跡するシーンはスリリングで楽しめるが、激しすぎて我が末梢神経を刺激しすぎる。ちょっときついかな。題材には子どもの臓器売買というきわどい題材も含み、いかにも裏社会経済が蔓延する東南アジアぽい映画の匂いがつよい。

「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャン監督作品ということで、意外性のあるストーリーを予測したが、それはさほどでもなかった。でも主役2人には安定感がある。それなりにおもしろい。


東京でのミッションを最後に、引退するはずだった殺し屋のインナム(ファン・ジョンミン)は静かにパナマで余生を暮らすはずだった。ところがかつての恋人がバンコクで殺害され、別れた後に生まれたインナムとの9歳の娘ユミンが行方不明だと知らされる。

インナムはバンコクに飛び、娘の居所を突き止めようと聞き込みをして関わった者を次々と拷問にかけ真相を確かめると、臓器売買組織にさらわれたことがわかる。バンコクの協力者からトランスジェンダーのユイ(パク・ジョンミン)をガイド役にあてがわれ、組織のアジトに乗り込む。そして、インナムに兄を殺された裏社会でも狂犬と恐れられる殺し屋レイ(イ・ジョンジェ)も、復讐のためにバンコクに降り立ち、兄を殺したインナムの行方を血眼になって探していたのであるが。。。


⒈圧倒的なアクション
韓国映画のクライムアクションはレベルが高いので、外国資本の資金も流入しているようだ。日本とタイでのロケでクルマをたくさんド派手につぶしっぱなしだ。金かかっているんだろうと思う。スタントマンも階段で投げられたりして、こりゃ痛いだろうなあ。爆弾でいろんなものも破壊される。

主人公インナムの殺しの腕は抜群だ。いきなり日本で殺しの腕前を見せるわけだ。でも、今回はイ・ジョンジェ演じる殺し屋の方が気味が悪いし、圧倒的な強さと人の心がなそうな冷徹ぶりに怖さを見せつける。首にある入れ墨もちょっと違う。そんな2人が比較的早めに対峙する場面がでてくる。アレ、どうなってしまうのかと思ったが、最後まで結果はお預けになっていく。


⒉ロケ地のリアリティ
街のリアリティがないと、そこで動く人物のリアリティが出ない。日本ロケはともかく、猥雑なバンコクロケでは雑多に立ち並ぶ市場のど真ん中で、立ち回りやカーアクションが続く。その度に屋台のように路上に出している商店がぐちゃぐちゃだ。見ている方が大丈夫かいと思ってしまう。夜のネオン輝くバンコクのシーンもエキゾティックな肌合いをだしている。

⒊ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェ
ファン・ジョンミン出演作品は気がつくと近年ほとんど観ている。相性がいいのかもしれない。新しき世界でのヤクザの親分もずいぶん気性が激しい役だったけど、アシュラでの汚職市長がハチャメチャで強烈だ。いまだシャーマンの世界にとらわれていると言われる韓国社会を象徴するようなコクソン」の祈祷師ぶりも脳裏に残る。中国で北朝鮮高官に近づく商人を装うスパイを演じた前作も悪くない。ここでは、抑えをきかせながら圧倒的な格闘能力をもつ殺し屋だけど、「悪人にも心」を強調するシーンも用意されている。題名はそこから出ているのであろう。


新しき世界ではイ・ジョンジェは黒社会に裏から潜入する警官を演じた。表面的にはヤクザの顔をしながら、裏で苦悩するナイーブな役柄だった。今回の怖いくらいの凶暴な役柄はこれまでのキャリアからするとめずらしい。自分にとっては、もう20年以上前になってしまったがラブストーリーの名作「イルマーレ」がいちばん印象に残る。ハウスメイドで家政婦に手をつけるご主人役も役になり切る。今はNetflixドラマ「イカゲーム」で主役のようだ。これをきっかけに見てみたい。


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映画「ファイター、北の挑戦者」 イムソンミ

2021-11-16 10:57:34 | 韓国映画(2020年以降)
映画「ファイター、北の挑戦者」を映画館で観てきました。


「ファイター、北からの挑戦者」北朝鮮からの女性脱北者がボクサーになって這い上がろうとする話である。ボクシングと映画の相性はいい。個人的には成り上がりのボクサーの映画が好きである。育ちが良くなく不遇な人生を送っていた主人公がボクシングに活路を見出だし這い上がっていく。そんなストーリーが多い。ただ、ここでは若干展開が違う。

ストーリーも単純には行かず、演じる俳優もいい感じで、なかなかよくできている映画である。すごくよかった。これも自分にあっている映画だ。

女性ボクサー映画といえば、ヒラリースワンク主演のアカデミー賞映画「ミリオンダラーベイビー」安藤さくら「百円の恋」という傑作がある。ドツボからボクシングで腕を磨き這いあがっていく高揚感とその後のエレジー的展開はこの2人の好演と合わせて心に残る。「ファイター」はこの2作に接近する要素を持つ傑作と言える。

ソウルの片隅、脱北者の女性リ・ジナ(イムソンミ)が、入国後支援センターでの生活したあと、小さなアパートに入居する。公的な援助はあれど、生活のためにジナは知り合いの紹介で食堂で働き出す。父は中国にまだ残っている出国できない。呼び寄せるためにはカネがいる。でも、水商売はいやだ。ボクシングジムの清掃の仕事を掛け持ちですることになった。

ボクシングジムでは館長とトレーナーのテスが2人で切り盛りしていて、女性も数名ジムで練習していた。スパーリングを興味深げに見ていたジナにテスが声をかけるが、自分はやらないと言う。それでも、早朝にサンドバックを叩いているジナをジムに泊まっていた館長が見つけると同時に素質を見出す。ジナは北朝鮮では軍に入って格闘の訓練を受けていたのだ。いくつもの事件が起きカネを稼がねばならない状況となってきて次第にトレーニングに身が入るようになるのであるが。。。


⒈脱北者の主人公と心の闇
素朴な風貌だ。韓国風派手な化粧はなく、美人ではない。会社の同僚にでもいそうな感じである。働き者で、食堂やボクシングジムで黙々と仕事をする。ただ、周囲にも、積極的に接してくる韓国男性にも心を閉ざしている。

ここでは具体的に触れていないが、やっとの思いで父と脱北したのであろう。中国に行ってから、韓国に入国している。最初に携帯電話で父親と話しているシーンを見て、え!北朝鮮と電話できるの?と思ったが、父親は中国にいるようだ。でも、中国への密入国がわかって父親は収監されてしまう。しかも出るにはお金がいる。


北朝鮮では軍に所属したこともあるらしい。格闘能力の素質がある。いくつかの暴力沙汰のトラブルを起こしてしまう。

⒉予想を覆すストーリー
寒々としたアパートの一室には何もない。トレーラーハウスで暮らす家庭で育ったヒラリースワンクと怠惰な人生を送っていた安藤さくらと同様に下層社会からのスタートであることには変わりない。2人がボクシングに生きがいを見出し、グイッと這いあがっていくのと同様にジナにも転機が訪れる。


そこからは若干違う。リングでのファイト場面での高揚感は両作に比べると少ない。それよりも、周囲との葛藤と対立に焦点をあてる。心理戦だ。脱北者というのは、韓国では異端なのだ。言い寄ってきたアパートの斡旋業者の男やジムで練習する意地の悪そうな女たちはいずれも脱北者を自分より下と見ている。葛藤が起きる。それに加えて、韓国にはジナが12 歳の時にに1人で脱北した母親がいるのだ。しかも、裕福な家庭で娘もいて幸せそうだ。昔の幸せだった家族写真を眺める姿がせつない。

こういう適度に多すぎない登場人物を絡めてストーリーを進める。展開は予想外の方向に進む。この辺りのストーリーテラーぶりはお見事だ。つらい中で生きていくジナへの共感も高まる。満足度は高い。


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映画「悪人伝」 マ・ドンソク

2021-04-17 11:37:50 | 韓国映画(2020年以降)
映画「悪人伝」は2020年日本公開の韓国映画

これは面白い!
「悪人伝」は韓国得意の変態人物が絡むクライムサスペンスであるが、警察とヤクザが手を組むなんて発想でどこかコメディ的な要素を含む。


深作欣二監督作品に「仁義なき戦い」の合間につくった「県警対組織暴力」という傑作がある。警察とヤクザの癒着を描いた作品である。冒頭に菅原文太演じる刑事が特に悪さをやっていないチンピラを平身低頭させて、激しい暴力を振るうシーンがある。チンピラの川谷拓三と菅原文太とのやりとりは笑うしかない。笠原和夫ならではの脚本が冴える。


この映画のチョン刑事のパフォーマンスを見て、菅原文太の立ち振る舞いを連想した。基調は同じである。警察権力をいいことにヤクザをいたぶるのを趣味にするような男だ。たぶん子供の頃からいじめっ子だったんじゃないかなというような奴だ。もともと、ケンカ好きでヤクザにならず警察官になったような奴っているかもしれない。応援したくなるよりやられてしまえばいいのにと感じるキャラクターだ。

一方で、ヤクザの役が続くマ・ドンソクを組長役で登場させる。どの映画でも立ち振る舞いよく不死身の男を演じる。ところが、この映画では不意を突かれ、刃物を振りかざすシリアルキラーの男に刺されて入院してしまうのだ。常に圧倒的な剛腕の男がやられるというのもこの映画のミソである。反社を応援するというとカドがたつが、気持ちは傾く。


ヤクザの組長のチャン・ドンス(マ・ドンソク)は、夜道を一人で運転中に、追突してきた何者かに襲われ、めった刺しにされてしまう。一命をとりとめたドンスは復讐のために、独自に犯人探しを開始する。


事件を聞きつけたチョン・テソク刑事(キム・ムヨル)は、近隣で発生していた同様の手口の殺人事件と同一犯の仕業だと推理する。組織の論理を無視し、手段を選ばないチョン刑事は、手がかりを求めてドンスにつきまとう。利害関係の一致した2人は、情報を共有しながら犯人を追い詰めていくが、その間も殺人鬼は犯行を重ねていく。(作品情報 より)

それにしても、韓国得意のクライムサスペンスではこういう異常キャラのシリアルキラーが多い。頭巾の下に顔を隠した似たような殺人鬼がよく出てくるよね。車をぶつけた後で、示談のフリをして刀を振りかざす。

日本に比べて韓国は異常性格者が多いのであろうか?そういう相手に、刑事もヤクザも思うようにできない。正規で捕まえようとする警察ルートから外されたはぐれ刑事と、面子で警察に頼らず標的を探して裏社会的な制裁を与えようとするヤクザがある意味手を握るなんて展開にもっていく。


日本では、昭和の頃なら警察にお仕置きを受けながら無理やりつくったであろう題材だ。深作欣二の映画では、菅原文太の刑事と松方弘樹のヤクザの親分が仲がいい。この映画では、マ・ドンソクのヤクザ組長がはぐれ刑事の大胆な振る舞いに刑事の上司の捜査課長に「毎月手当出しているんだから手加減してくれ」という。この辺りはついこの間までの日本での裏社会的との癒着みたいだ。

韓国ではこんなヤクザと警察が組むなんて映画を今でも作ってしまう。実際に日本でこんなことだと大変だが、おもしろい。欧米映画のスリリングなアクション映画のような激しいカーチェイスも織り交ぜ、映画「チェイサー」のような坂の多い街での階段を追いかけるシーンとかのスピード感は今の日本映画で残念ながらこのレベルまで達している作品はない。

シリアルキラーを扱った映画の中でも脚本がこなれている方だ。ギャグのような最後の最後まで注目したい。
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映画「KCIA 南山の部長たち」イ・ビョンホン

2021-01-25 06:11:29 | 韓国映画(2020年以降)
映画「KCIA 南山の部長たち」を映画館で観てきました。


現代韓国史の真相や裏面を描いた映画はどれもこれも面白い。一応フィクションと断ってはいるが、「KCIA 南山の部長たち」は1979年の朴正熙大統領暗殺事件に至る経緯を語っている。予想を裏切ることのない迫力のある展開であった。最近の40代以下の人は多分そう感じないと思うが、われわれより上の世代では北朝鮮の存在以上にKCIAの文字に恐怖感を覚えた日本人は多いと思う。1973年の金大中拉致事件が起こって以来、得体の知れない怖い印象をKCIAに対して持っていた。

ここでは朴正熙大統領の側近である中央情報部長キムと警備室長クァクとの葛藤が中心になる。以前、ソン・ガンホ主演の「大統領の理髪師」という映画があった。そこでも仲の悪い2人のことが描かれていたが、今回も実にリアルに取りあげる。日本人的には明智光秀の本能寺の変や赤穂浪士の忠臣蔵のような反逆の物語が大好きである。韓国でもそれと同じような気分になるのであろうか?実話なので、結末はわかっているとはいえスリリングな展開を堪能できる。

李承晩大統領の政権を覆すために、1961年の軍事クーデターで朴正熙(イ・ソンミン)が権力を握った。すでに18年の日々が流れている。1974年の朴正熙夫人の暗殺事件こそあれど、国内では独裁体制を確保していた。その一方で、本流からはずれた人物もいた。もともとはクーデターの同志であった中央情報部元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)である。米国下院議会の公聴会で、朴正熙大統領の腐敗を訴えた。


大統領は激怒した。暴露本を出版するという話があり、現在の側近、中央情報部キム部長(イ・ビョンホン)が自分が回収してくると米国に向かった。お互い旧知の仲であるキム部長は、金銭的対価とともに原稿を回収することに成功した。そのときにパク部長から別の存在に地位を脅かされないように気をつけろと言われる。

帰国して朴正熙大統領に原稿を手渡した。しかし、同じ大統領の側近でありながらクァク警備室長(イ・ヒジュン)とは常に意見を異にしており、キム部長の失敗をこれ見たことかと非難する。やがて、お互いにスパイ合戦のように秘密を探り合うようになる。そして、徐々にクァク警備室長寄りの状況がでてきたときに、キム部長はある行動を決意するのであるが。。。


1.登場人物の心理状況
この映画の見どころは、各登場人物がみせる表情であろう。スパイ映画のように探り合う世界である。朴正熙政権とともに子どものころから育ってきたが、黒いサングラスをした写真が怖かった。特にKCIAが金大中拉致事件を起こしてから極めて怖い存在だった。イ・ソンミン「工作」では北朝鮮の北京の支局長的な役柄でいかにも北朝鮮の幹部らしい怖い存在に見えた。ここでの朴正熙はそこまでの怖さはない。むしろ、われわれが知らない次から次に起こる悪い出来事に直面してさまよう大統領の姿をさらけ出すということなのであろうか。そう考えるとうまい。

地位が次から次へと脅かされているイ・ビョンホンも、その心理状況になりきっている感がある。朴大統領と酒を飲み交わすシーンや暗殺の場面のドジな部分も無難にこなした。「悪いやつら」や「コクソン」など悪の根源のような役をやらせると上手いクァク・ドウォンがこの出演者の中では韓国クライムサスペンスの常連であるだけにいちばん見ているかもしれない。ここでは反逆者になりきる。自分に狙いを定める男たちが次から次へと出てくる中でいつものような不死身の強さを見せつけた。大統領を取り巻く世界なのになんかヤクザ映画やスパイ映画のようだ。


2.日本語の登場
ともに日本軍人として戦った経験がある。大勢では話さないであろうが、2人きりで日本語で会話することもあったという。そういえば、「大統領の理髪師」にも同じように朴正熙が日本語を話す場面があった気がする。マッコリにサイダーを混ぜるというのがどうかわからないが、飲みやすいアルコールかもしれない。「あのころはよかった」と2人で酒をくみかえしながらつぶやく。あえて、このシーンを選択したウ・ミンホ監督の真意が知りたい。


もし、朴正熙大統領が暗殺されなかったら、どうなっていたのであろうか?
全斗煥政権が出現したであろうか?こればかりはわからない。
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キムギドク死す

2020-12-13 07:58:02 | 韓国映画(2020年以降)
韓国映画の奇才キムギドクが亡くなったと報道されている。

今年の映画界の訃報ではいちばんのショックである。朝目を覚めておったまげた。キムギドクラトビアで亡くなったと言うことであるが,詳しい事情はよくわからない。一部報道によると新型コロナウィルス感染とのことだ。なんでラトビアと思ってしまうが,現地に家を買ったとされている。


キムギドクを追いかけて10年以上になる。初めて観たのは「春夏秋冬そして春」である。その映像美に魅了された。それから遡って「悪い男」を観て、その異常な世界に唖然とした。そして追いかけた。

普通のお嬢様を売春窟の世界に落とし込める「悪い男」、留守宅に忍び込み自由に振る舞う「うつせみ」、美容整形をして自分をふった男の前に現れる「絶対の愛」、死刑囚に同情して慰問に訪れる女の異常愛「プレス」、援助交際をした少女とその親をクローズアップした「サマリア」、船の中で少女を育てるロリコン偏愛もの「」などはそのテーマの選択からしてすごい発想である。必ずしもハッピーエンドに至らず抜群の奇抜な発想に魅せられた。

そして「嘆きのピエタ」は数あるキムギドクの作品でも最高傑作といえる。高利貸しの借金取りの前に母親と名乗る女が現れての顛末の話だ。自身がかなりの貧困家庭で育ったという履歴もあるのか、韓国の下層社会を描くストーリーにリアル感を感じる。


比較的近年の「網に囚われた男」や製作脚本に関わった「レッドファミリー」は南北朝鮮の問題に切り込んできた。ただ、以前ほど新作が出ていなかったのは残念だった。女優に手を出したという問題もあり、国際舞台での高い評価と比較すると韓国国内では決して周囲の評価がいいわけでもなかった。これまで楽しまされてくれたことに心から冥福を祈りたい。
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映画「暗数殺人」 キム・ユンソク

2020-11-19 20:26:49 | 韓国映画(2020年以降)
映画「暗数殺人」は2018年の韓国映画


「暗数殺人」は韓国得意のクライムサスペンスだ。DVDジャケットに写るキムユンソクの顔を見て思わずピックアップ する。チェイサー哀しき獣にはずいぶんと衝撃を受けた。7つの届出のない殺人を告白した犯人を取り調べする刑事が証拠探しに右往左往する話である。

まず暗数殺人って何?って思うが、 暗数とはなんらかの原因により統計に現れなかった数字のことだそうだ。つまり被害者サイドから届出のない事件をふくめヤミに葬られた殺人のことを暗数殺人としている。暗数の意味がわからず、最初頭の整理をするのに時間がかかった。あっと驚く衝撃を受けるという映画ではないがキムユンソクが出演する映画だけはある。

釜山の場末のメシ屋で麻薬捜査班のキム・ヒョンミン刑事(キム・ユンソク)は麻薬の情報屋が連れた来たカン・テオ(チュ・ジフン)という男が「依頼されて遺体を運んでいる」という話を聞いているときにテオは恋人殺しの疑いで逮捕された。その後拘置所にいるテオからヒョンミンに連絡が入る。「おれは7人殺している。」と言われヒョンミンが拘置所に向かう。そこでテオは7つの殺人を告白する。


しかも、ヒョンミンに恋人殺しの証拠を警察にでっちあげされたと、実際にここに恋人の遺品があると指定したその場所に行くと本当にあった。テオは遺品のでっち上げを訴えることで減刑を勝ち取る。ヒョンミンはテオの供述が具体的で真実味があると実感する。

警察内部でもまともに相手をする者がいない中、上層部の反対を押し 切り捜査を進めてゆく。そして、テオの証言どおり白骨化した死体が発見されるのだが、テオは突然「俺は死体を運んだだけだ」と今までの証言をくつがえすのであるが。。。


1.キムユンソク
キムユンソクの一連の作品にはショックを受けた。作品としての韓国クライムサスペンスのレベルの高さも驚くきっかけである。チェイサーでは自分のホテトルで働く女性を探そうとして異常な殺人犯と対峙する男、哀しき獣では朝鮮族が住む中国から海を超えてやってきた裏社会の大物である。 特に哀しき獣でのまさに不死身と思わせる存在感に一気にファンになった。


ここでは若干違う。刑事の実績というのは検挙数なのに、まったく成績が上がらない刑事だ。 それなのにこの被害者の届け出がない暗中模索の事件に関わる。自白してくれているが、裁判でまったく違うことをいって反証する被告に対して、懸命に物的証拠を追っていく。キムユンソクの映画なのに暴力という場面がないのが意外な印象を受ける。

2.チュ・ジフン
裁判では捜査時の自白では有罪にならない。今回もテオの証言のほかに一切証拠はない。テオ本人はそれを分かっている。法に関する本を独房で何冊も読んでいる。血を見るのが何より好きな殺人鬼であるにもかかわらず、冷静さも持つ。日本のベストセラー「ケーキを切れない非行少年たち」に出てくる異常な少年たちと似ているところも多いが、法律の勉強をして結局最終的に無罪を勝ち取るための動きをする。Aという事件が有罪でも、BとCという事件で捜査側のミスから無罪を勝ち取り最終的に全部の事件を無罪にしようとするもくろみだ。


こういうテオをチュ・ジフンが巧みに演じている。今回はまさに狂気と思える顔つきをみせる。異常な目つきでの行為や路上でいちゃもんつけた男を徹底的にボコボコにする暴力シーンなどからキム・ユンソクよりも存在感を感じる

3.ムン・ジョンヒと木村佳乃
検察官を演じているムンジョンヒをみて木村佳乃と似ていると最初思った。ところが、何度もみているうちに似ているなあがまさか木村佳乃本人じゃないかと思うようになった彼女韓国語話せるのか?とまで感じてしまう。


ネット面白い。似ていることを投票しているサイトがあった。そこでは似ているの投票が当然多い。でもこの映画見たらもっと賛同する人増えるのではないかな。
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映画「幼い依頼人」イ・ドンフィ&ユソン

2020-08-07 17:49:32 | 韓国映画(2020年以降)

映画「幼い依頼人」は2020年の韓国映画


「幼い依頼人」はいかにも韓国映画らしい酷い映画である。7歳の実弟を殺したと告白をした10歳の少女が本当のことを言えない状況に、その真実を明かすために弁護士が奔走する姿を描く。2013年に韓国で発生した継母児童虐待死亡事件の実話を基にしている。

ロースクールを卒業してジョンヨプ(イ・ドンフィ)は何度も就職に失敗し、姉の勧めで臨時に児童福祉館に就職する。ある日、継母のジスク(ユソン)から虐待を受けている姉弟10歳のダビンと7歳のミンジュンに出会い家庭の事情をきく。しかし、家庭のこまかい事情には突っ込めない。連絡先を姉に告げて去る。


しばらくして、ソウルの法律事務所に就職したジョンヨプは電話を受ける。虐待でダビンの鼓膜が破れたことを知る。ジョンヨプは継母からダビンを引き離そうとするができない。そうしているうちに、弟ミンジュンが死亡する事件が発生する。自分が殴り殺したと自白した姉のダビンが被疑者となる。何かを言いたそうで言えないダビンを見て衝撃を受ける。ジスクのもとに送り返されたダビンの命を守り、虐待の真実を明かすため、ダビンの弁護士になることを決心する。


⒈児童虐待
弁護士資格を取得したにもかかわらず、児童相談所の相談員になるという設定に驚く。韓国の就職事情はここまで厳しくなっているのであろうか?どうも韓国ではロースクール制度で弁護士が急増したという事情があるようだ。

とはいうものの、児童相談所の相談員になったからには、虐待の情報には毅然と対応しなければならない。でも、一旦引き取っても親に戻さなければならない。この辺りは日本と共通であろう。家庭に戻した後に酷い事件が日本でも起きている。子どもから通報があって対応しても、母親からそんなことやっていませんとちゃんと育てていますと言われたらそれで終わり。この辺は辛いね。


継母の虐待に対して、父親である夫は完全に無関心。似たもの夫婦というけど、日本の児童虐待事情も似たようなものだろうか?

⒉ユソンの虐待
美人の継母が登場して、なごやかな夕食風景で始まる。ところが、息子は箸の使い方が下手クソですぐ食べものを落としてしまう。継母は徐々にムカつく。顔つきが鬼のようになっていく。そんな時、この継母は見たことあるぞと気がつく。その直感、しばらくして確信に変わる。映画母なる復讐でレイプされた後、泣く泣く死んでしまった娘の復讐に立ち上がったユソンである。


レイプ場面を撮影していた映像を見せびらかすぞと言って少女を脅迫するこの映画はなかなかきわどかった。怒りをあらわにして、ナイフを振り回す母親ユソンの姿が印象的だ。

この映画を覚えている韓国人は多いだろう。今度はユソンが真逆の立場になることに意外性を感じたのではないだろうか?この起用はキャスティングの勝利である。

ちょっとした子どもの不手際にもムカついて強烈な体罰を喰らわす。まあ、よくもまああの手この手でいじめまくるなと驚く。ある意味、この暴力的なところがいかにも韓国という感じがする。



⒊韓国のプライバシー
弟は継母の虐待により殺されてしまったと言ってもいい状況なのに、継母からあんたがやったと言えとされる。結局弟が亡くなったのは自分がやったせいだと自白する。マスコミは大騒ぎだ。

本人だと特定される。近所から白い目で見られても遠方に引っ越すわけでもない。プライバシーは守られないのであろうか?しかも、こういう凶悪事件を犯したら普通は施設に入れられるよね。自宅には帰らないと思うけど、韓国は違うんだ。
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映画「オクジャ」 ポン・ジュノ

2020-05-06 13:05:48 | 韓国映画(2020年以降)
映画「オクジャ」は2017年のポン・ジュノ監督によるNetflix映画


パラサイトポン・ジュノ監督がアカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したのには驚いた。ただ、年初早々観たこの作品はおもしろく素晴らしかった。監督の前作が「オクジャ」である。ジャケットからみても異物との遭遇を連想させる。どちらかというと、あまり観るタイプの映画ではない。

このコロナ騒ぎがなければ、Netflix映画をこんなに観ることもなかった。運がよかったのかもしれない。Netflix配信を前提につくられた作品なので、予算もふんだんに使えて作品製作費も5000万ドルと高い。出演者も韓国人の少女を除いては、ティルダ・スウィントン、ジェイク・ギレンホール、ポール・ダノと主演級がそろっている。当然美術、撮影、編集ともに高い映像レベルである。予算もないせいか日本映画ではなかなかこのレベルに達しない。

大企業が遺伝子操作してつくった異形の豚と一緒に育った少女との友情というのがこの映画のテーマである。あえて顔が真っ赤のドンくさい少女を主演に抜擢して、異形の動物とともに首都ソウルとニューヨークを立ち回らせる。特撮のオクジャは映像になじみ、ハラハラドキドキで笑えるシーンが多い。屁理屈は考えずにシンプルにみた方がそれなりに楽しめる。


多国籍企業のミランド社の社長(ティルダ・スウィントン)は遺伝子操作したスーパーピッグの子豚を開発したと発表した。それを世界の26ヶ国の農家で育ててもらい10年後、動物学者ジョニー博士(ジェイク・ギレンホール)の審査でコンテスト結果を決めるものとした。10年たって韓国の山村では、祖父(ピョン・ヒボン)と暮らす少女ミジャ(アン・ソヒョン)が、大きく成長したスーパーピッグ「オクジャ」と暮らしていた。ミジャにとっては「オクジャ」は親友以上の存在だった。

審査のためにジョニー博士が韓国の山奥までやってくる。大きくなったオクジャをみて感動、コンテストの一位だと決めアメリカに運ぶことになった。ところが、オクジャをミランド社からお金で買い取るという話を祖父はミジャにしていたが、結局は断られミジャのいない間に運ばれもういなかった。ミジャは怒り、連れ戻そうとソウルに向かった。ミランダ社のソウル支社では当然門前払い、それでもむりやり会社に入り込み移送されていたオクジャを見つけ懸命に追っていく。

1.ソウルの町での追跡劇
前半戦のヤマである。オクジャが移送されている車を懸命に走って追う。ミジャはソウルの急な坂を滑走し、やがてトラックの荷台にしがみついて乗る。通るのがギリギリのところをトラックが走っって危なかしい。そんなとき、オクジャを積んだ車の真横を1台のトラックが併走してきた。そこには覆面をかぶった男たちが数名乗車している。やがて車が止まり、オクジャが脱出し、ミジャとともにショッピングモールの店を逃走していく。


この追跡劇はなかなかスリリングだ。ミジャの動きはアクションスターばりでドキドキしてしまう。応援したくなる気分にもなる。この覆面の連中は誰?と思っているとやがてジェイ(ポール・ダノ)率いる動物愛護団体のメンバーだとわかる。単にアメリカに行ってしまうオクジャを取り戻そうとする話に、第三者の存在を顕在化して話をおもしろくする。いくつもの対立関係と葛藤をうむので話が重層化して深みが出る。金の子豚の存在など小技も効いていて相変わらずポンジュノのストーリー作りのうまさが光る。

2.平穏な山奥の田舎とミジャ
山奥に住む祖父と孫と一緒に暮らす異形の豚オクジャは人間の気持ちもよくわかる。ミジャが山から転落しそうになると、賢いオクジャが自分の身も棄ててミジャを助ける。そんなエピソードだけでなく、原始的に生活するミジャの姿も映す。父母は両方とも死んでこの世にいない。なんで死んだのかは明かされない。ふと思うけど、この女の子学校に行っているのかしら?もしいっているとしたら昔でいう一里(4km)ではすまないくらい歩いているのかもしれない。ほっぺたは真っ赤だ。


3.主演級の脇役たち
スーパーピッグコンテストを主催するミランダ社の社長はティルダ・スウィントンだ。コーエン兄弟やウェス・アンダーソン作品などでおなじみだが、自分にはジム・ジャームッシュ監督のオンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴでの吸血鬼役が一番適役と感じる。この個性的な一人二役の社長役もうまい。


ジョニー博士がジェイク・ギレンホールであることは、彼の作品をずいぶんみているのに映画が終わるまで気づかなかったなあ。変態的要素をもつ動物学者で、ずっとでていて賑やかなのでいつもの役と違う。動物愛護団体のリーダーがポール・ダノだ。ジェイク・ギレンホールポール・ダノは「プリズナーズ」で刑事と被疑者役で共演し、ポール・ダノが監督した「ワイルド・ライフ」ではジェイク・ギレンホールキャリー・マリガンとともに主演した。

動物愛護団体の紅一点はリリー・コリンズである。歌手のフィルコリンズの娘で、ブルックシールズばりの太い眉毛が特徴だ。恋愛映画あと1センチの恋では主演を演じている。実は自分のブログで一番閲覧が多いのがあと1センチの恋なんだけど、彼女にも気づかなかったなあ。


ふだん豚肉は食べているんだけど、この映画をみるとちょっと気にしてしまうかも?
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映画「守護教師」キム・セロン&マ・ドンソク

2020-05-05 17:30:08 | 韓国映画(2020年以降)
映画「守護教師」は2019年日本公開の韓国映画

TSUTAYAのDVDの棚を眺めていると、マ・ドンソクの顔が見える。最近韓国映画で存在感を高めている筋肉もりもりの強面顔をした男だ。その横にいる女の子が気になりジャケットをとるとキム・セロンだとわかる。このブログでも少女時代の映像を4回ピックアップした。ずいぶんと大人になったものだ。おもしろい組み合わせだということでDVDをみてみる。


地方の女子高に着任してきたボクサー上がりの体育教師が、行方不明になっている女子高生の行方を探るクラスメイトとともに失踪の真相を突き止めようとする話である。マ・ドンソクは他の作品でも圧倒的な格闘能力を武器にして立ち回る姿を映し出してきたが、いまや韓国のクライム系映画で抜群の存在感を示している。ここでも同じような感じだ。B級映画のラインを超えられたものではないが、大人になりつつあるキムセロンをみるだけでも価値はあろう。


元ボクシング・チャンピオンのギチョル(マ・ドンソク)はボクシング協会の幹部と暴力沙汰を起こしコーチの職を失う。その後、地方の女子高で体育教師となる。学校側は彼を学年主任として迎える。ただ、その任務には学費、給食費を滞納している生徒からヘの取り立てが含まれている。先輩から昼休みの食堂で生徒に声をかけるといいよといわれ、食堂でリストを元に女子生徒に声をかけ始める。すると町で他の女子生徒とけんかしてギチョルが止めに入った女の子ユジン(キム・セロン)を見つける。そっけなく、払うよと言われたあと、ハン・スヨンという女子生徒のことを聞く。


現在行方がわからないのでユジンが自ら捜しているという。ハン・スヨンは祖母と2人で暮らしていた。ギチョルは、ほかの教師たちが単なる家出だと決めつけ、警察も本格的に捜査しようとしないことを不審に感じる。ユジンはスヨンが残した手がかりを頼りにある店に入るとヤクザじみた男たちに囲まれる。偶然彼女を見つけたギチョルが助ける。1人で帰るというユジンは何者かに襲われるのであるが。。。

その後、たばこを吸っている現行犯を捕まえに女子トイレ内に入ると偶然盗聴カメラを見つける。そこには、ギチョルの隣席に座っている美術教師キムの姿が映っている。キムのパソコンがたまたま立ち上がっていて読み解くと、スヨンやユジンと連絡をとりあっていることがわかる。ギチョルはキムをマークするようになるのである。。

1.キムセロン
知性の殿堂岩波ホールで放映されている冬の小鳥を見に行ったのが最初の出会い。韓国では身寄りのない子供たちが預けられている施設から、欧米の子供のいない夫婦が自分の養子にと子供を引っ張っていくことが多いという。そんな話はショッキングだった。そのあとも、韓国版「レオン」の色彩をもつウォン・ビン主演アジョシ、臓器売買を目的として子供がアメリカに引っ張られる話であるバービー、継父に虐待される私の少女などまともな役は1つもない。それらをけなげに演じる少女としてずっと注目していた。


いつの間にか大人の女性になっていた。女子高校生役だがもう成熟している。子供の頃からよく知っている同級生の娘が気がつくと美人に育っていたというような気分でこの映画を見た。ただ、よくわからないのが、このユジンという女の子、人気のない物騒な道を1人歩いたり、ちょっといかがわしい店にも平気で入っていったりするんだけど、普通だったらしないでしょう。普通の女の子は誰かと一緒に行動するはずだよ。そこが不自然な感じがした。

2.マ・ドンソク
ハ・ジョンウ、チェ・ミンシク共演の悪いやつらでみたのが最初である。韓国クライムサスペンスのスターの2人と比較すると一人のチンピラに過ぎずまだ存在感はなかった。キム・ギドク監督の殺されたミンジュでは、謎の武装集団のリーダーで今の圧倒的暴力の片鱗をみせた。桑田佳祐を少し顔を丸くして、筋肉もりもりにしたような感じだ。実は「無双の鉄拳」という映画も最近みているがもう一歩で感想はブログにアップしていない。


一度キレたら止まらないというキャラである。腕っ節がめっぽう強くどんな難敵もイチコロというイメージを植えつつある。この映画でもひたすら無敵である。こういうキャラって韓国人が好みそうな感じがする。

名字「マ」は漢字ではである。中国ではイスラム教徒の部族を人種はべつとして回族という。回族は1000年を超える中国東西交流史の中で元々のイスラム商人である中東系の人と中国人が交ざり合った混血が多い。顔は中国人と同じでも気性は獰猛で身体は頑強、過去には中央政府に対する大きな反乱が起きている。その回族で突出して多いのはという名字である。は本名ではないが、もしかしてこの暴れん坊ぶりはそういうことを意識しているような気がした。

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映画「国家が破産する日」 キム・ヘス

2020-04-29 13:00:50 | 韓国映画(2020年以降)

映画「国家が破産する日」は2019年日本公開の韓国映画


1997年の11月は山一証券の自主廃業と北海道拓殖銀行の破綻があり、日本経済が大混乱の様相を呈していた。そのころ隣国韓国でも通貨危機が起きていた。韓国の中央銀行である韓国銀行の通貨政策チームの女性リーダーが国家の経済を動かす中枢のメンバーとどうこの危機に対応するかを議論する。そしてIMFに救済を求めるのを描いた映画である。東南アジアで通貨危機が起きていたのはわれわれも知っていたが、あくまで対岸の火事にしか捉えていなかった。そもそも、自分たちのことで精一杯であった。ここではその韓国通貨危機について描いている。



IMFとの交渉の話と平行して、ある中小企業が大手企業からの手形取引で不渡りを出してしまう話と経済危機に際して金融コンサルタントが顧客にドル高ウォン安による取引を持ちかける話の3つを平行して進めていく。1回みただけではセリフが吟味しずらい映画である。2回目でよくわかってくる。中身は濃い。この時期に失業者が大量に発生したり、多くの中小企業の倒産などの整理があって改めて現代韓国経済が成り立っているのかと感じる。

1997年韓国ではそれまで続いていた好景気に変調がみられてきた。鉄鋼会社などの大企業の倒産などが続き、中小企業の不渡りも目立ってきた。海外の金融筋では韓国から撤退せよという号令もでていた。韓国銀行の通貨政策チーム長ハン(キム・ヘス)は海外からの資金回収に備えての外貨準備高が少ないことに気づく。短期的に通貨危機が起き国家が破綻すると予測してトップに報告する。

韓国銀行のトップは財政経済局、大統領経済主席に連絡して非公式の対策チームを立ち上げる。すでに状況は悪化しており、激論の結果IMFへの救済を求めるしかない状態であった。来訪したIMFの専務理事(ヴァンサン・カッセル)は韓国に対して資金を提供する代わりに外資が強く関与せよと要求してきた。


同じ頃、外国資本が撤退する危機の兆候をつかんだ総合金融会社に勤めるユン(ユ・アイン)は、会社をやめ金融コンサルタントとしてこれまでの顧客を集め、投資話を勧誘する。現在1$800ウォン寸前でとどまっている相場は1$2000ウォンを目指してウォンが急落するというのだ。ユンの話を理解する顧客も2人出てきてドル買いウォン売りで勝負をかけていく。実際にドルウォンのレートは1$790ウォンから909ウォン、1103ウォンと急騰するのだ。


国家経済危機とは関係ない町工場の経営者ガプス(ホ・ジュノ)のもとに大手百貨店からの大量発注がはいる。現金取引しかしない町工場であったが、手形決済という条件であった。不景気時の大きな取引に町工場の面々は喜ぶ。その後、経済情勢は悪化する。取引した大手百貨店が破綻してしまうのだ。手形はただの紙っぺらだ。発注した下請けも心配して押し寄せる中、資金繰りをたてるのが困難になってしまう。

こういう3つの話を平行させる。
韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョンが実質的主役である。保守的な韓国社会では女性への偏見が強い。中小企業や庶民の立場にたって財務局の責任者と対峙して政策を模索する。しかも、国民にこの窮状を知らせるべきだと主張する。

でも、中央銀行のスタッフにしては一般市民をかばうセリフが多すぎる印象を受ける。これはあくまで映画の登場人物としてのスタンドプレイではなかろうか?どうみてもフィクション像である。IMFとの連携を主張する財政局次官のパク・デヨンの発言の方がまともだと思う。

またIMF専務理事は、韓国政府に過酷な支援条件を提示している。それによって金融機関が破綻するとともに多くの倒産などの痛みを伴う。結局失業者が130万人出たという。ただ、このおかげで今の韓国があるのはまちがいない。そういう感想を持った。
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