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映画「コインロッカーの女」キム・ゴウン

2016-05-01 18:04:21 | 映画(韓国映画)
韓国映画「コインロッカーの女」は2015年の韓国得意のクライムサスペンス映画だ。


ブラックに近いグレーな韓国の下層社会を描いた映画は数多い。日本のクライム映画でもどっちが敵か味方かわからなくなる映画は多いが、この映画は身内同士が殺し合うかなりえげつない映画である。

原題は「チャイナタウン」で仁川の中華街で闇金融を営む女社長がコインロッカーで拾った子供を引き取る。女社長は同じような境遇の子供を引き取り、兄弟のように育て、取り立て屋に仕立て上げるのだ。
常に冷徹に取り立てをしている主人公イリョンが、借金したまま返さない父親の子供である同世代の男になぜか惹かれてしまう。そして父親がダメなら息子をなんとかせいと指示する女社長の意向に反して彼をとり逃がそうとするところから話は複雑になっていくのだ。もっとえげつない韓国映画はたくさんあるけど、逆らった主人公がいったいどうなっていくのか気になったまま最後まで目が離せなくなる。


地下鉄駅のコインロッカーに、へその緒がついたままの赤子が捨てられていた。入っていたコインロッカーの番号が10 番であることから、赤子は10という意味のイリョンと名付けられた。イリョン(キム・ゴウン)は、仁川のチャイナタウンで闇金業を営み母さんと呼ばれる女(キム・ヘス)のもとで成長。やがて彼女の右腕となり、生きるために何でもするようになった。


ある日、父親が残した多額の借金を背負う青年ソッキョンのもとに取り立てに行ったイリョンは、不幸でもすれない彼の純粋な心に触れ、惹かれていく。しかし借金の返済の目途がつかず、母さんはイリョンに、ソッキョンの臓器を売るために彼を殺すよう命じる。(作品情報より引用)

1.韓国の取り立て映画
すぐさま連想するのが「息もできない」と「嘆きのピエタ」である。いずれも凶暴な取り立て男の物語だ。そこで繰り広げられるのはまったく容赦ない非情の世界だ。ここでも同様である。借金を返さないときには、目や内臓をくりとって金にするのである。ちゃんと医者とも組んでいる。


日本では貸金業法が厳しくなって、勤務中や夜中に取り立てに行ったりするのはご法度ということになっている。もちろん度を越した債務者にはそれなりに対応するのであろうが、取り立てに対する世間の目は数年前とは違う。一方韓国ではどうなのであろうか?こういった闇金融からの取り立てに関わる映画がいくつも公開されているのを見ると、日本とは状況が違うようだ。臓器売買に向けて売られていく女の子を描いたのは韓国映画「バービー」だ。ここでも医者と組んで債務者の臓器をえぐり取って売買で金にしていく。いかにも韓国らしい世界だ。

2.身内同士の殺し合い
むかしの中国で、権力を維持するために兄弟親子が殺し合うのは日常茶飯事だったと聞く。源氏の源義経、頼朝兄弟のように異母兄弟も多かったのかもしれないが、殺し合うまで憎み合うのは浮世離れしている。
ここでは血がつながっていない幼いころから身寄りのないまま引き取られた同士である。下手をすると血がつながっているよりも絆が強いようにも感じるがそうはならない。この面々の血を血で洗うえげつない世界が最後まで続く。一種ホラー映画を見ているような衝撃である。


3.いくつか疑問だけど(注:ネタバレあり)
1)追手に追われた少女イリョンが懸命に逃げる。ところが四方を囲まれて絶体絶命になり、海に飛び込む。誰も追わない。海の中から飛び出しているようにも見えない。でも飛び込む前と同じように乾いたスタジアムジャンバーを着て、平然としている。おいおいどうやって助かったんだよ。

2)イリョンの兄弟分二人がお互いに武器を持ちあう中、ぶっ倒れる。イリョンだけ助かるが後方から何者かに頭を強打される。そしてむかしの回想場面になり、気がつくと自分を強打した男を離れた場所でぶったしている。おいおい、この間どうなっているの??

3)イリョンはサバイバルの殺し合いを勝ち抜く。最終的にはイリョン自らナイフを持って刺している。でも捕まっていない。今まで暮らしたところでそのまま生活ができている。警察に捕まらないなんて、こんなことってあるのかしら?

とかとか疑問は多いけど、いつもながら韓国クライムサスペンスのスリル感は抜群だ。



コインロッカーの女
闇の女に育てられた捨て子

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