映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ネブラスカ」 アレクサンダーペイン

2014-08-19 19:32:22 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ネブラスカ」は2013年公開のロードムービー
「サイドウェイズ」というロードムービーの傑作を撮っているアレクサンダーペイン監督が、老人と息子の旅を描く。モノクロで作られた小さな逸話をいくつも重ねていく映像はやさしさに包まれている。終盤に向けて親子の情がよりクローズアップされ、後味はいい。


“モンタナ州のウディ・グラント様 我々は貴殿に100万ドルをお支払いいたします”。誰が見ても古典的でインチキな手紙をすっかり信じてしまったウディ(ブルース・ダーン)は、遠く離れたネブラスカまで歩いてでも賞金を取りに行くと言ってきかない。大酒飲みで頑固なウディとは距離を置いてきた息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)だったが、父の様子を見兼ねて、無駄だと分かりながらも一緒に車に乗って4州に渡る旅に出る。


途中、立ち寄ったウディの故郷で、デイビッドは想像もしなかった両親の過去に直面する。最初は温かく迎えてくれた故郷の親戚や友人も、ウディが大金を手にすると知って欲が出て、次第にその醜い本性を露わにしていく。こんな中、欲の皮の突っ張った親戚たちへ妻のケイトが啖呵を切る。 回り道ばかりの旅の途中で、父と息子は“本当の賞金”に気づき始める……。(作品情報より)

老人のロードムービーといえば、「ストレイトストーリー」というデイヴィッドリンチ監督の傑作がある。いつもは、悪夢と現実の境目がないような話が多いリンチ監督が胸にしみるロードムービーをつくった。しばらく疎遠になっていた兄に会いにトラクターに乗って1人で出向く話だ。
その作品を連想したが、今回は息子が同行する。

1.父親ブルースダーン
ブルースダーンといえば、すぐさま思い立つのはロバートレッドフォード版「華麗なるギャツビーでのトムブギャナン役だ。ミアファロー演じるデイジーの夫役で、あの映画では嫌な奴モード全開だった。年齢を重ねて、いやみっぽさが消えた。


寡黙でせりふは少ない。頑固で意地っ張りだ。賞金が当たったというネブラスカからのインチキくさい通知をみて、絶対だまされていると言われても1人で歩いていこうとするのである。
認知症気味の父に息子は見かねて、同行する。そして、故郷に向う。旧知の人間にあったときでも、賞金の話をするなと息子が言っているのにしゃべってしまう。小さな故郷の町はその話で持ちきりになる。


2.息子ウィル・フォーテ
中年なのに独身である。付き合っていた女に未練たらしい場面が出てくる。
彼女はデブでちっとも魅力的ではないが、他に誰も女がいないとこうなる心理はわからなくはない。
着いた先でデブの2人に時間がかかりすぎだと言われる。実生活ではどこか抜けているイメージをかもし出す。やさしそうなんだけど。。。一発殴るシーンがある。これはすっきりした。
それでも最後に向っては抜群の働きをする。

3.故郷の人々
久しぶりに会った旧知の人たちに賞金の話がばれてしまう。息子が当選しているわけではないではないと懸命に主張するが、信用されない。故郷の人たちのまなざしが徐々に変わってくる。ここでは「田舎のいやらしさ」をアレクサンダーペインは見せつけたかったんだろう。会話の中から息子が知らない事実があらわになる。同時に少しぼけてきた主人公を見て、以前金を貸したはずだと昔の仕事仲間が言う。この手の話が死んだあとは万国共通だろう。
こういう話ってあるよな。自分が死んだとき、こういう人が出てこないようにしなきゃと思う。


4.主人公の妻ジューン・スキッブ
この映画では、飛びぬけてうまかった。1929年生まれとはすごいなあ。
本当に100万ドルが入るんだったら、夫を老人ホームに入れる資金にすると言い切る。夫婦でいる時間が長くなり、夫を煙たがるおばあさんの典型である。


途中で長男と一緒に追いかけてくる。好き勝手にベラベラしゃべるし、いい年して下ネタの連発だ。誰も彼も自分のパンツの下をみることばかり考えていたと昔を回想。すでに死んでしまった知人の墓の前で「昔見せられなかったから見せてあげる」とばかりに下半身を見せてしまうのには笑えた。金をむしりとろうとする旧知の連中に啖呵を切るあたりもしびれる。
80過ぎてのこの演技はお見事!一番親しみが持てた。

最後に向けては、息子の優しさがにじみ出て素敵なエンディングに結びつける。
無表情な父親だけど、内心はとてもハイになっているだろう。
これはいい感じだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「ドラッグウォー」 ジ... | トップ | 映画「網走番外地」 高倉健 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画 2013年以降主演男性)」カテゴリの最新記事