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映画「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」 レイフ・ファインズ&オレグ・イヴェンコ

2019-11-05 20:16:53 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ホワイト・クロウ」は2019年公開の俳優レイフ・ファインズの監督作品


東西冷戦は90年代初頭に過去のものとなった。それまで共産党を崇拝していた社会主義者は落胆したであろう。逆に東西冷戦のピークはキューバ危機の一発触発する可能性があった1960年代初頭である。その頃、ソビエトのバレエダンサーがパリに行き、帰国後の自分への待遇に不安を持ち亡命しようとする話である。「イングリッシュペイシェント」などの名作に出演する英国の名優レイフ・ファインズがメガホンをとり、自らもバレエ教師役として登場する。実際にルーブル美術館で撮影したり、主演がバレエの実力をみせるバレエ公演場面など高度な映像が続き映画のレベルは高い。


1961年、23歳のルドルフ・ヌレエフ(オレグ・イヴェンコ)は、所属するキーロフ・バレエのパリ・ロンドン公演のために、生まれて初めて祖国ソ連を出た。5週間のパリ滞在では、オペラ座で観客を熱狂の渦に巻き込む一方で、文化や芸術、音楽のすべてを貪欲に吸収しようとしていた。パリ社交界の花形クララ・サン(アデル・エグザルホプロス)と親密になり、パリの生活に魅せられていく彼の一挙一動は、KGBに常に監視されていた。

1.ワガママなバレエダンサー
主役のオレグ・イヴェンコは現役のバレエダンサーである。劇中でのバレエシーンは自ら踊る。当然迫力がある。自分はバレエには明るくないが、圧巻のステージである。


しかし、演じる性格は超ワガママだ。気に入らない人間がけいこ場にいれば罵声を浴びせて追い出す。パリで知り合った社交界の女友達とはいったレストランでも、ステーキに味付けソースが加わっているだけで自分を出生地の違いでバカにしているからだと急反発する。付き合ってくれたパリジェンヌを困らす。職人気質の優秀な人間にありがちなワガママである。周囲の言うことを聞かないだけでなく、レッスンに対しても注文をつける。レニングラードのバレエ学院でレッスンしてくれた先生の奥さんに誘惑される微妙なシーンもある。

2.亡命への急展開
パリでは、家柄のいいパリの女性と急接近する。パリ公演は大成功をおさめ、街ではルドルフ・ヌレエフの名前は広く知れ渡る。北朝鮮から蓮池薫氏夫妻が帰国した時に、北朝鮮当局の監視員がピッタリとついていた。その時と同じようにソビエトから派遣されたKGB職員がぴったりとルドルフに付く。


パリ公演終了して、親しくなったクララと夜遊びしたが、普通に空港からロンドン公演に向かうところであった。しかし、フルシチョフがパリ公演が好評だったと聞き、目の前で踊って欲しいので帰国せよという話を芸術監督のセルゲイエフから聞く。ルドルフは驚く。そして帰国を拒否する。絶対に当局に拘束されてしまうというのだ。

その場にはフランスで知り合った振付師ピエールラコット(ラファエル・ペルソナス)が見送りに来ていた。とっさに異変に気づき、彼はクララ(アデル・エグザルホプロス)に電話をする。そして亡命させることを考えるのだ。警察に亡命したいと言えばソビエト当局は拘束はできない。やがてクララが現れる。ソビエトから同行している監視員も彼女を知っている。別れを惜しんでいるだけと気を抜いている時に、「あそこにいる2人は警官だ。そこで亡命を宣言せよ」と耳打ちする。


ルドルフが空港に来た途端、それまでの平坦さから強い緊迫感にかわる。ドキドキするシーンが続く。悪名高い当時のKGBの包囲網を潜れるのか、ラファエル・ペルソナスやアデルエグザルホプロスという現代フランス映画の若手の実力俳優が周りを囲み役者は揃った。手に汗をにぎるシーンだ。

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