★ チェロキー族は冬の旅に出るとき、両足に灰をすりこみ、狼の歌をうたいながら狼の歩みをまねた。そうすれば凍傷を避けることができる。
★ 平原インディアンのあいだでは、「ポーニー族」をさす手話の単語は「狼」をさすそれとおなじだった。右手の人さし指と中指でVを作り、それを耳元にあげ、ついで前方に動かす。コマンチェをはじめとする周辺の部族は、ポーニーのことを狼のような旅の達人だと見ていたのだ。
★ 北米先住民のうちもっとも精緻な宇宙観をもつそのポーニーは、南東の空に現われる「死の赤い星」(シリウスのこと)を「狼の星」と呼び、それがトウモロコシとバッファローの収穫を左右すると考えた。かれらは天の川を「狼の道」と呼んだ。
★ そしてラコタの人々、スー族は、さえざえと輝く12月の冷たい月のことを「狼が連れだって走る月」と呼んだ。
<菅啓次郎『狼が連れだって走る月』>
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