沖縄の米軍基地。
この沖縄の米軍基地問題について、内田樹最新ブログが書いている。
すなわち、沖縄に米軍基地が“ある”ことの、<とても国民には言えないような理由>について―引用する(今回はこの内容にほぼ賛成なのでぼくのコメントは控える);
☆「とても国民には言えないような理由」とは何か。
それが「非核三原則により、ないことになっている」核兵器でないとすれば、残りは一つしかない。
それは「沖縄がアメリカの在外基地の中でもっとも快適で、もっとも安全で、もっともコストの安い基地だから」というものである。
米軍基地は東アジア全域で縮小されているが、その大きな理由は、駐留先からの「出て行ってくれ」という激しい要求に屈服したせいである。
基地の外に出るとどこでも敵意にみちた視線を浴びる、というのが今のアメリカの在外基地兵士たちのの実情である。
前にも書いたが、アメリカの軍事的パートナーである韓国の軍人たちへのアンケートで「一番嫌いな国」の第一位はアメリカであり、「これから戦争する可能性がある国」の第一位もアメリカである。
それが38度線を抱えた臨戦国家の兵士たちの、同盟国に対するリアルな感情である。
他国においておや。
だから、フィリピンでも、韓国でも、1990年代から米軍基地は急ピッチで縮小されることになったのである。
その中にあって、一人日本だけがいまだに「在日米軍基地は必要だ」ということを政治家も官僚もメディアも言い募っている。
そんな国はもう東アジアでは日本しかない。
☆アメリカ軍にとって、日本列島はいまや「世界で一番居心地のいい場所」、たぶん世界で最後に残されたアメリカ軍ご用達の「リゾート」なのである。
ここを追い出されたら、もう行くところがない。
だから、いる。
その程度の理由で米軍は沖縄に基地を置いている。
それを知って、鳩山さんは 呆然としたのである。
というのが、私の推理である。
まさか、「沖繩は快適なリゾートだから、出たくない」というような「本音」を公的にアナウンスするわけにはゆかない。
それは「日本はアメリカの属国です」という天下周知で、日本人だけが知らないふりをしている「事実」を認めることになるからである。
しかたがないので、「抑止力」という手垢のついた用語を一時の方便に使った。
そういうことではないかと思う。
もちろんこれは素人の床屋政談に過ぎない。
けれども、「方便」の語義について、私の解釈以上に説得力のある解釈があれば、誰か教えて欲しい。
☆メディアの解釈は「鳩山の言うことには何の意味もない」というところで停止している。
沖縄のことについては何も考えたくない、というメディアの気持ちは私にもわかる。
日米がイーブンパートナーではないということを受け容れない限り、沖縄で起きていることは説明できないからだ。
そのことを認めるのが日本のエスタブリッシュメントにとってはたぶんきわめて不快なのであろう。
だが、どれほど不愉快であろうと、そこから話をはじめなければ、私たちはどこへも行けない。
(以上引用)