★ 哲学者はいかなる思想的共同体の成員でもない。まさにそのことが彼を哲学者にするのである。(ウィトゲンシュタイン“断片”455節)
★ 哲学の問題は、「私は途方に暮れている」という形をとる。(ウィトゲンシュタイン『哲学探究』1部123節)
★ 哲学者の仕事は、一定の目的に合わせて諸々の記憶を寄せ集めることである。(『哲学探究』1部127節)
★ およそものごとの、我々にとって最も重要な様相は、その単純さと平凡さによって隠されている(人はそれに気づかない――それがいつも眼前にあるから)。人間の探求の本来的な基盤は少しも人間を驚かすことがない。そのことに彼が驚いた場合を除いては。――すなわち、ひとたび目にすれば最も驚くべく、また強烈なものに我々は驚かないのである。(『哲学探究』1部129節)
★ 哲学の病の主たる原因――偏食。人は自分の思考をたった一種類の実例で養っている。(『哲学探究』1部593節)
★ 言語ゲームはいわば予見不可能なものであるということを、君は心にとめておかねばならない。私の言わんとするところはこうである。それには根拠がない。それは理性的ではない(また非理性的でもない)。それはそこにある――我々の生活と同様に。(ウィトゲンシュタイン『確実性の問題』559節)
* 以上すべて黒田亘編『ウィトゲンシュタイン・セレクション』(平凡社ライブラリー2000)より引用