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男子シングルが好きです。

歌子先生と二人三脚

2010-03-11 22:30:17 | 高橋大輔その他
文芸春秋4月号に、<高橋大輔「もう一人のお母さん」>という大ちゃんと歌子先生の記事が載っていました。
うちは父が毎月文芸春秋を買っています。私も読み、いつもは読んだら返しますが、今月号だけはもらう約束をしました。(笑)

特別目新しい内容はないのですが、大ちゃんが中2のときの出会いから、バンクーバーまでが歌子先生の言葉で語られています。全部で6ページの内容。写真は白黒で小さく2枚。
購入された方は少ないのではないかと思うので、歌子先生の言葉のいくつかをご紹介しますね。

モロゾフの指導を受けていた頃の話。
「ニコライが大輔を見るようになってからは、技術的なことを中心に任せ、ニコライの方針に沿って、私はもっぱら愚痴の聞き役でした。ときどき『疲れた』などと、弱音を吐いていましたから」

モロゾフと別れてからの歌子先生の苦労。
「私にはニコライのような強い牽引力はない。やらなければと気負いだけがあった。でもなかなかうまくいかず、苦しい思いをしました」

大ちゃんが怪我をしたときのこと。
「これで強い心を取り戻すことができると、なぜか私は納得していました。低いモチベーションのままでは五輪を戦えないと心配していたので、怪我をして『あっ、こういうことだったんだ』と、不幸なのに納得したというか……。皆様にはご迷惑をおかけし、すごく心配して頂きましたが、私も大輔も『救われた』という気持ちが強かった。それだけ二人とも悩んで落ち込んでいたということでしょうね。
あとで聞いたら、大輔も『これで休める』とほっとしていたようです。話し合ってはいませんが、気持ちは不思議に一致していたのだと思います」

リハビリボイコットのときのこと。
「そういえば前々から、リハビリは長くて耐えられないかもしれないと冗談めかして言っていたのを思い出して、どうして察知してあげられなかったんだろう、そうか、SOSの信号を出していたんだと……。情けなさに落ち込みました。リハビリをボイコットすれば、スケーターとしての将来がなくなることをわかったうえで逃げ出したのですから、最悪の事態まで想像しました」

バンクーバー前の技術面について。
「(昨年末の)全日本選手権までは、体の軸がぶれてくにゃくにゃしていました。ステップもいい点は頂けるのですが、私から見るとこんなの大輔じゃないとなんともいえない気持ちでした。けれどバンクーバーにきてから、ステップの切れなど以前のよさが戻ってきていました。しょーとプログラムは滑走順が速いことだけが心配でしたが、きちんとやってくれるだろう、ステップも今までで一番いいものを滑りきってくるはずだと核心していました」

メダルが決まった瞬間、大ちゃんは渡部トレーナーと抱き合って涙をこぼしたそうです。
「二人の姿にこちらももらい泣きというか……報われたな、と。いろいろな方が力を貸してくださったので、少しでもお返しができてよかったと嬉しかった」

大ちゃんがバンクーバー後も続けると言ったことについて。
「去年はバンクーバー五輪で引退しようと思っていたようですが、私はずっと『続けて』と言ってきた。まだ十分に大輔には伸び代が残っていると思いますから、それをきちんと皆さまに見せてからやめればいい」
このあと選手としての大ちゃんへの褒め言葉が続きますが割愛します。でも最後の部分だけ。
「すごい選手に出会えたと感謝しています」

大ちゃんが発した「第二のお母さん」という言葉について。
「本当の親にはなれないですし、なるまいと心に決めています。岡山には、ご両親がきちんといらっしゃいますからね。ただどんなことがあっても、後ろに立っていてやろうとは思っています。
いい時はみなさんがほめてくださるので必要ないのですが、落ち込んだり困ったり、大輔が悪い局面に立たされた時は、私がつねに後ろにいて同じ方向を向いていてあげようと」

いつも力強く大ちゃんを支えてくれている歌子先生の悩みや葛藤や本音がたくさん出てくる言葉の数々です。こんな思いをして大ちゃんを支えてくださっているんだな、あれだけの選手を見守り続けるのは並大抵の苦労ではないだろうと改めて思いました。

そして何て懐の深い、胸に染み入ってくるような言葉なのでしょう。
「本当の親にはなれないですし、なるまいと心に決めています」なんて言い切る歌子先生が大好きです。並みの女性だったら、自分に子供がいなかったら自分の子供のように見てしまうところですよ。リンクサイドでの様子からも、歌子先生は「お母さん」ではなくあくまで「コーチ」なんだなというのはいつも伝わっていましたが。
それでも歌子先生がいてくれたからこそ、大ちゃんはバンクーバーのメダルにまで辿り着けたのですものね。歌子先生には感謝してもしきれません。

モロゾフについてもしっかりと語られていました。
私は動画で部分的にしか見ていませんが、先日関西テレビで放送された「高橋大輔 銅メダルへの軌跡~知られざる4年間の道~」でもちゃんとモロゾフを扱っていましたね。
いつも彼の存在を無視したかのような番組や記事を見るたびに、思いっきり違和感があったので、モロさんが出てくるたびに密かに喜んでいる私です。(笑)
やはり彼の存在と影響は大きいので、無視してしまうのは不自然すぎます。
しかし「銅メダルへの軌跡」、全国放送かBSかで放送してくれないかしら。

文芸春秋のこの号には、山田満知子コーチの「真央は私の金メダル」という記事も載っていました。

バンクーバー特集の雑誌も次々と発売されますね。
フィギュアスケートDays vol.12が13日に発売されます。
新書館から18日に発売の「バンクーバー五輪フィギュアスケート / 永久保存版 オリンピック大特集」予約受付中ですね。


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6 コメント

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唯一無二の存在 ()
2010-03-12 14:32:52
walさん、皆さん、こんにちは。

素敵な記事を紹介していただき、ありがとうございます。

私も歌子先生の「本当の親にはなれないですし、なるまいと心に決めています」の言葉に感動しました。中学の頃からずっと見続けて、家に下宿もさせてたら「私はもう一人の母親よ」って思ってもいいと思いますが、そこはきちんと大ちゃんのご両親をたててらっしゃるし、ぶれない固い決心を持って接してこられたから、大ちゃんもずっと付いてきたのかもしれないなって思いました。

モロゾフと離れた後は、大ちゃんだけでなく歌子先生も悩んでたんですね。それだけモロゾフは大きな存在だったから彼を無視しては今の大ちゃんを語れないと思います。先日の関西テレビの放送は大ちゃんのDVD第2弾として売り出して欲しいくらい、皆さんにも見ていただきたいです!

「落ち込んだり困ったり、大輔が悪い局面に立たされた時は、私がつねに後ろにいて同じ方向を向いていてあげようと」
母親として、自分も息子達に対してこうありたいと思います。大ちゃんに対していつもこんな気持ちで接してきてくれた歌子先生にありがとうを贈りたいです。そして、こんな素晴らしいコーチがいる限り、大ちゃんはまだまだ凄いスケーターになると思います。
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憧れの女性 (wal)
2010-03-12 21:22:51
凛さん、こんばんは
>ぶれない固い決心を持って接してこられたから、大ちゃんもずっと付いてきたのかも
そうですよね。歌子先生が「お母さん」になってしまっていたら、大ちゃんをあそこまで導くことはできなかったかもなんて思います。歌子先生って本当に素敵な女性で、素晴らしいコーチです。

>母親として、自分も息子達に対してこうありたいと思います。
私も母親としてそうなれたら・・・。普段は反抗期真っ盛りの娘とバトルの日々ですけれどね。(汗)
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ふたりの距離 (sky)
2010-03-14 01:31:00
walさん、こんばんは。

「もう一人のお母さん」心に残るいい記事でしたね。

>いつも力強く大ちゃんを支えてくれている歌子先生の悩みや葛藤や本音がたくさん出てくる言葉の数々
あまりにも当たり前に大ちゃんを支えて下さっている歌子先生なので私たちも気づかずにいますが、先生も先生となるために沢山の時間を費やして来られたのですね。誰でも最初は一年生だったのですから。
それでもその中で「本当の親にはなれないですし、なるまいと心に決めています」という究極の一点を見つけ出され、覚悟を決められたところにこの先生の素晴らしさがあると思います。
walさんの仰るように>自分に子供がいなかったら自分の子供のように見てしまうところ でしょう。
その上での「どんなことがあっても、後ろに立っていてやろう」「私がつねに後ろにいて同じ方向を向いていてあげよう」、なんて深い愛情なんでしょうか。
子供を育てることにおいて、「子供の先を歩いて引っ張っていくことが育てるということだと思いがちだが、子供のゆく先を見通しながら子供の力を信じて少し後を歩いていくことの方がどれだけ難しく、また価値のあることか」と聞いたことがあります。
振り返った時、いつでもそこにその人がいる、その安心感と、決して「慣れ合い」になってしまわない緊張感、その微妙なバランスの上に二人の成功は存在しているのではないかと私は思いました。
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バランスのよさ (wal)
2010-03-14 20:59:23
skyさん、こんばんは
歌子先生と大ちゃんの関係のバランスのよさ、その通りですね。歌子先生自体、自分に足りないところは他の専門家に任せたりして、バランス感覚のいい方だなと思います。そんな方だからこそ、大ちゃんと理想的な長年の師弟関係を築けたのだろうと思います。

>子供の先を歩いて引っ張っていくことが・・・
すごくいい言葉ですね。大ちゃん関連というよりも、自分の子育てに関連して反応してしまいました。教えてくださってありがとうございます!
子育てはどうしても引っ張っていくというよりか、色々と押し付けてしまっていて反省です。子供の力を信じて後を歩いてあげられるような子育てをしなければと思いました。
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深い言葉 (kum)
2010-03-14 22:44:09
walさん、みなさん、こんばんは。
「親にはなるまい。岡山にはご両親がいらっしゃる」
と言う言葉はほかでも目にしたことがありましたが、文春の記事の中で読んでさらに深く心に響きました。
また、大輔君のご両親は長光先生のことをまず考えなさいと言っているという記事も別のところで見たことがあります。
どちらもなんて深い言葉だろうと思っていました。
自分という人間の立ち位置を見極めてひとを尊重するこころを感じずにはいられませんでした。

>いつも力強く大ちゃんを支えてくれている歌子先生の悩みや葛藤や本音がたくさん出てくる言葉の数々です。
文春の記事はわたしのこころにも深く染みいりました・・。
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ご両親も立派 (wal)
2010-03-16 23:04:41
kumさん、こんばんは
大ちゃんのご両親の言葉も教えてくださってありがとうございます!
歌子先生とご両親、双方がお互いを深く尊重し合っているからこそ、長年に亘るいい関係が続き、その中で大ちゃんはここまで成長したのだなと思いました。
そんな歌子先生やご両親の影響を受けて、大ちゃんも常に人の気持ちを考え、人を尊重できる青年に育っていますね。
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