遅くなりましたが、11月末に友人たちと行なった演奏会のご報告を。
今回のコンサートは、チラシもプログラムもわかめが作ったので、もともと裏方気分だったのだが、さすがに当日は、演奏に専念できると思っていた。ところが、演奏会冒頭のアナウンスをすることになってしまった。
別の先生が自分でアナウンスするつもりだったらしいのだが、その先生はなんと出演順が1番。いくらなんでも、初めのアナウンスをしてからすぐにステージヘ出るのは無理だろっ、と思って、第1部はわかめが代わってあげることにしたのである。
なんたって、わかめは今回、出演順が最後(つまりトリ)だからね。それまではヒマなのよ。
本番当日の流れはこんな感じ。
午前10時に会場に着いて、まずは40分間ほどホールでリハ、というか最後の練習。それから、アナウンスの練習をしたり、お昼を食べたり、プログラムを折って並べたり、歌と伴奏のバランスを聴いてあげたり、マイクやライトの使い方を確認したり。結構忙しくて、あっという間に開演時間の2時になってしまった。
わかめの開演のアナウンスで第1部が始まる。約40分後、第1部の演奏が終わったので、わかめは休憩のお知らせをしてから控室へ。出番が最後だと言っても4番めなので、慌ててドレスに着替える。化粧を直している余裕もなく、顔で弾くんじゃないからいいや、と思って舞台の袖に向かった。
なんか、全然演奏する気分じゃないのだが、妙に落ち着かなくなってくる。そんな中でも、どんどん自分の出番は近づいてきて―――。
いよいよステージへ。
いつもお客さんはそんなに多くはないんだが、今回はなぜか、皆さん後ろのほうに張り付くように座っていらして、前のほうはガラガラ。一番前の席にずらっと並ばれているよりはもちろん好ましいのだが。
そんなことを考えながらお辞儀。椅子の高さを直して、弾きはじめる。曲は何度も書いているが、ショパンのソナタ第3番第1楽章である。
いちばん緊張したのは、初めのタカタカターン。ターンを外したらやだなあ、とずっと思っていたが、問題なくクリア。1ページめは思いのほか落ち着いて上手くいく。ところが、だんだんあがって来た。
いつもそうなんだよね。初めからあがっていることもあるが、初めは落ち着いていても弾いているうちにだんだんドキドキしてくるのである。
2ページめ。4度の下降は素晴らしく、とは言えないまでもまあ無難にこなしたものの、その後の左の半音階を外す。しかし細かいことは無視してそのまま先へ。
3ページは、途中で音が掴めなくなるが、そこも強引に何かの音を弾き続けているうちに立ち直り、第2主題へはいる前の下降のフレーズへ入ったまではよかったのだが、勢いが付きすぎてしまったのか、下降し過ぎに。こんなことは初めてで、うろたえて4ページ目の第2主題にスムーズに移行できなかったよ。
この辺りで、腕が震えているのを認識する。かなりマズイ状態である。
でも、第2主題の美しいメロディはなんとかそこそこにクリアし、そのあと2ページほどは、怪しい音を弾いたり音を2.3個すっ飛ばしたりしながらも、音楽は流れていった。
弾いている時はいつものテンポだと思っていたのだが、あとで考えると少し速かったのかもしれない。指が鍵盤上で泳いでしまって上手く音を掴めないのだもの。
ここまでは、ミスしながらも止まらず弾きなおさずにきたのだが、1番カッコの少し前の、流れるようなメロディの途中(82小節あたり)でいきなり次の音がわからなくなる。適当にゴチャゴチャ弾いたものの、全然次へと続けられない。で、結局80小節まで戻って弾きなおして、ようやく次へ。
あーあ。やっぱりやってしまった。
などと考えていたからか、あるいは集中力が切れたのか、次の1ページ半は記憶にないうちに弾いてしまっていた。
9ページめに入った辺り(108小節~)で我に返るが、ガンガン弾くところでは音を外しまくり。しかしここで止まったら立ち直れないと思って根性で突き進む。
そのおかげか、だんだん落ち着いてきて、そのあとは、ミスもあったものの自分の音楽も表現できたような気がする。
今回のショパンのソナタは、今まで練習してきた数々の曲の中でも、質、量ともにいちばん深くさらった気がする。あ、まあ、受験曲は別格だったかもしれんが、あんまり昔のことなんで、よく覚えてないんだな(笑)。
そんなに練習したのにこんな悲惨な演奏かよっ、と思われたかもしれないが、わかめとしては今回は手ごたえを感じた。ピアノの練習の仕方も進化したと思うし、まだまだやれる気がする。
やっぱり、継続は力なり、だね。
来年は、このソナタの4楽章に挑戦してみようかなあ。