晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

フランス漁民とグリーン・ピースとが戦争状態/「遊びでやってる奴らに我々の生活を破壊されてたまるか!」

2010-06-07 00:00:52 | フランスとヨーロッパの今日の姿
6月4日、地中海南部、北アフリカ海岸にほど近い『マルタ島』沖合で、フランスのマグロ船団(30メートル級漁船3隻)と、グリーン・ピースとが激突した。     


           


<海のギャング>は、高速ゴムボートを主船とした小型船舶数隻で、巻き網を繰っていたマグロ漁船団を取り囲み、執拗な妨害行為を繰り広げた。

ギャング共は、網の縁に錘りを取り付けて沈め、網の中に絡め取られていたマグロの群れを逃がそうとし、漁船員達は、棒などで抵抗。

そのうち、漁民の一人が<銛>を投げ、それが活動家の一人の脚を貫いた。

地中海の群青の海は、マグロの血ならぬ、ギャングの血で染まった訳だ。


この衝突事件には、伏線が有った。


遡る事20日前。


フランス地中海岸の最大のマグロ漁の母港である、『フロンティニアン港』(アルジェリア航路の出港地で名高い『セート港』のすぐ近く)で、海のギャング達はマグロ漁船の出港を妨害していたのだ。


年々厳しくなる<黒マグロ>の大西洋・地中海海域の漁獲制限で、今年のフランスに割り当てられた水揚げ高は2000トンである。

ちなみに昨年は3017トンであったので、およそ35%近い減少と言う事に成る。


しかも、一昨年までは、クロマグロの割当高の解禁期間は2年間であり、それが昨年は6ヶ月にまで短縮された挙げ句に、なんと今年は、5月15日から6月15日までの、わずか1ヶ月間に限定されてしまったのだ。


一昨年は38隻、昨年は、それでも27隻のフランス漁船が出漁した。

今年は、わずか17隻。


そのうち、アヴァロン水産所属の3隻の出漁を妨害した。


錨で固定した、ブイを繋ぎあわせて船団を取り囲み、海上警察が出動して船団を解放し、出港出来るまでに、何と9時間も足止めしてしまったのだ。

この船団のオーナーのアヴァロン氏は、息子と2人の孫とで船に乗り込んでおり、困惑と怒りとを隠そうとしなかった。

「我々は、頭を土足で踏みつけられているみたいな物だ。フランス政府は、我々に課せられたあらゆる規制を受け入れているこの船団の出港を、公式に認可している。我々の経費的負担に置いて、漁獲状況監視員も乗り込ませており、何ら後ろ指を指される物では無い。黒マグロの減少は理解しているが、その為に<漁獲制限>が設けられているのだ。その制限で、マグロ資源の存続は守られている。しかも、マグロばかり規制しても、その反動で、逆に増えすぎるマグロに捕食される事でイワシや、カタクチイワシ、タラその他、多くの漁業資源が減少する、という事実も直視しなければ成らない。総て自然界にはバランスと言う物が存在しているのだ。今年はわずか1ヶ月しか漁が出来ないのに、何故我々がこんな目に合わせれなければ成らないのか、全く理解出来ない。」


その後、地中海は悪天候に見舞われ、およそ2週間に亘って、実際の漁が出来なかった。


わずか1ヶ月間と言う解禁期間は、漁業開始日から1ヶ月では無く、5月15日から6月15日という期間限定である以上、残された<漁業期間>は半月も残されていなくなってしまった。


そして、マルタ島沖合でやっと漁を開始したとたんの、グリーン・ピースに依る<海賊行為(漁民談)>に遭遇。

<海賊側>は、例の悪名高い『レインボウ・ワーリアー号』と『アークティック・サンライズ号』、さらにヘリコプターまでも動員しており、船団にコンクリートブロックを投擲するやら、網を切断しようとするやら、傍若無人の振る舞いに及んだ。


ただ、日本の<捕鯨船>と違って、そこはフランスの地中海漁民。

果敢に反撃した。

何しろ、歴史的にみて、地中海は<ジェノァ><ピサ><トルコ><アレクンドリア><アルジェ><チュニス>等の海賊が跋扈し、港町は常に襲撃の危険に曝されていたのである。


むざむざ<やられっぱなし>になど成らない。


結果として、激しい<戦闘>と相成ってしまった次第であった


その挙げ句に、海賊団メンバーのうち、イギリス人(もろ海賊!)活動家フランク・ヒューストンが、脚を銛に貫かれる次第と成ってしまった。


「数メートル<引きずられ>た挙げ句に、自ら抜き取って、やっと逃れる事が出来た。」
(GP談)

グリーン・ピース側は、漁船側を激しく非難。

GPの広報官の言。
「我々は、平和的に反対運動を行って来た。船団側が野蛮な攻撃を仕掛けて来た。」


漁民側の反論。

「我々には生活が有る。規制に従って、合法的に出漁しているだけである。遊びで理論をもてあそんでいる奴らに、我々の生活を破壊する権利など無い。」



もっとやってやれ!


どこかの「反捕鯨論者」の方。
『シー・シェパード』をさんざん擁護なさった舌鋒で、さぞかし<野蛮>な漁民達を、お攻めになる事でしょう。



生活のかかっていないヤツに、他人の生活権を脅かして遊ぶ権利など無い。



(ちなみに被害者(!)は重傷とは言え、「容態は極めて良好で、後遺症も残らないで有ろう」との発表が『マルタ共和国』の病院から出ています)


参考記事

ああ<まぐろ>! たかが<マグロ>! されど<鮪>!

クロマグロをどうした物か? / 日本外交が白い目で見られている。。。

再び! <シー・シェパード>を擁護する、日本人反捕鯨論者に反論する

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6 コメント

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みどりまめ (おのま@カナダ)
2010-06-07 02:17:12
ちなみに被害者(!)は重傷とは言え、「容態は極めて良好で、後遺症も残らないで有ろう」との発表が『マルタ共和国』の病院から出ています



そりゃ残念でしたね(笑)

おのまは食物連鎖を考えると憂鬱になります。なんでイキモノを殺さないと生きていけない世界になっているのだろう

その悩みはさておき、いちばん憂鬱なのは人間のつくった監獄の中に生まれ、育ち、殺される牛、豚、鳥、魚などです。それにくらべたら、大きな海で生まれ、育ち、ドジなヤツが殺される世界は断然ましです

自らは肉食をしながら、捕鯨はいけないという人は偽善者か牧畜業者の回し者としか考えられません

くじらは知性が高いから殺してはいけないと説くひとがいますが、では知性が低ければ殺していいのかと問われたら反論できません。くじらは魚ではなく哺乳動物だからにいたっては反論する気にもなれません。牛は魚だと思っているらしい(笑)
返信する
おのま@カナダ様。 (時々パリ)
2010-06-07 02:43:26
そうでしょう!
そうでしょう!
同じカナダ在住のブロガーの方が<反捕鯨論者>で、凄く偏った批判に対して試みた、ブログ上での(コメント欄とTB)反論を拒否されてしまった、嫌な経験を持っておりますが、命に区別を付けられるのは、神だけです。
食物摂取の摂理と、自分達に無い文化(クジラを食べる)を一方的に否定される事への反発と、グリーン・ピース(シー・シェパード)に対しての感情は、怒りを通り越してしまいました。
<みどりまめ>って、なんですか?
返信する
みどりまめ (おのま@カナダ)
2010-06-07 03:57:12
緑の豆 green pea ・・・ 

やまだくん、座布団 !(笑)

ピース
返信する
おのま@カナダ様。 (時々パリ)
2010-06-07 04:15:03
「始め!」の声と同時に<背負い投げ>一本喰らって、何がなんだか解らない。。。
みたいです。
やられたあ~。
返信する
Unknown (陽影月魅)
2010-06-08 22:42:40
またお邪魔してみました
「ひかげ つきみ」と申します

陽のように温めて
熱くなったら影で冷まし
優しい月の光を
いつまでも魅れますように

とかいう自称詩人っぷり発揮の元に考案した名前です笑

さて、先にコメント返しに対する返しでもしておきたいと思います。

嬉しくなっていたただいた分、私は安心しております。
あのような稚拙な文に対しても、しっかりとお返しいただけたことにも安心しましたが
それよりも、ちゃんとした大人もいるのだと

身の回りの大人を馬鹿にするつもりはないですけど
こういうことを言ってくれる大人は少ないものですからね


趣味で作詩するのに加えて、将来は臨床心理士などと夢みている自分には
世界観や価値観、自己(特に精神)の成長は重要なものなので
しっかりカルチャーショックを受けてこようと思います
(もう来週にはフランスにいるだろうし)


話を戻しまして、今回の記事ですが
なんとも「正義」とはなんなのか?!
と問い詰めたくなるようなネタですね

極論をいってしまえば
正義なんて、意思にベクトルを加えて「自己の正義」が出来上がり
それを誰かが支持すれば「一般的にいう正義」が出来上がる訳で

そんな正義の名のもとに「生活」を妨害した

なんかもう、色々と不純ですよね。


人間のそもそもは、狩猟してたわけで
その血が流れているのであれば「本能」に縫い付けられているハズなんですけどね
現代のように豊のようになっても
全員ベジタリアンになるわけにもいかないし
(仮になったとしても、植物だって生物だし)
ならば、節度を守ればいい、と思うんですがね

アンチだって
「可哀相」だとかいう甘い同情心から
「本当の摂理もわからないはずなのに」定説を真実と決め込み
それを誰かに伝え、納得させ、自分は正しいと感じて
「(架空の)正義」の名のもとに、固着観念と化してるんでしょう


……なんて
私のこの発言だって、ある種の固着観念であることに変わりはないのですけどね笑
またまた長々と失礼しました
(ついつい語ってしまう癖が汗)
返信する
ひかげつきみ様。 (時々パリ)
2010-06-10 07:15:08
コメントありがとう御座いました。
「ちゃんとした大人」と評価いただき、恐縮です。
貴方の<すねた>ようなニヒルさに、40年前の自分をみる様です。
私も、人の事は言えた義理では無いのですが、世の中ナンメにみる程<酷い>物でもない所も有るのですよ。
大人も、あなたより20年、30年4年以上生きて来た分、喜びも悲しみも、あきらめも、沢山経験して来た分、見かけのウザさの薄皮を何枚か剥がせられれば、内側に熱い血液が流れているのです。
捨てた物でもないのですよ。
「正義」とは、強者です。
しかし、弱者にも、弱者なりの正義が有り、往々にして<弱者の正義>の方が共感を受けやすい面が有ります。
どちらの側に立つか、は夫々の価値観で、人間性で決まって来ます。
捕鯨の事に限定すれば、これまで幾つもの記事を書いて来ましたので、ご笑覧ください。
フランスの土産話をお待ちしています。
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