笑うとかわいい

あくまでもメジャー、井川自費キャンプ (日刊スポーツ) - goo ニュース

「井川問題」

阪神の井川選手がメジャーへの移籍を球団に訴え続けていますね。巨人の上原選手も同様です。ファンの立場としてはどう考えればいいのでしょう。

まず、プロ・スポーツはエンターテイメントなわけで、わたしはそこに夢を見るわけです。それは、超一流選手が華麗に見せる技でもあるし、普通の選手が懸命に走る姿でもあります。どちらにも興奮するときがあります。

スポーツは点の競い合いですが、わたしは、選手やチームがおかれた困難な状況からいかに粘り強く勝機をうかがい続け、最後には形成を逆転する、というような場面に感動します。

多分、そういうところにわたし（たち）は、人間の生活や人生と同様のストーリーを重ねています。つねに勝利を目指し、それを達成しようとするところに、つまりつねに向上していこうとするところに共感を覚えます。


「井川はわがままだ」と批判されることもあります。イチローだって7年連続で首位打者を取ってから行ったのだから、それ相応の成績を残していくべき、という意見もあります。

たしかに球団としても、高い契約金を払い、2軍で大事に育てて今の井川選手があるのだから、もっと球団に見返りを残して欲しいと考えて当然です。

またファンとしても、わたし自身は、もっと圧倒的なピッチングをするようになってから行って欲しいという気もします。昨年や一昨年の井川選手を見ていても、9回を投げて、4点、5点とられるのが当たり前、みたいな試合が多かった印象があります。味方の援護などでなんとか勝利を重ねていますが、ピッチングが安定していないように見えました。

だから、もっと圧倒的に球界のNO.1左腕と認められてから、向こうに行ってくれれば、BSで応援するよ、という気もちになるのだけど。

あと、あまりにもマイ・ペースなので、その発言にイヤな感じがしたりもしました。井川選手が2、3点取られて負けた試合でも、「試合を作るという先発ピッチャーの役目を果たせたのでよかった」と発言したりしました。

たしかに並みのピッチャーであれば、先発で6,7回投げて2、3点なら合格点です。でも井川投手はエースなのだから、そんなことは口にして欲しくないし、思っても欲しくない、と感じました。

だから、もっとエースらしく、人格的にも尊敬できるようになって欲しいなぁと、わたしは愚痴ってたりしていました。


しかし、井川選手としては4年間は阪神のエースとして活躍したという自負もあるだろうし、旬のときに早くメジャーに行きたいという想いが抑えられないんでしょうね。

それをわたしたちは「わがまま」と感じるときもあります。でも、日本の一流の中でもトップの世界に立つということは、才能だけでなく、いかに普段の生活の節制や厳しいトレーニングを彼が自分に課しているか、その実際のところはわたしたちに想像がつかないでしょう。

少なくとも、日本のピッチャーの十指に入るところまでのぼりつめるということは、ほんとにすごいことだと思います。

たとえば、それぞれの職業で日本で十指に入ることを考えれば、そのすごさが想像できるのではと思います。とてつもないことです。いかに真剣に彼が野球に取り組んでいるかは、彼が実際に達成した地位を見れば明らかです。

それだけ、尋常ならざる集中力で野球をしてきた井川投手がどういう想いでより高いレベルのリーグに行きたいと言っているのか、野球の世界の外にいる人たちにはちょっとわからないのではと思います。

だから、ファンとしては、井川選手にどうこう言うことはできないのかなぁ、と思います。


ところで、個人的にメジャーに行って欲しい選手は、わたしは巨人の高橋外野手です。日本人野手でレギュラーを張れそうなのはやはり彼かな、と。ちょっと太り体質なのが気になるけど、足も速いし、バッティングは「天才」だし。上原投手にしても、もう7年ぐらいは巨人のエースを張っているわけだから、行かしてあげてもいいんじゃないだろうか、と思ったりします。

わたしたちはプロ・スポーツに「夢」を見ます。　憧れの晴れ舞台で一流の技を見せる選手に憧れます。でも、その選手にとって日本のプロ野球という舞台がもう晴れ舞台でもなんでもなく、鎖に縛られているように感じられるのなら、観ているこちらもその選手のプレーに「夢」を感じることができないんじゃないだろうか。

わたしたちは、勝利を目指して懸命に頑張る選手の姿に自分を重ね合わせて、そこで演じられるドラマに「夢」を見ます。でも、組織に選手がしばられているように扱われている、少なくともそう感じてしまう姿を見ても、悲しいだけですよね。


涼風