一週間ほど前に関西では深夜に『視線のエロス』というフランス映画をやっていました。なんとなく観てしまった。
内容は妻子もちの中年男が遊びで若い女をセックスに誘い、そのまま不倫の深みにはまっていくというもの。
とても他愛ない内容ですが、この映画の軸はストーリーではなくカメラがすべて男の視線で真正面から若い女性の顔を捉えていること。取り立てて斬新なアイデアにも思えませんが、そういうカメラの映画が少ないのも事実で、それなりに飽きません。
女性を真正面から捉えるショットが続くわけですから映るのはずっとヒロインです。このヒロインに惹かれるかどうかでこの映画が好きになるかどうかが分かれるんじゃないでしょうか。女優はイザベル・カレという人。知性と清楚さと悪戯っぽさと真面目さを微妙にブレンドした細身の美人で、僕は結構好きになりました。
この映画の前半は、要するにこの女性とセックスがしたいという中年男の願望をずっと描いています。相手の若い女性は中年男に惹かれつつも不倫の関係に入ることに躊躇します。
地位とお金のある妻子もち男性が露骨に「ただ若くてきれいな女とセックスしたいんだ」という欲望を言葉に表していきます。にもかかわらず女は表面上は拒みつつも男に惹かれて行きます。
不倫の始まりの多くはこういうものかもしれません。結婚しているけれど、人生にアクセントが欲しくて、男の人生の最高の喜びだと思っている「若い女性との恋愛とセックス」を自分だってしたいと思う。まるで「おもちゃが欲しい」と駄々をこねる欲望のように。
ただ、結婚している男というのは単に若い女の体を欲しいわけではなく(そうであれば風俗に行けばいいのですから)、“性愛”というものが欲しいのだと思います。たしかにセックスをしたいのですが、恋愛の表現としてのセックスとセックスの表現としての恋愛を欲しているのだと思います。
「結婚しているからといってどうして恋愛をしちゃいけないんだ?!?!?!」と既婚男性が言うのを聞いたことがありますが、それは結婚で失った人生の希望が恋愛でもう一度甦ると思えてしまうのでしょう。
映画はこうした男の欲求がかなえられていくうちに、最初は背徳の香りをもちながらみずみずしい感覚をもたらしてくれたセックスと恋愛が、“不倫”として感情の泥沼にはまって行く過程を描いています。
人生に彩を添えると思っていたセックスと恋愛だったのに、所詮はお互いの欲求を満たそうと互いが子供のようにおもちゃを奪い合う“闘争”へと変貌し、二人は精神的に疲弊していきます。
終盤はそれでもフランス映画らしくなのか自己陶酔的な男のモノローグで不倫の泥沼の現実がぼやかされ、若い女性は男との関係から脱します。
題材もありふれていて、見ていて恋愛や人生について何か新しい発見を与えてくれる映画ではないと思います。
ただ、個人的にはヒロインが魅力的だったので飽きずに最後まで見ることができました。
涼風
内容は妻子もちの中年男が遊びで若い女をセックスに誘い、そのまま不倫の深みにはまっていくというもの。
とても他愛ない内容ですが、この映画の軸はストーリーではなくカメラがすべて男の視線で真正面から若い女性の顔を捉えていること。取り立てて斬新なアイデアにも思えませんが、そういうカメラの映画が少ないのも事実で、それなりに飽きません。
女性を真正面から捉えるショットが続くわけですから映るのはずっとヒロインです。このヒロインに惹かれるかどうかでこの映画が好きになるかどうかが分かれるんじゃないでしょうか。女優はイザベル・カレという人。知性と清楚さと悪戯っぽさと真面目さを微妙にブレンドした細身の美人で、僕は結構好きになりました。
この映画の前半は、要するにこの女性とセックスがしたいという中年男の願望をずっと描いています。相手の若い女性は中年男に惹かれつつも不倫の関係に入ることに躊躇します。
地位とお金のある妻子もち男性が露骨に「ただ若くてきれいな女とセックスしたいんだ」という欲望を言葉に表していきます。にもかかわらず女は表面上は拒みつつも男に惹かれて行きます。
不倫の始まりの多くはこういうものかもしれません。結婚しているけれど、人生にアクセントが欲しくて、男の人生の最高の喜びだと思っている「若い女性との恋愛とセックス」を自分だってしたいと思う。まるで「おもちゃが欲しい」と駄々をこねる欲望のように。
ただ、結婚している男というのは単に若い女の体を欲しいわけではなく(そうであれば風俗に行けばいいのですから)、“性愛”というものが欲しいのだと思います。たしかにセックスをしたいのですが、恋愛の表現としてのセックスとセックスの表現としての恋愛を欲しているのだと思います。
「結婚しているからといってどうして恋愛をしちゃいけないんだ?!?!?!」と既婚男性が言うのを聞いたことがありますが、それは結婚で失った人生の希望が恋愛でもう一度甦ると思えてしまうのでしょう。
映画はこうした男の欲求がかなえられていくうちに、最初は背徳の香りをもちながらみずみずしい感覚をもたらしてくれたセックスと恋愛が、“不倫”として感情の泥沼にはまって行く過程を描いています。
人生に彩を添えると思っていたセックスと恋愛だったのに、所詮はお互いの欲求を満たそうと互いが子供のようにおもちゃを奪い合う“闘争”へと変貌し、二人は精神的に疲弊していきます。
終盤はそれでもフランス映画らしくなのか自己陶酔的な男のモノローグで不倫の泥沼の現実がぼやかされ、若い女性は男との関係から脱します。
題材もありふれていて、見ていて恋愛や人生について何か新しい発見を与えてくれる映画ではないと思います。
ただ、個人的にはヒロインが魅力的だったので飽きずに最後まで見ることができました。
涼風
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