joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『西洋絵画の巨匠 ピカソ 』

2007年11月13日 | 絵本・写真集・画集
画集『西洋絵画の巨匠 ピカソ 』をみました。

いつものように、画集を見るときはその解説には殆ど目を通しません。なので、その場で「思ったこと」しか言えないのですが。

美術評論とか絵画史とか、それなりに読み応えのある本ってあるのかな?もちろん研究者は多いだろうし、それなりに(どころか、大きな)研究史の厚みもあるのだろうけど。

僕は美術にはずぶの素人です。その僕が思うには、ある絵に感動するとき、その絵がうまいということはさして重要ではなく(うまい人はたくさんいるのでしょうから)、そこに描く人自身の何かが描かれているように感じるとき、その絵に感動するのでしょう。

例えばゴッホの絵に感動するのは、彼が「上手い」からではもちろんなくて、その絵の中に私たち人間の内面の深部が描かれているように感じて、ゴッホの絵に感動するのです。


しかし、ピカソの絵を観て思うのは、美術に疎い人間が言うのもなんだけど、このピカソという人は美術の天才なんだな、ということ。

どのような画家も、その絵にその画家の個人的な何かが描かれているから素晴らしい絵になるのだと思う。

しかし、私にはピカソの絵には、ピカソ自身の思い入れを超えて、絵画というジャンルの中で、絵画の歴史を前進させるために表れた一人の天才というイメージが浮かぶのです。

ピカソ自身は自分の個人的な衝動に突き動かされて絵を描いたかもしれませんが、しかしそこには絵画史を発展させる何かがつねに現れているように思うのです。

ピカソという人はなぜこれほどまでに多様な技法・モチーフに取り組んでこれたのか?ピカソの絵の特徴を一言で言うことはできません。その手がけた題材が広く、絵の雰囲気がそれぞれ違うから。

しかもそのどれもが、何かそのジャンルで圧倒的なクオリティをもつ絵に見えるのです。

ピカソ個人の事情以上に、何か〈絵画の才能〉というものを感じさせられます。