joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

地に足がつく

2005年08月27日 | Book
「ひきこもり」や「ニート」について書かれた本を少し読んでみました。精神科医や経済学者、社会学者、NPO法人代表や。

読んでみて思うのは、どちらかと言うと精神科医の人たちが書いたものが地に足がついた印象を受けるのに対し、経済学者や社会学者が書くものは、対象となっている人たちの経済的問題にフォーカスし、彼らの状況の問題とそれが社会に及ぼすマイナスの影響に集中しているように見えました。これは、社会科学者が社会構造の分析を主にしているためだと思います。

精神科医の場合、外的条件以前に、人の心が治癒するとはどういうことなのか?よく生きるとはどういうことなのかを、一般的な社会的価値観から一度離れて考えることを強いられる場面に多々出くわすのだと思います。それに伴い、彼らは自らの生き方についても根本的に反省せざるを得ないのでしょう。

もちろん社会科学者の仕事は重要ですが、もし今現実に「ニート」や「ひきこもり」をしている人たちが彼らの著作を読むと、自分達は社会的に負債であり、負担でしかないことを意識させられ、落ち込んでしまい、彼らの生活の改善には役に立たないかもしれません(もともと社会科学者たちがそのことを目的としていないかもしれないのですが)。

このことは、別の点から見れば、社会科学者自身も一般的な価値観に縛られているからだと思います。「お金のない人間の人生は悲惨であり、社会的にも負担である」という価値観に縛られているがゆえに、そうした視点を軸とした現状分析を行います。

しかし、そうした価値観は誰も簡単に逃れられるものではないし、そうした社会科学者の仕事自体は重要だし必要だと思います。

ただ、現実的な改善には、精神科医や活動家の人たちの仕事のほうが役に立ち、また彼らのほうが地に足がついて今の若い人たちの問題を正確に見つめているように感じました。

もっとも、精神科医や社会科学者と言っても、数冊の本しか読んでいないので、これからもっといろいろな人のものを読めば印象はがらっと変わるかもしれません。


涼風