僕は去年3月のNHKスペシャルを録画していた。しかしつい先日、レコーダーの中身を整理しているとき、もう見ないかな、と思って消してしまった。中身はちらちらとは見たが、何となく重そうな内容で、息苦しくなって全部は見ていない。ただ、聴衆はみんな感動して泣いていたし、評論家もたしか絶賛していたのは覚えている。
消すんじゃなかったな。
いろいろと、CDや本が売れなくなったり、コンサートができなくなるなど金銭的な問題も起きている人がいるから、「~なんちゃって!」ではすまないのだろうな。精神的に傷ついている人も、彼の回りにはいるだろう。
しかし、音楽に感動したのであれば、その感動は本物であるはずだ。もしいま聴いて、面白くないと思うなら、最初のときは彼の「物語」に感動していたことになる。
でもまあ、僕も音楽を聴くと背景の物語を色々探して、それに感動したりしてるよな。ベートーヴェンの最後の3つのピアノソナタとかもそうだし、ビル・エヴァンスとジム・ホールの「枯れ葉(アンダーカレント)」とかも、ライナーノーツを読みながら感激したりしていた。
今日、本屋の中にあるCD屋に行ってみたが、当然のことながらもう置いてなかった。本なんかも、一昨日までは目立つところに置いてあったのかもしれないが、見つけることはできなかった。別になんの断りもない。なんだかどこかの国の、反逆者扱いになった重鎮みたいだ。まあ、その作品が本物であれば、いずれまた聴く機会もあることだろう。
それにしても、見事な騙しぶりだ。なんとなく、村上春樹の「1Q84」を連想する。あれは、最後まで書き直しがばれなかったんだっけ?読み返そうと思ったが、本が押し入れの奥に入っていてすぐに取り出せない。