新国立劇場へローエングリン(最終日)に行ってきました。2年ぶりのオペラ。バイロイト音楽祭で有名になったクラウス・フロリアン・フォークトが主役を歌うということで前評判が非常に高く、会員優先予約で大枚はたいてS席をゲットしたものです。
1階16列(通路はさんで最前列)の中央付近はなかなか手に入らない最高のポジションです。期待に胸が高まり劇場に40分前に到着し14時の開演を待ちます。休日の最終日ということもありチケットは完売。満席です。
2回の休憩をはさんだ5時間の公演は素晴らしいものでした。オペラの世界にはまって30年以上になりワーグナーの公演も15回以上経験しましたが、間違いなくベスト5に入る印象に残ったワーグナー公演です。日本にいながらバイロイト音楽祭に匹敵する高レベルの公演を経験できるのは幸せですね。でもローエングリンって、こんなに悲劇的なオペラでしたっけ? エルザは決して救われることがありませんでした。
立役者はタイトルロールのフォークト、そして大御所のペーターシュナイダーではないでしょうか。シュナイダーさんは5年前にも新国立劇場で「バラの騎士」の素晴らしい公演(ザョナサン・ミラー演出)を聴いていますが、前回同様、今回のワーグナーも東京フィルからスケールの大きい音楽を引き出していました。管を抑え弦を中心に鳴らしていた印象です。東フィルは、弦の高音にもっと天に届くような響きが欲しいな~とか、アンサンブルに厚みが欲しい箇所があったり、聞かせどころのソロが今一つとか気になるところがあるものの、決して音量に頼らず、やや抑え気味に一定のテンポを保ち、それでいて舞台と一体になったダイナミックな音楽は巨匠ならではの音楽づくりでしょう。
さてタイトルロールのフォークトですが期待以上で圧倒的な存在感。どこまでも透明で甘い歌声、とにかくよく通る声で、舞台奥からも弱音がはっきりと届いてきます。他の歌手とスケールが違いますね。高音まで音域が広く、決して自分のスタイルを崩しません。しかも容姿は白鳥の騎士にピッタリ。ヘルデンテノールとはちょっと違いますが、久しぶりの本格的ワーグナー歌手でしょう。昔、テレビ放映やレーザーディスクで見たペーターホフマンを思い出しました。カーテンコールは物凄い熱狂に包まれました。
他の歌手も総じて粒揃い。エルザを演じたリカルダ・メルベートは演出の影響か、気の毒なほどに暗い印象。でもベテランらしく内面を歌い上げています。3幕冒頭で初夜を迎えて一瞬喜びに満ちた姿と、禁じられた問いを発してから猜疑心に包まれオルトルートがのり移ったかのように変貌していく姿の落差が巧みに歌われていました。ハインリッヒ国王のギュンター・グロイスベックは若々しい国王を演じています。テルラムントは悪役というイメージがあるのですが、今回の演出ではオルトルートに操られる気の毒で純情な姿をゲルト・グロホフスキーが歌い上げています。そして影の主役であるオルトルートを演じたスサネ・レースマークですが・・・好演なのですが声に力がありませんね。ペーターシュナイダーがフォローしていたのですが、フォークトと比べてしまうと気の毒かもしれません。ゲルマンの神々に背いた報復だと激烈に呪う最後の聞かせどころは、もっと声の力と迫力が欲しいところですね。贅沢かな?
マティアス・フォン・シュテークマンの演出は、今、流行りの奇をてらった謎欠けは一切なくてシンプルで抽象的。舞台に物体がほとんどなく、背景に設置したモザイク状のパネルを活用した色彩と光の表現が効果的です。数少ないオブジェもうまく活用されています。でも1幕最後の花火は、ちょっとリアルすぎますね。問題は登場人物の動きがデジタル的というか整然としすぎていることです。演出の意図が隠されているのかもしれませんが、もう少し工夫が欲しいですね。何だか幼稚園のお遊戯会みたい(笑)。先ほども述べましたが、2幕のエルザはずっと暗かったですね。2幕の最後に教会堂へ向うところで、ふらついて倒れこむところは、思わず「はっ」としました。音楽的にも演出的にも2幕から3幕へかけての盛り上りは素晴らしかったです。でも幕切れがいま一つかな?? 白鳥は現われませんでしたね。1幕と逆に白鳥がお迎えに降りてくるものとばかり思ったので。
久しぶりのオペラ、感動しました。このところ景気が悪く財布が厳しい状況ですが、年に2~3回行きたいものです。昔(独身の頃)は、海外からの引越公演や国内団体の公演など毎月のように聞きに行っていました。あの頃が懐かしい・・・
ところで、2幕、3幕開演前の館内アナウンスで品川ナンバーのマーク2が有名になってしまいました(ナンバープレートも)。駐車場に止めた車が通行妨害になっていたらしい。満員の観客は思わず失笑・・・
← プチッ通してね!
1階16列(通路はさんで最前列)の中央付近はなかなか手に入らない最高のポジションです。期待に胸が高まり劇場に40分前に到着し14時の開演を待ちます。休日の最終日ということもありチケットは完売。満席です。
2回の休憩をはさんだ5時間の公演は素晴らしいものでした。オペラの世界にはまって30年以上になりワーグナーの公演も15回以上経験しましたが、間違いなくベスト5に入る印象に残ったワーグナー公演です。日本にいながらバイロイト音楽祭に匹敵する高レベルの公演を経験できるのは幸せですね。でもローエングリンって、こんなに悲劇的なオペラでしたっけ? エルザは決して救われることがありませんでした。
立役者はタイトルロールのフォークト、そして大御所のペーターシュナイダーではないでしょうか。シュナイダーさんは5年前にも新国立劇場で「バラの騎士」の素晴らしい公演(ザョナサン・ミラー演出)を聴いていますが、前回同様、今回のワーグナーも東京フィルからスケールの大きい音楽を引き出していました。管を抑え弦を中心に鳴らしていた印象です。東フィルは、弦の高音にもっと天に届くような響きが欲しいな~とか、アンサンブルに厚みが欲しい箇所があったり、聞かせどころのソロが今一つとか気になるところがあるものの、決して音量に頼らず、やや抑え気味に一定のテンポを保ち、それでいて舞台と一体になったダイナミックな音楽は巨匠ならではの音楽づくりでしょう。
さてタイトルロールのフォークトですが期待以上で圧倒的な存在感。どこまでも透明で甘い歌声、とにかくよく通る声で、舞台奥からも弱音がはっきりと届いてきます。他の歌手とスケールが違いますね。高音まで音域が広く、決して自分のスタイルを崩しません。しかも容姿は白鳥の騎士にピッタリ。ヘルデンテノールとはちょっと違いますが、久しぶりの本格的ワーグナー歌手でしょう。昔、テレビ放映やレーザーディスクで見たペーターホフマンを思い出しました。カーテンコールは物凄い熱狂に包まれました。
他の歌手も総じて粒揃い。エルザを演じたリカルダ・メルベートは演出の影響か、気の毒なほどに暗い印象。でもベテランらしく内面を歌い上げています。3幕冒頭で初夜を迎えて一瞬喜びに満ちた姿と、禁じられた問いを発してから猜疑心に包まれオルトルートがのり移ったかのように変貌していく姿の落差が巧みに歌われていました。ハインリッヒ国王のギュンター・グロイスベックは若々しい国王を演じています。テルラムントは悪役というイメージがあるのですが、今回の演出ではオルトルートに操られる気の毒で純情な姿をゲルト・グロホフスキーが歌い上げています。そして影の主役であるオルトルートを演じたスサネ・レースマークですが・・・好演なのですが声に力がありませんね。ペーターシュナイダーがフォローしていたのですが、フォークトと比べてしまうと気の毒かもしれません。ゲルマンの神々に背いた報復だと激烈に呪う最後の聞かせどころは、もっと声の力と迫力が欲しいところですね。贅沢かな?
マティアス・フォン・シュテークマンの演出は、今、流行りの奇をてらった謎欠けは一切なくてシンプルで抽象的。舞台に物体がほとんどなく、背景に設置したモザイク状のパネルを活用した色彩と光の表現が効果的です。数少ないオブジェもうまく活用されています。でも1幕最後の花火は、ちょっとリアルすぎますね。問題は登場人物の動きがデジタル的というか整然としすぎていることです。演出の意図が隠されているのかもしれませんが、もう少し工夫が欲しいですね。何だか幼稚園のお遊戯会みたい(笑)。先ほども述べましたが、2幕のエルザはずっと暗かったですね。2幕の最後に教会堂へ向うところで、ふらついて倒れこむところは、思わず「はっ」としました。音楽的にも演出的にも2幕から3幕へかけての盛り上りは素晴らしかったです。でも幕切れがいま一つかな?? 白鳥は現われませんでしたね。1幕と逆に白鳥がお迎えに降りてくるものとばかり思ったので。
久しぶりのオペラ、感動しました。このところ景気が悪く財布が厳しい状況ですが、年に2~3回行きたいものです。昔(独身の頃)は、海外からの引越公演や国内団体の公演など毎月のように聞きに行っていました。あの頃が懐かしい・・・
ところで、2幕、3幕開演前の館内アナウンスで品川ナンバーのマーク2が有名になってしまいました(ナンバープレートも)。駐車場に止めた車が通行妨害になっていたらしい。満員の観客は思わず失笑・・・
← プチッ通してね!